執事長は幼馴染の料理見習いを溺愛してる

甘塩ます☆

文字の大きさ
11 / 15

11

 執務室まで戻って来たルイは、ラルを壁に押し付け、拳を握る。
 ラルは抵抗しない。

「おい、変態! どういうつもりでユキに変な本を見せたんだ」

 ルイはラルを睨むに留める。
 流石に暴力は振るいたく無かった。
 しかし、口調は乱れる。
 
「すみません。自分でもどうかしていました」

 ラルは自分の非を認めており、視線を下げた。
 殴られても構わないと言う態度だ。
 むしろ、殴って欲しかった。

「ユキを傷つけたら許さないかと言っただろう」
「はい」

 ラルは素直に頭を下げ、シュンとしている。
 本気で反省している様だ。
 ラルからは敵意は感じない。
 出来心というやつか。

「しかしお前が異種物や緊縛を好むとは意外だな」

 澄ました顔してとんでもない変態だったとは、ルイも驚きを隠せない。
 真面目な奴だと思っていたのだが。

「その様な内容だったのですか?」

 ラルは青ざめる。
 第一王子は『童貞のお前にピッタリだ』と、渡して来たのだが、やはりあの王子は変態である。

「内容を知らなかったのか?」
「第一王子から頂いて……」

 正直、ラルもエロ本など見たことが無かった。
 官能小説ぐらいならば見たことが有るが、それにしたってそんな濃厚な内容では無かった。

「兄さんがまともな本を寄越すわけないだろう」

 ルイは溜息まじりに頭をおさえる。

「私はただ、あまりに危機感のないユキに危機感を持ってもらいたかったんです」
「それは同感だな」

 気持は解るが、ただたんにユキを困惑させただけに思える。
 それに危機感はまだ持っていないだろう。
 ラルの目論見は失敗している。
 なんせ自分に胸が大きい方が好きなのか等、堂々と聞いてくるぐらいだ。
 その点はユキに問題があるだろう。
 
「とにかく、男が教えるのは無理がある。僕の乳母に頼む予定だ。消灯時間前に男女が寝室で二人になるのは問題がある」
「本当ですか? そうして頂けると有り難いです」

 ラルは願ってもない事だと、目を輝かせた。

「最初からそうする予定だったよ」 
「教える前に婚約を申し込んだ癖に?」
「それは、そうだけど……」

 ラルとて、ちゃんとルイが先に教えてくれる様なら任せた。
 だが、何も知らないユキに、先に婚約を申込む様な奴を信用出来なかったのである。

「わかったよ。婚約の話はユキがちゃんと学んでからにする。それで良いね?」
「ええ、そうして頂けるなら有り難いです」

 二人の話はまとまり、お互いホッとするのであった。

 問題は、ユキに渡してしまったエロ本をどうするかである。
 ラルのせいで、変な知識が変に伝わってしまった。

 とにかく、ラルとルイは仲直りし、お互い別々の仕事に取り掛かるのであった。
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜ ※AI不使用です。

拾ってないのに、最上位が毎日“帰る”んですがーー飼い主じゃありません!ただの受付係です!

星乃和花
恋愛
王都ギルド受付係リナは、今日も平和に働く予定だった。 ……のに。 「お腹すいた」 そう言って現れたのは、最上位の英雄レオン。 強いのに生活力ゼロ、距離感ゼロ、甘え方だけは一流。 手当てすれば「危ない」と囲い込み、 看病すれば抱きしめて離さず、 ついには―― 「君が、俺の帰る場所」 拾ってない。飼ってない。 ただ世話を焼いただけなのに、英雄が毎日“帰ってくる”ようになりました。 無自覚世話焼き受付嬢 × 甘えた天然英雄の 距離感バグ甘々ラブコメ、開幕! ⭐︎火木土21:20更新ー本編8話+後日談9話⭐︎

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

一夜の過ちで懐妊したら、幼なじみの冷酷皇帝に溺愛されました

由香
恋愛
没落貴族の娘・柳月鈴は、宮廷で医官見習いとして働いていた。 ある夜、皇帝即位の宴で酒に酔い、幼なじみだった皇帝・李景珩と再会する。 遠い存在になったはずの彼。 けれど、その夜をきっかけに月鈴の運命は大きく動き出す。 冷酷と恐れられる皇帝が、なぜか彼女だけには甘すぎて――。

お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく

星乃和花
恋愛
縁談に悩む子爵令嬢リゼットが助けを求めたのは、名門侯爵家の長男アルフレッド。 穏やかでやさしく、理想のお兄様のような彼は、「君のことは僕が見ている」と甘く手を差し伸べてくれる。 送り迎え、花や手紙、完璧なエスコート。 守られているだけのはずが、気づけば周囲には「彼女はもうノースウェル侯爵家のもの」という空気ができあがっていて――。 ふわふわ優しいのに、実はかなり策略家。 やさしく逃げ道をなくしてくるお兄様系ヒーローに、恋愛に疎い令嬢がじわじわ囲い落とされていく、甘くて幸せな溺愛ラブストーリー。 ――「待つよ」と言いながら、外堀はきっちり埋めてくる―― (完結済ー本編10話+後日談2話)

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。