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アマリスはユリウスに手を引いて貰い、船に乗り込む。
船に乗るのは初めてなアマリスはドキドキした。
なぜこんな大きなモノが海に浮いているのだろうか。
魔法かな?
「ちょっと揺れるね。大丈夫? 恐くない?」
船が初めてなアマリスを気にかけるユリウスだが、アマリスは全然怖がってはおらず、楽しそうだ。
無事に船に乗ったアマリスはユリウスに手を引かれるままに進み、甲板に出る。
広い甲板では生演奏が披露されており、招かれた人たちは思い思いにダンスを踊ったり、会話を楽しんだりしている。
天気も良く、風も心地よい。
海が綺麗だ。
「わぁ、すごい!」
思わず感激してしまうアマリスである。
ユリウスは声をかけられ、挨拶をしていた。
好奇心旺盛のアマリスと、真面目に挨拶をしていたユリウスは自然と距離が出来てしまう。
「初めまして聖女様」
後ろから声をかけられ、振り向くアマリス。
今日誕生日の公爵令嬢様だ。
「お誕生日おめでとうとございます公爵令嬢様、素敵な会場ですね」
「海上とかけてますの? 面白い方」
オホホっと微笑む公爵令嬢。
アマリスはよく解らなかったが、取り敢えず笑顔を作っておく。
「私の事はカナリィと呼んでください」
「カナリィ様ですね。私は良くアリィーと呼ばれます。お好きに呼んで下さい」
「アリィー様では、また後ほど」
公爵令嬢は頭を下げると別な人に挨拶をする。
愛想がよく美人で確りしてそうな方だ。
なんだか頼もしく見える。
彼女と仲良く出来そうな気がして、アマリスはホッとしていた。
「アリィー! 僕から離れないでよ」
アマリスと離れてしまっていたと気づいたユリウスが慌て迎えに来る。
「ごめんなさい。海が綺麗だったのでつい」
「目を離した僕も悪かったね。さぁ、そろそろ出航だそうだよ」
「まぁ、凄いわね。所でこの船、何処に行くの?」
「島を一周して帰ってくるだけだよ」
「そうなんですね」
島を一周するだけでもアマリスは十分ワクワクする。
動き出す船に、暫く海を眺めるアマリスであった。
流石に一時間もしたら体が冷えると心配したユリウスがアマリスの手を引いて船内に入る。
船内ではダンスパーティーが催されており、ユリウスはアマリスをダンスに誘っう。
「今日の主役は公爵令嬢様なのですから、先ずは公爵令嬢様と踊って下さい」
そう、ユリウスの誘いを蹴ったアマリスは公爵令嬢を探す。
別の男性と踊っている所であった。
主役はずっと踊りっぱなしで大変そうである。
「公爵令嬢はまだ別な方とダンスしているし、良いだろ?」
そう、なおも誘うユリウス。
でも、ユリウスは公爵令嬢の婚約者でも有るわけで、やはりここは公爵令嬢と最初のダンスをするのが礼儀というものである。
アマリスはユリウスの誘いに首を振る。
ユリウスはシュンと、ちょっと項垂れていた。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
公爵令嬢はダンスは終えてユリウスの元を訪れる。
「いえ、次の曲は僕と躍って頂けますか?」
手を差し出すユリウスに、公爵令嬢は「喜んでん」と、手を重ねた。
二人は仲良く手を繋いで次のダンスに向かうのだった。
見送るアマリスは何だかホッとする。
二人の相性も良さそう。
「聖女様ですね。良ければ航海の安全をお祈りして頂けますか?」
不意に声をかけられ振り向く。
公爵令嬢のお付きだろう。
ちゃんと船に乗ってすぐお祈りはしたのだが、勝手に一人でお祈りしても解らないだろう。
安心させる為にも、もう一度お祈りしておこう。
何回お祈りしたって悪いことは無い。
アマリスは頷いて、お付きの人に着いて甲板に出るのだった。
お付きの人は面ではなく、立ち入りを制限している区画にアマリスを案内する。
人目の無い場所であったが、これといって変だとは思わず、手すりの側に寄ると目を閉じて手を合わせお祈りの体制に入るアマリス。
「ん……!?」
急に口を抑えられ、体を持ち上げれ驚く。
「悪く思うなよ。公爵令嬢様の命令なんだ」
そう、囁かれたと思った次の瞬間には海の中である。
私、海に投げ落とされた!?
泳ぎは習っていないし、衣類が水を吸って重く、苦しい。
アマリスは何も考えられず、ただ海の底に沈んで行くしか無かった。
ただただ苦しい。
公爵令嬢とのダンスは終えたユリウスはアマリスの姿が無い事に気づき、直ぐに辺たりを探したが見つけられず、騒動となった。
全員でくまなく船の中を探し回ったが姿は何処にも無く、海に落ちたとしか考えられない状況である。
ユリウスは何故アマリスの手を離してしまったのかと、悔やんでいた。
隣では公爵令嬢が必死にユリウスを慰める。
その口元には笑みが浮かんでいた。
船に乗るのは初めてなアマリスはドキドキした。
なぜこんな大きなモノが海に浮いているのだろうか。
魔法かな?
「ちょっと揺れるね。大丈夫? 恐くない?」
船が初めてなアマリスを気にかけるユリウスだが、アマリスは全然怖がってはおらず、楽しそうだ。
無事に船に乗ったアマリスはユリウスに手を引かれるままに進み、甲板に出る。
広い甲板では生演奏が披露されており、招かれた人たちは思い思いにダンスを踊ったり、会話を楽しんだりしている。
天気も良く、風も心地よい。
海が綺麗だ。
「わぁ、すごい!」
思わず感激してしまうアマリスである。
ユリウスは声をかけられ、挨拶をしていた。
好奇心旺盛のアマリスと、真面目に挨拶をしていたユリウスは自然と距離が出来てしまう。
「初めまして聖女様」
後ろから声をかけられ、振り向くアマリス。
今日誕生日の公爵令嬢様だ。
「お誕生日おめでとうとございます公爵令嬢様、素敵な会場ですね」
「海上とかけてますの? 面白い方」
オホホっと微笑む公爵令嬢。
アマリスはよく解らなかったが、取り敢えず笑顔を作っておく。
「私の事はカナリィと呼んでください」
「カナリィ様ですね。私は良くアリィーと呼ばれます。お好きに呼んで下さい」
「アリィー様では、また後ほど」
公爵令嬢は頭を下げると別な人に挨拶をする。
愛想がよく美人で確りしてそうな方だ。
なんだか頼もしく見える。
彼女と仲良く出来そうな気がして、アマリスはホッとしていた。
「アリィー! 僕から離れないでよ」
アマリスと離れてしまっていたと気づいたユリウスが慌て迎えに来る。
「ごめんなさい。海が綺麗だったのでつい」
「目を離した僕も悪かったね。さぁ、そろそろ出航だそうだよ」
「まぁ、凄いわね。所でこの船、何処に行くの?」
「島を一周して帰ってくるだけだよ」
「そうなんですね」
島を一周するだけでもアマリスは十分ワクワクする。
動き出す船に、暫く海を眺めるアマリスであった。
流石に一時間もしたら体が冷えると心配したユリウスがアマリスの手を引いて船内に入る。
船内ではダンスパーティーが催されており、ユリウスはアマリスをダンスに誘っう。
「今日の主役は公爵令嬢様なのですから、先ずは公爵令嬢様と踊って下さい」
そう、ユリウスの誘いを蹴ったアマリスは公爵令嬢を探す。
別の男性と踊っている所であった。
主役はずっと踊りっぱなしで大変そうである。
「公爵令嬢はまだ別な方とダンスしているし、良いだろ?」
そう、なおも誘うユリウス。
でも、ユリウスは公爵令嬢の婚約者でも有るわけで、やはりここは公爵令嬢と最初のダンスをするのが礼儀というものである。
アマリスはユリウスの誘いに首を振る。
ユリウスはシュンと、ちょっと項垂れていた。
「お待たせしてしまい、申し訳ありません」
公爵令嬢はダンスは終えてユリウスの元を訪れる。
「いえ、次の曲は僕と躍って頂けますか?」
手を差し出すユリウスに、公爵令嬢は「喜んでん」と、手を重ねた。
二人は仲良く手を繋いで次のダンスに向かうのだった。
見送るアマリスは何だかホッとする。
二人の相性も良さそう。
「聖女様ですね。良ければ航海の安全をお祈りして頂けますか?」
不意に声をかけられ振り向く。
公爵令嬢のお付きだろう。
ちゃんと船に乗ってすぐお祈りはしたのだが、勝手に一人でお祈りしても解らないだろう。
安心させる為にも、もう一度お祈りしておこう。
何回お祈りしたって悪いことは無い。
アマリスは頷いて、お付きの人に着いて甲板に出るのだった。
お付きの人は面ではなく、立ち入りを制限している区画にアマリスを案内する。
人目の無い場所であったが、これといって変だとは思わず、手すりの側に寄ると目を閉じて手を合わせお祈りの体制に入るアマリス。
「ん……!?」
急に口を抑えられ、体を持ち上げれ驚く。
「悪く思うなよ。公爵令嬢様の命令なんだ」
そう、囁かれたと思った次の瞬間には海の中である。
私、海に投げ落とされた!?
泳ぎは習っていないし、衣類が水を吸って重く、苦しい。
アマリスは何も考えられず、ただ海の底に沈んで行くしか無かった。
ただただ苦しい。
公爵令嬢とのダンスは終えたユリウスはアマリスの姿が無い事に気づき、直ぐに辺たりを探したが見つけられず、騒動となった。
全員でくまなく船の中を探し回ったが姿は何処にも無く、海に落ちたとしか考えられない状況である。
ユリウスは何故アマリスの手を離してしまったのかと、悔やんでいた。
隣では公爵令嬢が必死にユリウスを慰める。
その口元には笑みが浮かんでいた。
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