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53話
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俺は何をしているのだろうか。
だんだん冷静になる漆黒。確かに願いは叶えたいが、声や足を失うのは、黒の王国の王としてリスクが高すぎる。魔物達の統制が取れなくなったら本末転倒だ。
何故、あんな薬を飲もうとしてしまったのか。
魅力的では有るが、リスクを考えたら飲める様な代物では無かった。
それに、重大な事を伝え忘れた。
裏柳が妊娠してる事だ。大変だ早く知らせて鹿に見てもらわないと……
鹿で大丈夫だろうか。新しい医者を雇うべきだろうか……
若干不安は有るが、今は鹿しか居ないので鹿で見てもらうしかないか。
「虎ー虎ー!! おーい! 虎ー」
漆黒は取り敢えず虎を呼んだ。
「王、申し訳ないんですが、まだ出せないんです。大人しくしててください。何か欲しい物でも有りますか? ご飯?」
「違う! 裏柳だ!」
「裏柳様ですか!? 牢屋で襲うのはどうかと思います…… あ、小水?」
「違う!! 裏柳が妊娠してるんだ!」
「あー」
虎はまだ錯乱状態なんだなぁみたいな顔をしている。
「俺も信じられないが、検査してくれ!! 頼む。胎児が健康か気になる」
「解りました……」
あまりにも必死な様子の漆黒に、虎も頷く。
「一応、裏柳様に掛け合ってみます」
「ああ、頼む」
取り敢えず本人の意見を聞こうと、虎は裏柳の元へ向かった。
漆黒の様子は普通の状態に戻っていた様に見えた。もしかすると、本当に?
虎はドキドキしつつ、裏柳を探す。
裏柳は桃の部屋でティーパーティーをしていた。
「あ、虎。丁度いいところに、俺の小水と桃の小水も取っておいたから漆黒の所に持って行ってくれ」
「あ、はい」
恥しそうにしている桃と、堂々とした様子の裏柳。
裏柳様は本当に記憶が無いのだろうか? と、不思議になる程馴染んでいる。
「あの、王が裏柳様が妊娠している等と妄言を、一応調べて貰えますか?」
言いずらそうに伝える虎。
「妊娠?」
俺が??
と、ポカーンとしてしまう裏柳。
まぁ、調べるぐらいなら良いか。
「じゃあ調べて貰います」
頷く裏柳に、虎はお礼を言って鹿の元に連れて行くのだった。
結果。妊娠していた。
「裏柳様、ご懐妊でした」
「ええええーーー!!!!????」
いつの間に??
心当たりが無さすぎる。いや、そうか俺、記憶喪失だもんな。心当たりが無いに決まっている。
「申し訳ありません。妊娠3週間程です」
鹿は青ざめていた。
だが、普段の健康管理は漆黒がしていたし、余程の事が無い限り、鹿が裏柳を見る事等無いのである。
だから免罪だろう。
寧ろ毎日裏柳の小水を飲んでいた漆黒が気づかなかった方が問題では無いかと思う鹿である。
「3週間と言う事は、あと5ヶ月ほどで産まれると?」
「ええ、順調に育っています」
「性別は?」
「王子らしい立派な物が見えますよ」
「男の子なんですね」
世継ぎとなれる男の子で、ホッとする裏柳。
だが産むには白の王国に戻らなければならない。
また漆黒を忘れてしまう。
それに白の王国に帰れば、白亜が……
裏柳は白亜に襲われたのがトラウマになり、白亜に合うのが怖い。
あれ?
バリアの内と外では記憶は保てない筈だ。
俺、白亜の事とか覚えてるぞ??
もしかして、俺は記憶に残りやすタイプなのかも。
ならばもう一度ぐらい大丈夫なんじゃないだろうか。
そんな楽観的な事を考える裏柳。
希望は有ったほうが良い。
きっと俺は漆黒を忘れたりしない。
だんだん冷静になる漆黒。確かに願いは叶えたいが、声や足を失うのは、黒の王国の王としてリスクが高すぎる。魔物達の統制が取れなくなったら本末転倒だ。
何故、あんな薬を飲もうとしてしまったのか。
魅力的では有るが、リスクを考えたら飲める様な代物では無かった。
それに、重大な事を伝え忘れた。
裏柳が妊娠してる事だ。大変だ早く知らせて鹿に見てもらわないと……
鹿で大丈夫だろうか。新しい医者を雇うべきだろうか……
若干不安は有るが、今は鹿しか居ないので鹿で見てもらうしかないか。
「虎ー虎ー!! おーい! 虎ー」
漆黒は取り敢えず虎を呼んだ。
「王、申し訳ないんですが、まだ出せないんです。大人しくしててください。何か欲しい物でも有りますか? ご飯?」
「違う! 裏柳だ!」
「裏柳様ですか!? 牢屋で襲うのはどうかと思います…… あ、小水?」
「違う!! 裏柳が妊娠してるんだ!」
「あー」
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「俺も信じられないが、検査してくれ!! 頼む。胎児が健康か気になる」
「解りました……」
あまりにも必死な様子の漆黒に、虎も頷く。
「一応、裏柳様に掛け合ってみます」
「ああ、頼む」
取り敢えず本人の意見を聞こうと、虎は裏柳の元へ向かった。
漆黒の様子は普通の状態に戻っていた様に見えた。もしかすると、本当に?
虎はドキドキしつつ、裏柳を探す。
裏柳は桃の部屋でティーパーティーをしていた。
「あ、虎。丁度いいところに、俺の小水と桃の小水も取っておいたから漆黒の所に持って行ってくれ」
「あ、はい」
恥しそうにしている桃と、堂々とした様子の裏柳。
裏柳様は本当に記憶が無いのだろうか? と、不思議になる程馴染んでいる。
「あの、王が裏柳様が妊娠している等と妄言を、一応調べて貰えますか?」
言いずらそうに伝える虎。
「妊娠?」
俺が??
と、ポカーンとしてしまう裏柳。
まぁ、調べるぐらいなら良いか。
「じゃあ調べて貰います」
頷く裏柳に、虎はお礼を言って鹿の元に連れて行くのだった。
結果。妊娠していた。
「裏柳様、ご懐妊でした」
「ええええーーー!!!!????」
いつの間に??
心当たりが無さすぎる。いや、そうか俺、記憶喪失だもんな。心当たりが無いに決まっている。
「申し訳ありません。妊娠3週間程です」
鹿は青ざめていた。
だが、普段の健康管理は漆黒がしていたし、余程の事が無い限り、鹿が裏柳を見る事等無いのである。
だから免罪だろう。
寧ろ毎日裏柳の小水を飲んでいた漆黒が気づかなかった方が問題では無いかと思う鹿である。
「3週間と言う事は、あと5ヶ月ほどで産まれると?」
「ええ、順調に育っています」
「性別は?」
「王子らしい立派な物が見えますよ」
「男の子なんですね」
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だが産むには白の王国に戻らなければならない。
また漆黒を忘れてしまう。
それに白の王国に帰れば、白亜が……
裏柳は白亜に襲われたのがトラウマになり、白亜に合うのが怖い。
あれ?
バリアの内と外では記憶は保てない筈だ。
俺、白亜の事とか覚えてるぞ??
もしかして、俺は記憶に残りやすタイプなのかも。
ならばもう一度ぐらい大丈夫なんじゃないだろうか。
そんな楽観的な事を考える裏柳。
希望は有ったほうが良い。
きっと俺は漆黒を忘れたりしない。
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