【完結】皇子に迫られて困っています。悪役令嬢ポジとか言われても、私は田舎で暮らしたいので

甘塩ます☆

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1話

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 公爵令嬢であるリリーは皇子であるレオンの幼馴染であり、妃候補筆頭であった。だがあまり本人としては乗り気では無く、本人からのアプローチものらりくらりと交わしていた。レオンとしてもリリーを妃に娶りたいと思っていても本人にその気が無いのを権力で物にするのも嫌で、プロポーズはせずに先延ばしにいていた。
 
 リリーが校舎の中庭に出た時であった。

「平民出の癖に生意気よ!」
「ごめんなさい、ごめんなさい」

 大きな怒鳴り声と怯える声、女生徒が虐められている様だ。生徒会副会長として無視できない。

「何をしてるのです!」

 リリーは虐められている女生徒を庇う様に、間に割って入る。
 咄嗟に庇ったので激情していた女生徒から頬を平手打ちされた。
 女生徒も自分が平手打ちしてしまった相手が公爵令嬢であり、皇子の妃候補筆頭であり、更に生徒会副会長のリリーで有ると知り、青ざめる。

「リリー様…… 申し訳ありません」

 頭を下げる女生徒、確か、伯爵令嬢のカロリーナさんだ。

「いかなる理由が有れど、手を挙げるのはやめなさい。カロリーナさん」
「はい…… ですが、そこの平民出が……」
「言い訳は見苦しいですよ。マリナさんが平民出だとかは関係無いでしょう。今は貴女と同じ伯爵令嬢ですし、そもそもここは学園ですよ。ここでは身分の違いは無いはずです」
「はい……」

 カロリーナはリリーに頭を下げ、一歩足を引いた。
 本来、彼女は礼儀正しい令嬢である。理由が無ければこんな事はしない。
 マリナのマナーが少しなっていなかったのだろう。平民出の彼女は、まだこの世界の習わしには慣れないのだろう。
 仕方ない事だ。

「マリナさん、いくら此処が学園であり、身分差が無いとしても、皇子にいきなり抱きついたり、食べ物を差し出したりするのは礼儀がなっていませんよ。注意して下さいね」

 一応、注意しなければならないだろう。レオンも怪訝そうにしていたし。カロリーナもそれを見ていて注意していたのだろう。だが手を上げたり平民だなどと差別的な発言をするのは良くない。
 
「ごめんなさい。私、まだよく解らなくて、あの方は皇子様だったのですね。マリナ全然知らなくてー」

 うぇーんと泣いているマリナ。

「反省してくれているならもう良いです。解らない事は私に聞いて頂けたら教えますので」

 リリーは溜息混じり伝える。この国の者が皇子を知らないだなんて有るわけ無いと思うのだが…… まぁ、そう言うのだから信じてやろう。

「皆様、気を取り直してお茶でも致しましょうか」

 折角天気も良いし、中庭まで出てきたのだ。気分転換にもなるだろうと、その場いた全員を連れてお茶会を開く事にした。
 
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