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14話
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これで皇子も色んな女性とダンスして親睦を深めたら良いわ。
リリーはそんな事を考えながら辺りを見渡す。
「今晩はリリー。今日は珍しいですね。良いんですかマリナ嬢に皇子を渡してしまって」
「今晩はアラン。ここは女性と男性がダンスを躍る会ですからね。良いと思います。皇子ももっと色んな女性と話して世界を広げるべきだと思います」
「そうですね。でもほら、何か…… とても悲惨な事になってますよ」
レオンとマリナのダンスは大変な事になっている。
マリナはダンスが下手くそそうだ。平民から急に貴族になりまだ日が浅いのでダンスが苦手でも仕方ないのだが、それにしたって酷すぎた。
レオンもレオンで全くサポートしてあげていない。
理由はリリーがアランと話ししていて気になり、ダンス所では無いのだろう。
もうまるで相撲を取っている様である。
皆、笑ってしまわない様に必死な面持ちだ。
「何故あんな事になっているのでしょうか。どうしましょう。止めた方が良いわよね……」
予想外の出来事でリリーも困惑してしまう。
まさかこんな事になるとは、これでは皇子が笑い者である。
何故、皇子はマリナさんをサポートせず、ステップもバラバラになってしまっているのか。
理由は解らないが、流石に止めなければ。
「アラン手伝ってください。私が皇子とダンスの続きを踊りますので、アランはマリナさんをお願いします」
「えっ、何で僕がマリナ嬢と……」
とっても嫌である。
そもそも自分は一人になってしまったリリーをダンスに誘おうとして声をかけたのに何故こんな事に。
「ほら早くしてください。いつ皇子かマリナさんが転んでしまうか解りません」
アランの手を引くリリー。ダンスを躍る様に誤魔化しつつ、二人に近づく。
だが、リリーがアランと手を繋いでダンスしていると思ったレオンは更にステップを乱れさせてしまう。
「キャッ!」
「うわっ!」
リリーが恐れていた事がおこる。二人して体制を崩し、倒れかかったのだ。
レオンは何とか踏みとどまったが、マリナは踏みとどまれない。
まるでレオンがマリナに柔道の内股でも決めてしまった様になってしまった。
慌ててマリナに手を差し出し、倒れてしまわない様に、庇うリリー。
リリーを巻き込む形になって倒れてしまった。
「キャー!! リリー様!!」
「リリー様!!」
見ていた取り巻きから悲鳴が上がる。
「リリー!」
レオンも心配し、リリーを確かめる。
「いたぁーい。足がぁ」
リリーの上に倒れたマリナが痛がっている。
「早くリリーから退けろ!」
リリーを下敷きにして何ほざいてんだとマリナを押し退けるレオン。
「リリー大丈夫? 何処か痛いところは無いかい? 怪我は??」
リリーを心配するレオン。取り巻き達ももリリーを心配し、寄ってくる。
誰の目にもマリナは写っておらず、蚊帳の外であった。
「大丈夫です」
起き上がるリリー。平気な顔をするが手首を捻ったらしい。
痛い。
「マリナさんはお怪我はありませんか?」
リリーはマリナを心配し、声をかける。
「足が痛くて歩けません。きっと捻ったんだわ」
痛い痛いと騒ぐマリナ。
「マリナさんはダンスが苦手な様ですね。もう少し練習した方が宜しいです」
怪我を心配して注意するリリー。人を誘ってダンスするには危険過ぎるレベルだった。皇子にも後でちゃんとエスコートしなさいと説教しなければならないが、今は人目が有るので出来なかった。
「誰か、マリナさんを医務室に……」
誰も連れて行ってくれそうにない。
「アラン。マリナさんを医務室に連れて行ってください」
アランは何で僕がと言う表情をするが、他に頼める人が居ないのだ。
まぁ、それだけリリーに頼りにされているのだと思うと役得な気もしてくるアラン。
仕方ない。
「マリナ嬢、医務室まで行きましょう」
マリナに手を差し出すアラン。
どう見ても足は何とも無いと言うのに。
「何よ、何様なのよ。皆、皆、悪役令嬢ばかり、何なのよ」
マリナはブツブツ何かを言っている。
正直怖い。
アランは泣きそうになりつつ、マリナの手を引いて医務室まで連れて行くのであった。
リリーはそんな事を考えながら辺りを見渡す。
「今晩はリリー。今日は珍しいですね。良いんですかマリナ嬢に皇子を渡してしまって」
「今晩はアラン。ここは女性と男性がダンスを躍る会ですからね。良いと思います。皇子ももっと色んな女性と話して世界を広げるべきだと思います」
「そうですね。でもほら、何か…… とても悲惨な事になってますよ」
レオンとマリナのダンスは大変な事になっている。
マリナはダンスが下手くそそうだ。平民から急に貴族になりまだ日が浅いのでダンスが苦手でも仕方ないのだが、それにしたって酷すぎた。
レオンもレオンで全くサポートしてあげていない。
理由はリリーがアランと話ししていて気になり、ダンス所では無いのだろう。
もうまるで相撲を取っている様である。
皆、笑ってしまわない様に必死な面持ちだ。
「何故あんな事になっているのでしょうか。どうしましょう。止めた方が良いわよね……」
予想外の出来事でリリーも困惑してしまう。
まさかこんな事になるとは、これでは皇子が笑い者である。
何故、皇子はマリナさんをサポートせず、ステップもバラバラになってしまっているのか。
理由は解らないが、流石に止めなければ。
「アラン手伝ってください。私が皇子とダンスの続きを踊りますので、アランはマリナさんをお願いします」
「えっ、何で僕がマリナ嬢と……」
とっても嫌である。
そもそも自分は一人になってしまったリリーをダンスに誘おうとして声をかけたのに何故こんな事に。
「ほら早くしてください。いつ皇子かマリナさんが転んでしまうか解りません」
アランの手を引くリリー。ダンスを躍る様に誤魔化しつつ、二人に近づく。
だが、リリーがアランと手を繋いでダンスしていると思ったレオンは更にステップを乱れさせてしまう。
「キャッ!」
「うわっ!」
リリーが恐れていた事がおこる。二人して体制を崩し、倒れかかったのだ。
レオンは何とか踏みとどまったが、マリナは踏みとどまれない。
まるでレオンがマリナに柔道の内股でも決めてしまった様になってしまった。
慌ててマリナに手を差し出し、倒れてしまわない様に、庇うリリー。
リリーを巻き込む形になって倒れてしまった。
「キャー!! リリー様!!」
「リリー様!!」
見ていた取り巻きから悲鳴が上がる。
「リリー!」
レオンも心配し、リリーを確かめる。
「いたぁーい。足がぁ」
リリーの上に倒れたマリナが痛がっている。
「早くリリーから退けろ!」
リリーを下敷きにして何ほざいてんだとマリナを押し退けるレオン。
「リリー大丈夫? 何処か痛いところは無いかい? 怪我は??」
リリーを心配するレオン。取り巻き達ももリリーを心配し、寄ってくる。
誰の目にもマリナは写っておらず、蚊帳の外であった。
「大丈夫です」
起き上がるリリー。平気な顔をするが手首を捻ったらしい。
痛い。
「マリナさんはお怪我はありませんか?」
リリーはマリナを心配し、声をかける。
「足が痛くて歩けません。きっと捻ったんだわ」
痛い痛いと騒ぐマリナ。
「マリナさんはダンスが苦手な様ですね。もう少し練習した方が宜しいです」
怪我を心配して注意するリリー。人を誘ってダンスするには危険過ぎるレベルだった。皇子にも後でちゃんとエスコートしなさいと説教しなければならないが、今は人目が有るので出来なかった。
「誰か、マリナさんを医務室に……」
誰も連れて行ってくれそうにない。
「アラン。マリナさんを医務室に連れて行ってください」
アランは何で僕がと言う表情をするが、他に頼める人が居ないのだ。
まぁ、それだけリリーに頼りにされているのだと思うと役得な気もしてくるアラン。
仕方ない。
「マリナ嬢、医務室まで行きましょう」
マリナに手を差し出すアラン。
どう見ても足は何とも無いと言うのに。
「何よ、何様なのよ。皆、皆、悪役令嬢ばかり、何なのよ」
マリナはブツブツ何かを言っている。
正直怖い。
アランは泣きそうになりつつ、マリナの手を引いて医務室まで連れて行くのであった。
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