朧月楼の殺人

回転焼き。

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 執事風の使用人は恭しく頭を下げた。私はそれに応えるように手を挙げる。もう誰もいなくなってしまったその館の死体を片付けさせてしまった事は、大変申し訳ないと思いながらも…

「終わりましたね」

 ああ、と私は答えた。そうだ。私はこれで全てを終わらせたのだ。決別を終えた私にはもう何もない。この館の秘密を知っているのは何を隠そう、額賀家の血を引く私だけなのだから。執事は撫で付けた髪を撫でて言う。

「これで、私の仕事も終わりでございます」
「すまないな」
「とんでもない。私はただ、この館を見守るだけのただの老いぼれであります」

 この館の秘密。それはこの朧月楼は、二層になっている塔なのである。例えば、正面玄関は薄野原にひとつ、そしてもう一段下がった薄野原にもうひとつ、全く同じくつくりのものがある。
 ゆえに、1階ロビーの上の階にもうひとつ1階ロビーが存在する。2階の上の階には全く同じ2階があるのだ。
ーそう、全く同じものが2つ。だからエレベーターが上下する時間が長いのである。
 そして、演劇サークルと推理研究会は、全く同じ時間を朧月楼で過ごしていたのである。

 私はデュパンを殺害し、首を切断した。かたや御厨を殺害し、首をスーツケースに入れたという風になっている。しかし実際は死んだのは御厨1人であり…

「デュパン様、とお呼びしますか?」
「いや、もういい」

 デュパンなどという人間は、初めから居なかったのだ。いや、居ないというより…

「分かりました。瑛一坊っちゃま」
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