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ピアノ・ソナタ 第23番 「熱情」 ベートーヴェン

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<タイトル>

ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 作品57 「熱情」

<作曲者>

ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

<おすすめ盤>

ヴラディーミル・アシュケナージ(ピアノ)

<解説>

 ベートーヴェンの創作活動における中期に作曲され、彼のいわゆる「三大ピアノ・ソナタ」のひとつに数えられているナンバーです。

 あとの二つは第8番「悲愴」と第14番「月光」ですね。

 冒頭で提示される「たたたた~ん」という特徴的な音型は、のちに交響曲第5番「運命」の有名すぎるフレーズに引用されることになります。

 第一楽章は静かに始まる第一主題と、打って変わって嵐のような第二主題のギャップが実に印象的です。

 当時における先生の精神を投影していたのでしょうか?

 いかにも「怒れる獅子」といった風情です。

 穏やかな第二楽章からアタッカ(切れ目なく)で演奏される第三楽章は特にも圧巻であると言えます。

 コーダ(最後の部分)の連打はさしずめマシンガンのようで、ピアニストの方にとっては難関であるいっぽう、弾いていてすごく気持ちよさそうです。

 のちに続く作曲家たちもこぞって影響を受けていますし、よくもこんな曲を思いついたものだとうなってしまいます。

 まさしくパイオニアですね。

 おすすめは筋肉モリモリな演奏に定評のあるアシュケナージさんですが、ただでさえ暑苦しい(失礼!)なこの曲ですから、スタミナ満点のニンニク入り焼肉(たとえがアレですが)的な聴きごたえがあります。

 暑い日には逆に、こういう煮えたぎる音楽も悪くありません。
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