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1章

8 狂犬と装備

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「風魔法がレベル5になったっ!」

「と、いうことは、新しい呪文アーツを覚えたはず」

「覚えたよ。風魔法Lv5アーツ、ウィンドカッターだってさ」


 ウィンドカッターとはまた、切れ味が鋭そうなことだ。


 ミレアの種族レベルも3に上がっており、順調。

 僕のレベルは5のまま変わりなし。


《熟練度が一定に到達し【索敵】スキルがLv3になりました》


 ハウンドを索敵Lv1アーツ、サーチで捜していたら、レベルが上がった。

 発見のレベルも、ついさっき上がっており、3になっている。


「ミレア、次のハウンドを見つけたから、あっちへ行こう」

「十体討伐まで、あと一体!早く倒して報酬を!」

「そんなに焦らなくても、ハウンドは逃げないぞ?」

「そうだけど・・・借金があるとムズムズする・・・!」


 妹よ、ならば何故借金などしたのか。







「ウィンドカッター!」

「ギャン!?」


 ハウンドがミレアの風魔法によって葬られた。


「終わったー!」

「お疲れ様。」


 ミレアがハイタッチを求めてきたので、軽くしておいた。

 解体を済ませて町へ帰ろうという時に、魔物が現れた。

 しばらくサーチを使っていなかったので、気が付かなかった。



 クレイジーハウンド Lv1
 魔物 上位種 格上
 ??? ???


 何ということだ、上位種ではないか。

 格上という文字が濃いめの赤で輝いている。


《熟練度が一定に到達し【解析】スキルがLv4になりました》


 レベルアップは嬉しい。


 さて、これは嫌がらせなのか、はたまたご褒美なのか、判断に迷うところだ。


「ミレア、どうする?」

「うーんと・・・アスト兄が囮になって、私が逃げる!」

「却下!」

「えー?」


 ナチュラルに僕を見捨てようとしないでくれ・・・。

 ちなみに、逆はなおさら駄目だ。


「前衛はやるから、援護よろしく!」

「このゲーム、格上を倒すのって凄く難しいのに・・・」

「ぼやいて無いで戦闘準備!」

「はーい!」


 そうこうしている間に、敵が飛びかかって来た。

 加速Lv1のアーツ、アクセラレーションを使用。


「スラッシュ!」


 ギリギリだが、クリティカルヒットになった。

 加速していてもギリギリとは、格上を倒すのが大変と言われるわけだ。


「ウィンドボール!」


 ミレアのウィンドボールが命中したが、吹っ飛ばない。

 ダメージも殆ど無く、僕の攻撃と合わせても、HPバーの減りは一割に届かない。


 今度は上から飛びかかる形で、僕を襲って来た。


「ウィンドボール!」


 ミレアは自分の魔法ではダメージが殆ど与えられないと判断して、僕のサポートに専念してくれるようだ。

 それを一瞬で判断できるとは、やはり頭の回転が速い。


 再びアクセラレーションを使用し、空中で態勢を崩した敵に剣術のアーツを使用。


「スラッシュ!ダブルスラッシュ!」


 隙だらけだったので、とても狙いやすかった。

 クリティカルコンボ3HITの文字が目に付く。


「スラッシュ!」


 更に追撃して、クリティカルコンボ4HITに。

 ダブルスラッシュは僅かにクールタイムがあるので、使用できなかった。


「ガウゥゥッ!!」


 空中からの攻撃は危険と判断したのか、地面を駆けながら突進してくる。


「ウィンドカッター!」


 その行動を読んでいたらしいミレアが、地面スレスレを通るような軌道で、風魔法Lv5アーツ、ウィンドカッターを放った。

 クレイジーハウンドは、見事に足を取られて勢いそのままにズッコケた。

 倒れた場所は、僕の目の前。

 加速を使うまでも無いので、剣術のアーツを使用。


「スラッシュ!」

「ガァァッ!?」


 クリティカルコンボ5HIT!の文字が浮かぶ。

 ハウンドのHPバーは残り四割。


 ここは畳みかけてしとめるべきだろう。

 アクセラレーションを使用し、アーツを連続使用。


「スラッシュ!ダブルスラッシュ!」


 コンボが8HITに伸びて、クレイジーハウンドのHPバーは風前の灯に。


「ウィンドカッター!」


 ミレアの風魔法がとどめとなり、戦闘に勝利した。


《アストのレベルが6になりました》
《能力値ポイントを2獲得しました》
《スキルポイントを1獲得しました》
《職業が剣士Lv6になりました》
《熟練度が一定に到達し【剣術】スキルがLv7になりました》
《取得可能なスキルに【照準】が追加されました》


 能力値の振り分けは、物理攻撃力と平均速力に1ポイントずつ。

 照準スキルについては後回しだ。


「わっ、またレベルが上がった!」

「おめでとう。当然かもしれないけど、上位種は経験値が多めみたいだな」


 貢献度に応じた経験値分配もあるのかもしれないが、その辺は不明だ。



【草原狂犬の皮】素材アイテム レア度2
 クレイジーハウンドの皮。
 ハウンドの皮よりも丈夫。
 防具などに加工することが可能。

【草原狂犬の爪】素材アイテム レア度2
 クレイジーハウンドの爪。
 弓などの武器に加工することが可能。


《熟練度が一定に到達し【解体】スキルがLv4になりました》


 皮の方は防具に使えそうだが、爪の方は売るしか思いつかない。

 兎の肉とともに売ってしまおう。


「まさか本当に勝てるなんて・・・!でも疲れたぁ・・・」

「そうだな。依頼も完了したわけだし、今度こそ町へ帰ろう」


 僕は、ぐてーっ、としているミレアに声を掛けて、アライアの町へ帰還した。






 名前 アスト

 種族 人間 Lv6
 職業 剣士 Lv6
 スキルポイント4

 アナザースキル
 加速Lv2

 スキル
 剣術Lv7 火魔法Lv3 解析Lv4
 解体Lv4 錬金Lv4 発見Lv3
 索敵Lv3

 称号
 開拓者 冒険者 使徒

 基礎能力値

 物理攻撃力 14
 物理防御力 13
 魔法攻撃力 10
 魔法防御力 10
 平均速力  13

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