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3章

131 投擲の運用法

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 ウェザリアから出ようとすると、またしてもミレアとレインの話し声が聞こえてきた。
 盗み聞きの趣味など無いので気にせずに行こう。


「それでレイン。アスト兄のこと、どう思ってるの?」

「えっ・・・!?それは、その・・・」


 前言撤回。
 少しだけ入口で聞いていこう。
 よーく耳を澄ませて二人の会話を聞く。


《マスタースキル【聴覚強化】【照準】を確認しました》
《プレイヤースキルの条件達成を確認しました》
《取得可能スキルに【聞き耳】が追加されました》


 ぐっ・・・やっぱりやめよう。
 こう、はっきりとアナウンスされると凄くいけないことをしている気分になる。
 聞かれる側も気分悪いだろうし、ここは鋼の意志で我慢だ。
 当然、聞き耳なんてスキルは取得しない。

 さ、今度こそウレスタの町へ向かおう。



 〇〇〇



「・・・アスト兄は紳士なのかヘタレなのか、悩みどころだねぇ」

「ミレア?どうかしたんですか・・・?」

「え?ううん、何でもないよ!」

「そう、ですか・・・?」



 〇〇〇



 転移水晶からウレスタの町に到着。
 町の外から「ギャー!」とかいう悲鳴が聞こえた気がするが、気のせいだ。

 では、木材を探そう。
 新しいアーツ『木材大発見』が役に立つ。









《熟練度が一定に達し【投擲術】スキルがLv8になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力察知】スキルがLv18になりました》
《熟練度が一定に達し【先手】スキルがLv14になりました》
《熟練度が一定に達し【忍び足】スキルがLv14になりました》
《熟練度が一定に達し【鷲の目】スキルがLv8になりました》


 先に敵を察知して、忍び足を用い木の陰などに隠れる。
 少し離れた死角から鷲の目と未来視のスキルで敵の動きを把握。
 先手のスキルを使用して銀のナイフを急所へ投擲。

 そんな即席で考えた作戦は意外と上手くいき、次々とコボルトを葬った。
 さすがにナイフ一本では仕留め切れないので、一体につき何本か投げたが、敵に接近される前に倒し切れた。
 居場所に気づかれる前に忍び足で移動して死角をとり続けるのが重要だ。
 縮地や瞬動も併用できると更に良い。

 問題は、森という地形だからこそできるコンボだという事と、敵が強くなるほど未来が外れやすくなるという事だ。
 同格相手だと、一秒先の未来でも的中率は半分くらいだろうか。
 まだ検証と実験が全く足りないので、正確な確率ではないだろうし人間相手だと勝手も違うはずだ。
 この戦法を使う時は、過信しないで常に気を張っておこう。


 気配感知と魔力察知を張り巡らせ、次の獲物を探す。
 木材探し?探索していればそのうち見つかるだろう。
 現在地、町の南側から西方向にコボルトの群れを発見したのでそちらへ向かう。


 木の上に空中跳躍で飛び乗って身を隠す。
 枝の上でも忍び足を使えるのは嬉しい誤算だ。



 コボルトソーサラー Lv6
 魔物 上位種Ⅱ 格下
 スキル 中級杖術 火焔魔法

 コボルトクレリック Lv7
 魔物 上位種Ⅱ 格下
 スキル 光明魔法 魔守

 コボルトファイター Lv9
 魔物 上位種 格下
 スキル 中級格闘術



 コボルトソーサラーと初見のコボルトクレリックが一体ずつ。
 コボルトファイターが六体。
 前衛の数自体は多いが、質は低めだ。

 最初に狙うのは・・・クレリックだろうな。
 他のコボルトをちまちま削っても回復されてしまう。
 それは是非とも遠慮したい展開である。

 ヒーラーらしく耐久は低いと思うが、銀のナイフが何発必要だろうか。
 クリティカルなら五発くらいで何とかなるといいな。

 それでは、戦闘開始。
 未来視Lv1アーツ『フューチャー・アイズ』を使用して、動いているコボルトクレリックがとる一秒後の動きを見る。


「・・・ダブルスローイング!」


 離れた場所に居る敵に、ナイフが連続で直撃。
 コボルトたちは突然の出来事に驚き、騒いでいる。
 今回は未来視が当たったが、このスキルに頼り過ぎないように気をつけよう。

 敵が騒いでいる内に木から降りて場所を移動し、再び銀のナイフを投擲。
 今度の狙いもクレリックだが、警戒されたせいかクリティカルならず。
 まあいいさ。そうなることは予想済みだからな。
 投擲は要練習だが、今回はクレリックのHPを削り切れればそれで十分だ。


《熟練度が一定に達し【投擲術】スキルがLv9になりました》


 その後、計十五本のナイフを直撃させてクレリックを葬った。
 最後の投擲は回復魔法を発動させまいと急いで無理をしたので、敵に見つかってしまった。
 接近される前に、投擲でファイターを二体倒した。


《熟練度が一定に達し【投擲術】スキルがLv10になりました》
《【投擲術】Lv10アーツ『トリプルスローイング』を習得しました》
《【投擲術】スキルが最高値になりました》
《【中級投擲術】スキルが派生しました》
《熟練度が一定に達し【鷲の目】スキルがLv9になりました》


 このあたりで限界だな。
 クレリックの対処に時間を割き過ぎた。
 あとは接近戦で仕留めよう。

 収納から水飛沫の槍を取り出して突撃。
 ソーサラーのフレイムエクスプロージョンは空中機動の二段ジャンプを使用して木の上を移動することでで回避。
 木の上でイエローステップを使用し、ソーサラーの背後に飛び降りつつ攻撃。


「トリプルスラスト!ダブルスラスト!」

「ガアアッ!?」


 水飛沫のエフェクトが見えたので、水流属性のダメージ発生したようだ。
 そのままソーサラーを葬って、残りのファイターも討伐した。


《熟練度が一定に達し【瞬動】スキルがLv14になりました》
《熟練度が一定に達し【闘気】スキルがLv8になりました》
《熟練度が一定に達し【空中機動】スキルがLv6になりました》


 戦闘勝利でスキルも上昇した。
 敵の数が多い時に投擲術は有用だな。
 魔法と違ってMPを消費しないし、APの消費は少なめだからな。

 さて、コボルトクレリックはいいアイテムを残してくれるだろうか。
 期待を込めて解体しよう。

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