異世界転生? いいえ、チートスキルだけ貰ってVRMMOをやります!

リュース

文字の大きさ
243 / 264
4章

242 ギルド戦準備 その3

しおりを挟む
 選択を終え、システマの見送りを受けて転送されたのは、風の都郊外。
 目の前には大きな城が聳え立っている。

 僕たちが拠点に選んだのは、風の都ウィーンフライトから少し離れた場所にある、この辺りで一番高い山の山頂にある西洋風の城だ。

 少人数用の拠点であり、天然の要塞。
 山を登ってここまで辿り着くことさえ面倒極まりない位置。
 侵入推奨箇所は西門一つだけであり、そこも急斜面になっている。

 早い段階で議論が纏まったのは、この拠点が自分たちにぴったりだったからだ。
 反対意見も出ず、早々に決まってしまったのである。


「残り二時間三十分ね。全員、城の設備確認を急いでちょうだい。それが終わったら作戦会議とフラッグの位置決めをするわよ」

「「「「「了解!」」」」」


 そして、全員で城の設備確認を開始した。


「―――ねぇアスト、どうして西洋風のお城なのに日本風の内つくりなのかな?」

「そんなこと僕に聞かれても知らんよ・・・と、ここは見張り台に使えるな」


 そんなこんなでツッコミどころは満載だったが、一通りの確認は終わった。

 城の構造は見た目に反して三階建て(意味不明)だった。
 山の頂上だけあって、天守閣からは周囲が一望でき、敵の接近を見つけやすい。
 唯一の侵入箇所と思われる西門から先は急斜面で、そこで戦うのは大変そうだ。

 そんな感じで内部状況の共有を終えて、作戦会議へ移った。
 ちなみに場所は天守閣。


「―――それで、基本方針を決めたいのだけれど、なにか意見はあるかしら?」

「うぃ、全員で立てこもって籠城戦」


 真っ先に意見を出したのはミア。
 この城を見た後だと、それも案外悪くないと思えてしまう。
 僕とミレアを含めて全員で守れば、そうそう陥落はしないだろうし。

 あ、陥落というのは比喩だ。
 フラッグを奪われる状況のことを指している。
 一度目を許したら、その後の難易度は随分下がりそうだしな。


「でもそれだと、ポイントを稼げないよね? 私は全員で攻めるに一票!」

「シエラ、貴方は少し黙っていて頂戴」

「何でっ!?」


 はぁ・・・「何でっ!?」じゃないだろう。
 コイツ実は深く考えずに一番楽しそうなのを選んだな?

 基本方針として、全員で守りはアリでも全員で攻めはナシだろう。
 そんなことしたら、いくら天然の要塞でも陥落させ放題だろうに。
 シエラはそんなことも分からないのか。


「・・・アストから熱い視線を感じるんだけど?」

「・・・はぁ」

「今のため息は何なのかなぁっ!?」


 もういい、コイツは放っておこう。
 ミアのアイデアについてだが、意外とちゃんと考えられている。

 僕たちは少人数故に、二十四時間生き延びて最後まで残ることも困難だ。
 試合展開次第ではあるが、守備一辺倒というのも悪くない。

 例えば、最終成績がどこもマイナスポイントだらけなら、ゼロポイントでも上位に食い込める可能性は無きにしも非ずだ。


「最初は様子見を兼ねて守備重視でいいと思うよ? 攻め辛いという情報が敵に伝われば、くる人数は減りそうだからねっ! そしてそこからが攻撃の好機っ!」

「・・・序盤は守備重視で、状況次第で攻め手を出す、ということでいいかしら?」

「僕はそれに賛成です。守備ばかりでもつまらないですからね」


 ミレアの意見に賛成しておく。
 他のメンバーからも反対は出なかったので本決まり。

 その後、幾つかの方針が決定した。

 まず、僕かミレアのどちらかは常に拠点内に残ること。
 これは防衛戦力的に仕方がないことだろう。
 フラッグ喪失によるポイントは、フラッグ獲得で得られるものの三倍だからな。
 どれだけフラッグを奪っても底が見える以上は、守りは非常に重要なのだ。

 だって、二十四時間で六人が奪える数なんて、たかが知れているだろう?
 一時間で一つ奪って持ち帰っても二十四個。
 八回フラッグを持ち帰られたら、総合ポイントはプラマイゼロなのだ。

 このゲームで重要なのは、如何に失点しないか、らしい。(ミレア談)
 まあ、拠点が隣り合っていたりすれば話は別なのだが、残念ながらこの辺りに他の拠点は無いので。

 途中に魔物が出ないにしても、どの程度の時間でどの程度の距離を移動できるかは完全に未知数だ。途中で敵と遭遇することなど珍しくもないだろうし。

 そういう、どれくらい得点できるか分からない点からも、防衛の大事さが窺える。

 なお、フラッグの設置場所については・・・ミレアの案を採用した。
 最初そのアイデアを出された時は、全員ポカンとしてしまったがな。

 本当にそれでいいのかと聞きたいが、出来た以上はアリなんだろう、多分。

 そして現在、僕とレインは二人で土石魔法&土魔法で大石を大量に生産している。


《第四職業が〖土石魔法士Lv7〗になりました》
《熟練度が一定に達し【土石魔法】スキルがLv7になりました》
《熟練度が一定に達し【魔力制御】スキルがLv6になりました》
《熟練度が一定に達し【魔気】スキルがLv13になりました》


 おっと、また上がったな。
 地味な作業だが、何気に熟練度の溜まり方が良さげだ。
 色々な工夫を凝らしているのがいいのかもしれない。


「・・・・・・。」

「・・・・・・。」


 レインと二人っきりなのだが、黙々と作業をしている。
 お互いに相手をチラチラと窺いながら、無言で石を生み出し続けている。

 ・・・何だろう、これ。
 物凄く甘酸っぱい感じなのだが。

 いや、色々と話したいことはあるのだが、こうして改めて二人っきりになると妙な緊張をしてしまうというか。

 直ぐ隣からレインの静かな息づかいが聴こえてくる。
 普段なら気にならないものなのに、今は何故かそれがドキドキを加速させる。

 そして、徐々にこちらに近づいていたレインが僕の方に頭をもたれさせ――――


「―――好きです、アストさん・・・」

「っ!?」


 やばいやばいやばい。
 何がヤバいって、心拍数がヤバい。
 このまま心臓が破裂するんじゃないかと思えるくらいに鼓動が激しい・・・!

 気づいたら僕は、レインの手に自分の手を重ねていた。
 重なり合ってからようやく気付くなんて、いよいよもって彼女に対する欲求の抑えがきかなくなっている。


「っ・・・アスト、さん・・・」


 レインが、そこはかとなく喜びが籠っている声を漏らした。

 どうしよう・・・。
 僕、明日死んでもいいかもしれないくらいに幸せなんだが・・・。

しおりを挟む
感想 715

あなたにおすすめの小説

異世界転生した俺は、産まれながらに最強だった。

桜花龍炎舞
ファンタジー
主人公ミツルはある日、不慮の事故にあい死んでしまった。 だが目がさめると見知らぬ美形の男と見知らぬ美女が目の前にいて、ミツル自身の身体も見知らぬ美形の子供に変わっていた。 そして更に、恐らく転生したであろうこの場所は剣や魔法が行き交うゲームの世界とも思える異世界だったのである。 異世界転生 × 最強 × ギャグ × 仲間。 チートすぎる俺が、神様より自由に世界をぶっ壊す!? “真面目な展開ゼロ”の爽快異世界バカ旅、始動!

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

魔境育ちの全能冒険者は異世界で好き勝手生きる‼︎ 追い出したクセに戻ってこいだと?そんなの知るか‼︎

アノマロカリス
ファンタジー
15歳になり成人を迎えたリュカは、念願の冒険者ギルドに登録して冒険者になった。 そこで、そこそこ名の知れた冒険者Dランクのチームの【烈火の羽ばたき】に誘われる。 そこでの生活は主に雑用ばかりで、冒険に行く時でも荷物持ちと管理しかさせて貰えなかった。 それに雑用だけならと給料も安く、何度申請しても値段が上がる事はなかった。 ある時、お前より役に立つ奴が加入すると言われて、チームを追い出される事になった。 散々こき使われたにも関わらず、退職金さえ貰えなかった。 そしてリュカは、ギルドの依頼をこなして行き… 【烈火の羽ばたき】より早くランクを上げる事になるのだが…? このリュカという少年は、チームで戦わせてもらえなかったけど… 魔女の祖母から魔法を習っていて、全属性の魔法が使え… 剣聖の祖父から剣術を習い、同時に鍛治を学んで武具が作れ… 研究者の父親から錬金術を学び、薬学や回復薬など自作出来て… 元料理人の母親から、全ての料理のレシピを叩き込まれ… 更に、母方の祖父がトレジャーハンターでダンジョンの知識を習い… 母方の祖母が魔道具製作者で魔道具製作を伝授された。 努力の先に掴んだチート能力… リュカは自らのに能力を駆使して冒険に旅立つ! リュカの活躍を乞うご期待! HOTランキングで1位になりました! 更に【ファンタジー・SF】でも1位です! 皆様の応援のお陰です! 本当にありがとうございます! HOTランキングに入った作品は幾つか有りましたが、いつも2桁で1桁は今回初です。 しかも…1位になれるなんて…夢じゃ無いかな?…と信じられない気持ちでいっぱいです。

親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します

miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。 そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。 軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。 誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。 毎日22時投稿します。

チート魔力を持ったせいで世界を束ねる管理者に目を付けられたが、巻き込まれたくないので金稼ぎします

桜桃-サクランボ-
ファンタジー
金さえあれば人生はどうにでもなる――そう信じている二十八歳の守銭奴、鏡谷知里。 交通事故で意識が朦朧とする中、目を覚ますと見知らぬ異世界で、目の前には見たことがないドラゴン。 そして、なぜか“チート魔力持ち”になっていた。 その莫大な魔力は、もともと自分が持っていた付与魔力に、封印されていた冒険者の魔力が重なってしまった結果らしい。 だが、それが不幸の始まりだった。 世界を恐怖で支配する集団――「世界を束ねる管理者」。 彼らに目をつけられてしまった知里は、巻き込まれたくないのに狙われる羽目になってしまう。 さらに、人を疑うことを知らない純粋すぎる二人と行動を共にすることになり、望んでもいないのに“冒険者”として動くことになってしまった。 金を稼ごうとすれば邪魔が入り、巻き込まれたくないのに事件に引きずられる。 面倒ごとから逃げたい守銭奴と、世界の頂点に立つ管理者。 本来交わらないはずの二つが、過去の冒険者の残した魔力によってぶつかり合う、異世界ファンタジー。 ※小説家になろう・カクヨムでも更新中 ※表紙:あニキさん ※ ※がタイトルにある話に挿絵アリ ※月、水、金、更新予定!

間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜

舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」  突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、 手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、 だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎  神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“  瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・  転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?  だが、死亡する原因には不可解な点が…  数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、 神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?  様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、 目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“  そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪ *神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw) *投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい *この作品は“小説家になろう“にも掲載しています

前世で薬漬けだったおっさん、エルフに転生して自由を得る

がい
ファンタジー
ある日突然世界的に流行した病気。 その治療薬『メシア』の副作用により薬漬けになってしまった森野宏人(35)は、療養として母方の祖父の家で暮らしいた。 爺ちゃんと山に狩りの手伝いに行く事が楽しみになった宏人だったが、田舎のコミュニティは狭く、宏人の良くない噂が広まってしまった。 爺ちゃんとの狩りに行けなくなった宏人は、勢いでピルケースに入っているメシアを全て口に放り込み、そのまま意識を失ってしまう。 『私の名前は女神メシア。貴方には二つ選択肢がございます。』 人として輪廻の輪に戻るか、別の世界に行くか悩む宏人だったが、女神様にエルフになれると言われ、新たな人生、いや、エルフ生を楽しむ事を決める宏人。 『せっかくエルフになれたんだ!自由に冒険や旅を楽しむぞ!』 諸事情により不定期更新になります。 完結まで頑張る!

転生先は上位貴族で土属性のスキルを手に入れ雑魚扱いだったものの職業は最強だった英雄異世界転生譚

熊虎屋
ファンタジー
現世で一度死んでしまったバスケットボール最強中学生の主人公「神崎 凪」は異世界転生をして上位貴族となったが魔法が土属性というハズレ属性に。 しかし職業は最強!? 自分なりの生活を楽しもうとするがいつの間にか世界の英雄に!? ハズレ属性と最強の職業で英雄となった異世界転生譚。

処理中です...