妖符師少女の封印絵巻

リュース

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三章 水の怪異編

67 組長と取引

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 桜台高校内部に情報流出の犯人・・・そちらも調べた方が良いですね。
 でなければ依頼の達成には程遠いですから。

 思ったよりも複雑な話になってきました。
 間違いなく三万八千円では割に合わないでしょうね・・・。

 ストーカーの男はお礼を言って、部屋を退室。

 とり憑いている悪霊の妖力パターンは覚えましたので、放置でいいでしょう。
 車の方にも仕掛けをしておきましたし。

 それよりも今は、このヤクザさんたちについて調べるべきです。
 ここから情報元を辿った方が良さそうですし。

 とはいえ、一々探し回るのも大変ですので・・・狐の仮面(非売品)を装着。


「―――動かないでください」

「っ・・・何者だっ!」


 組長さんの背中に拳銃を突きつけ、動かないように脅しました。
 護衛を含め、突然現れた私に驚愕しています。

 この拳銃ですか?
 これはこの間のバスジャックの時に回収したものです。
 ちゃんと許可は貰ってあるので大丈夫ですとも、ええ。


「あ、一歩でも動いたら撃ちますので、本当に誰も動かないでくださいね?」

「コイツっ、まだガキじゃねぇか!そんな脅しが『やめいっ!!』・・・組長?」


 護衛の一人が動き出しそうになっていたのを、組長さんが押しとどめました。


「お前らは動くな。この女・・・本気だ」

「「「っ!?」」」


 どうやら組長さん、脅しでもなんでもないと理解してくれた模様で。
 殆ど動揺していないようですし、随分肝が据わっています。

 あ、流石に殺してしまうのは色々と不味いですので、そこまではしませんよ?
 撃つのを躊躇わないというだけです。

 心理的抵抗は勿論ありますが・・・今更です。
 普段の悪霊退治で、悪霊の存在を滅しているのですから、それと何ら変わりありませんし。あれだって、元は人間と言えなくないのですから。


「・・・何が目的だ?」

「話が早くて助かります。私の要求は三つ。
 一つ目、たった今渡した情報の出所について話すこと。
 二つ目、桜台高校及び笹川真紀の情報を全て破棄すること。
 三つ目、金輪際、桜台高校関係者に手を出さないこと。
 ・・・と、以上です。私の要求を呑んで頂けるなら、銃は下ろしましょう」

「・・・分かった。その条件を呑もう」


 ・・・ふむ。


「・・・私、こういう場面で嘘を吐く人は嫌いなんです」

「なっ・・・」

「そういうことで、交渉決裂ですね」

「ま、待ってくれ!」


 私が嘘を看破し、拳銃の引き金を引こうとすると、組長さんから慌てたように声が掛かりました。


「何でしょうか?まだ何か言いたいことでも?」

「っ、ああ。嘘を吐いたのは謝る。だから、もう一度チャンスが欲しい」

「一度大事な場面で嘘を吐いた人間を信用しろ、と? 私としては手間こそ掛かりますが、自分で三つの目的を果たしても一向に構わないのですよ?」

「くっ、虫のいい話だってのは分かってる。だから、借り一つでどうだ?」


 借り一つ、ですか・・・。
 今後、こういった組織の力が必要になるかもしれませんし、決して悪い話ではありません。今回は感情の乱れが見えませんので、恐らく本気ですし。

 私は<妖符師>ですから、そういうのを見抜くのが得意なんです。
 常日頃から、人の感情が元となっている悪霊と矛を交えているわけですからね。

 もっとも、かなり集中する必要がありますし、必要の無い時はやりませんけど。


「・・・それで手を打ちましょう。私の要求は呑んでもらえるのですね?」

「ああ、無論だ。もう嘘を吐こうとも思わん」


 感情の乱れは・・・無し。嘘はありませんね。
 一先ずは信用してもよさそうです。


「それではまず、情報元からお願いします」

「分かった。桜台の情報は、一人の教師から買ったものだ。名前は――――」


 組長さんから出た名前は、私の知らない教師の名前でした。
 恐らく、二年生か三年生の担当でしょう。

 他にも、情報を手に入れた経緯などを聞いておきましたが、おかしな点は無し。
 嘘を吐いている様子も無いので、ほぼ間違いなく事実でしょう。

 不幸な行き違いがある可能性も存在しますが、ここではどうでもいいですね。

 内容を頭の中にメモして、次の要求に移ります。


「続いて、情報の破棄についてですが・・・そうですね、記録してあるものを全てここに集めてください」

「・・・俺しか知らん場所にも一つ保管してあるが、どうする?」

「ではまず、それ以外の物を取りに行かせて、その後、このままの体勢でその場所に移動しましょうか。あ、取りに行く人が余計な真似をするのは禁止ですよ?」

「分かった。おいお前ら、持ってこい」


 組長さんの指示に従って、二人の屈強な男性が部屋の外に出て行きました。
 残りの人は、この部屋にある記録を取り出して、机の上に。


「・・・組長さん。部屋を出た男性の片割れが、この件を話しているのですが?」

「んなっ!?ま、待ってくれ!あいつの独断専行だ!俺に裏切りの意志は無い!」

「それは分かっていますが・・・部屋の外を囲まれてピンチなのですが」

「・・・その割に随分と余裕そうだな?」


 いえいえ、全然余裕なんてありませんよ?
 銃弾でハチの巣にされるとか、絶対嫌ですし。

 まあ、想定内ではありますので、何とかなるでしょう。

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