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三章 水の怪異編
74 依頼完了と・・・
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問題の国語教師は無事に御用となりました。
これに懲りて、少しは改心してくれるといいのですが・・・。
「―――よって、驚異の排除は完了。依頼が達成されたと判断します。・・・以上で報告を終わります」
「ありがとうございます、影山さん。何度も危険な目に遭わせてごめんなさい」
「いえ、お客様のご要望を最大限叶えるのが、我があやかし屋のモット―ですから」
犯人の捕縛を願った笹川先生の依頼に基づき、行動に移したまでです。
依頼のうちなのですから、お礼などいりません。
先生がこの選択をしたのは、あの教師を桜台に残したくなかったからでしょう。
自分の為・・・ではなく、生徒の為に。
あのような教師が居ては、生徒が被害を受けかねませんもの。
つくづく生徒想いな先生ですね・・・。
「では、以上を持って依頼は終了とさせて頂きます。つきましては、報酬の件についてですが・・・少し見積もりをオーバーしてしまいました。申し訳ありません」
私は依頼料の書かれた書類を差し出し、先生に渡しました。
本当はもっとお安くしたいのですが、それをやってしまうと生じる問題が多々ありますのでできません。
妥当な金額でなければ、どこかに歪みが生まれてしまいますので。
ちなみに、金額は四万七千円です。
ヤクザさんの本拠地ヘ乗り込んだ分の危険手当と、カメラの代金など、もろもろが加算されています。
「いえ、それは構わないのですが・・・寧ろ本当にいいのですか?この金額で。やっている内容から考えて、もっと高値になるのでは・・・?」
「そうでもありませんよ?犯人の身柄確保は警察がやっているのですし、私がやったのはほんの些細な手助けですから。寧ろ取り過ぎかもしれません」
先生が警察に相談していれば、お金は掛かりませんでしたからね。
もっとも、その場合は色々なリスクを内包することになりますが。
例えば、警察がたかがストーカーと考えてまともに取り合ってくれない、とか。
例えば、警察がミスをしてストーカーを逃がしてしまう、とか。
例えば、後手に回っている間に悪霊のせいで家への侵入を許してしまう、とか。
例えば、ヤクザに目をつけられてしまう、とか。
例えば、国語教師が逮捕された件について表沙汰になる、とか。
まあ、挙げていけばキリがありませんね。
先生の希望に沿わないそういうものを未然に防いだ分の働き。
それが今回の報酬、四万七千円という金額ですね。
「―――確かに、四万七千円頂きました。またのご利用をお待ちしております」
「はい。また何か困ったことがあったら、頼りにさせてもらいます。生徒を導くべき教師としては情けない限りですが・・・」
「先生、適材適所というものがあります。もし先生が何でも一人でできてしまったら、私の仕事がなくなってしまいます。恥じる必要などありませんよ?」
「・・・はい。その言葉、胸に刻み込んでおきます」
先生は気を持ち直してくれたようです。
合理的に説いたのは成功だったようですね。
では、これにて一件落着。
「私はこれで失礼しますね。あ、私の存在については、事前の説明通り秘密でお願いしますが、紹介程度なら構いません。ではまた明後日、学校でお会いしましょう」
「はい。もう深夜ですから気を付けて帰ってくださいね?」
「ふふっ・・・物凄く今更ですね」
私は部屋の窓から出て、あやかし屋へと歩みを進め・・・・・・
「・・・うん?そういえば影山さん、私の盗撮映像とやらは・・・?」
「・・・・・・さらばですっ!!」
「あっ、ちょっと待ちなさいっ!!私が廃棄しますから渡してくださいっ!!」
結局、先生の映像は先生自身の手で葬られることに。
最後の最後で気づかれたのが痛かったですね・・・。
ここで逃げても、学校で追い詰められてしまうだけですから。
せめて今日さえ乗り切れればうやむやにできたかもしれないというのに・・・。
なんて勿体ないことをするのでしょうか・・・。
「影山さんっ、そんな悲しそうな顔をしないでくださいっ!! どうしてこんなものが欲しいんですかっ!?」
「誰だってほしがると思いますよ・・・?」
「ああ・・・。頭が痛いっ・・・!」
頭が痛む様子の笹川先生。
今度良く効くお薬でも販売して差し上げましょうかね?
〇〇〇
あやかし屋へと帰ってきた私は、驚愕させられました。
「これは一体、何があったのでしょうか・・・?」
「ひぐっ、ううっ・・・ごめんなさいっ、若葉お姉さんっ・・・!! 私っ、何も出来ませんでしたっ・・・!!黙って壊されるのを、見ているだけでっ!!」
私が目撃したのは、泣いて謝る咲良さん。
そして・・・無残に破壊された、あやかし屋の看板でした。
これに懲りて、少しは改心してくれるといいのですが・・・。
「―――よって、驚異の排除は完了。依頼が達成されたと判断します。・・・以上で報告を終わります」
「ありがとうございます、影山さん。何度も危険な目に遭わせてごめんなさい」
「いえ、お客様のご要望を最大限叶えるのが、我があやかし屋のモット―ですから」
犯人の捕縛を願った笹川先生の依頼に基づき、行動に移したまでです。
依頼のうちなのですから、お礼などいりません。
先生がこの選択をしたのは、あの教師を桜台に残したくなかったからでしょう。
自分の為・・・ではなく、生徒の為に。
あのような教師が居ては、生徒が被害を受けかねませんもの。
つくづく生徒想いな先生ですね・・・。
「では、以上を持って依頼は終了とさせて頂きます。つきましては、報酬の件についてですが・・・少し見積もりをオーバーしてしまいました。申し訳ありません」
私は依頼料の書かれた書類を差し出し、先生に渡しました。
本当はもっとお安くしたいのですが、それをやってしまうと生じる問題が多々ありますのでできません。
妥当な金額でなければ、どこかに歪みが生まれてしまいますので。
ちなみに、金額は四万七千円です。
ヤクザさんの本拠地ヘ乗り込んだ分の危険手当と、カメラの代金など、もろもろが加算されています。
「いえ、それは構わないのですが・・・寧ろ本当にいいのですか?この金額で。やっている内容から考えて、もっと高値になるのでは・・・?」
「そうでもありませんよ?犯人の身柄確保は警察がやっているのですし、私がやったのはほんの些細な手助けですから。寧ろ取り過ぎかもしれません」
先生が警察に相談していれば、お金は掛かりませんでしたからね。
もっとも、その場合は色々なリスクを内包することになりますが。
例えば、警察がたかがストーカーと考えてまともに取り合ってくれない、とか。
例えば、警察がミスをしてストーカーを逃がしてしまう、とか。
例えば、後手に回っている間に悪霊のせいで家への侵入を許してしまう、とか。
例えば、ヤクザに目をつけられてしまう、とか。
例えば、国語教師が逮捕された件について表沙汰になる、とか。
まあ、挙げていけばキリがありませんね。
先生の希望に沿わないそういうものを未然に防いだ分の働き。
それが今回の報酬、四万七千円という金額ですね。
「―――確かに、四万七千円頂きました。またのご利用をお待ちしております」
「はい。また何か困ったことがあったら、頼りにさせてもらいます。生徒を導くべき教師としては情けない限りですが・・・」
「先生、適材適所というものがあります。もし先生が何でも一人でできてしまったら、私の仕事がなくなってしまいます。恥じる必要などありませんよ?」
「・・・はい。その言葉、胸に刻み込んでおきます」
先生は気を持ち直してくれたようです。
合理的に説いたのは成功だったようですね。
では、これにて一件落着。
「私はこれで失礼しますね。あ、私の存在については、事前の説明通り秘密でお願いしますが、紹介程度なら構いません。ではまた明後日、学校でお会いしましょう」
「はい。もう深夜ですから気を付けて帰ってくださいね?」
「ふふっ・・・物凄く今更ですね」
私は部屋の窓から出て、あやかし屋へと歩みを進め・・・・・・
「・・・うん?そういえば影山さん、私の盗撮映像とやらは・・・?」
「・・・・・・さらばですっ!!」
「あっ、ちょっと待ちなさいっ!!私が廃棄しますから渡してくださいっ!!」
結局、先生の映像は先生自身の手で葬られることに。
最後の最後で気づかれたのが痛かったですね・・・。
ここで逃げても、学校で追い詰められてしまうだけですから。
せめて今日さえ乗り切れればうやむやにできたかもしれないというのに・・・。
なんて勿体ないことをするのでしょうか・・・。
「影山さんっ、そんな悲しそうな顔をしないでくださいっ!! どうしてこんなものが欲しいんですかっ!?」
「誰だってほしがると思いますよ・・・?」
「ああ・・・。頭が痛いっ・・・!」
頭が痛む様子の笹川先生。
今度良く効くお薬でも販売して差し上げましょうかね?
〇〇〇
あやかし屋へと帰ってきた私は、驚愕させられました。
「これは一体、何があったのでしょうか・・・?」
「ひぐっ、ううっ・・・ごめんなさいっ、若葉お姉さんっ・・・!! 私っ、何も出来ませんでしたっ・・・!!黙って壊されるのを、見ているだけでっ!!」
私が目撃したのは、泣いて謝る咲良さん。
そして・・・無残に破壊された、あやかし屋の看板でした。
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