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三章 水の怪異編
84 旅行のお誘い
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「京都旅行、ですか?」
「うん。何かの懸賞?が当たったみたいで・・・四人まで無料で行けるらしいよ」
昼食時に凪沙さんからそんな話題が提供されました。
京都旅行・・・いいですねぇ・・・。
一度行ってみたいと思っているのですが、生憎とそんな機会はありませんから。
何だかんだで一生行かないことになりそうです。
せめて鹿苑寺と清水寺くらいは見てみたいのですけど・・・。
「でもね、若葉は知ってると思うけど、家はいま大変な時期で・・・」
「そうですね。気軽に旅行など出来ませんよね・・・」
「えっ、何、どういうことっ? 凪沙の家に何かあるのっ!?」
凪沙さんのお父さんが病気で倒れて経営難に陥っていましたから。
いまは復帰しているとはいえ、まだまだ予断を許さない状況です。
工房主である修二さんがわざわざいらっしゃって、もうしばらく今の契約でお願いしたい、と頭を下げられるくらいですから。
凪沙さんが凛たちに説明している間、その時の事を思い出しました。
口にはしませんでしたが、娘の為だという感情が強く現れていましたね・・・。
凪沙さんはあんなに愛されて、本当に幸せ者だと思います。
「―――とまあ、そういう事情でね。その節は若葉にお世話になって・・・って、何でそんな慈愛に満ちた顔でこっちを見てるのっ!?」
そんな顔をしていましたか・・・?
完全に無意識のことでしたので許してくださいね。
「でも勿体ないですよねぇ・・・京都旅行」
「おっ、愛華もやっぱり興味あるんだ?」
「そりゃあまあ・・・興味くらいはありますよ」
凪沙さんの前の席から凛と話をしているのは相川愛華さん。
今日はいつも仲良くしているお友達が欠席なので、臨時の措置です。
というか、凛が一人でいた愛華さんを連れてきたのですけどね。
京都については皆さん、精々修学旅行で少し訪れたくらいでしょうし、興味があって然るべきです。
恥ずかしがる必要は無いと思いますよ?
「それで、ここからが本題になるんだけどね? お父さんとお母さんから、お友達を誘って行ってきたら? って言われちゃって。最初は断ったんだけど・・・」
押しに負けて受け入れてしまった、と。
凪沙さんらしい顛末ですね。
「それで、ゴールデンウィークの始まる五月一日から四日まで三泊四日の日程で学校の休みと被ってるんだけど・・・一緒にどう、かな?」
「「是非っ!!」」
凛と愛華さんは即答でしたね。
答えていないのは私だけ、ですか・・・。
私は・・・ちょっと無理かもしれませんね。
「凛と愛華は参加ね。若葉さんは・・・一緒にきてくれると凄く嬉しいんだけど、駄目、かな・・・?」
「ううっ・・・!」
そんな潤んだ瞳で見つめられたら、とっても断り辛いです・・・!
本当は今すぐにでも参加の返事をしたいのですが、ゴールデンウィークは稼ぎ時ですからね・・・。それに、咲良さんを一人にする訳にもいきませんし・・・。
残念ながら、今回はお断りですね・・・。
「あ、そっか・・・若葉さんが旅行に行くとお店を閉店させなくちゃいけないんだった。それは参加を躊躇うよね」
「あ、いえ、新しい店員さんを雇ったから、それほ大丈夫なんだけど・・・」
「あれっ、そうだったの? なら今度挨拶に行かないと・・・! あ、ごめんね?私たちだけ楽しんでくることになりそうで・・・」
「ううん、私のことはいいから、目一杯楽しんできてね?」
そういう訳で、今回は不参加です。
ただでさえきな臭い時期に町を開けたら、柴田さんも大変でしょうからね。
ここは私が涙を呑めば、万事解決です。
「ねぇねぇ、若葉のお店ってどんな名前なのっ?」
凛が雰囲気を変えるべく話題を転換してくれました。
流石はムードメーカーですね。
ここぞという時に皆を明るくしてくれる立役者です。
「あ、私も気になります。同い年なのにお店経営って、凄いですよねぇ・・・」
「小さなお店だからそうでもないけど・・・。あ、お店の名前は『あやかし屋』だよ? 雑貨屋兼何でも屋さん、なのかなぁ・・・?」
私は決まり文句のように答え、卵焼きを口に入れました。
「あ、あやかしで思い出したんですけど、土曜日に危ないところを、『狐仮面・フォーナ』という名前の格好良い人に助けてもらったんですっ!」
「ゴホッ、ゴホッ・・・!?」
「若葉? どうしたの、急にむせて・・・?」
愛華さん。お願いですからその話、やめませんか・・・?
危うく卵焼きを噴き出すところでしたよ。
というか、変な風に飲み込んでしまいましたっ・・・!!
む、胸が・・・く、苦しいですっ・・・!!
早くお茶を飲まなければ・・・ッッ!?
「うん。何かの懸賞?が当たったみたいで・・・四人まで無料で行けるらしいよ」
昼食時に凪沙さんからそんな話題が提供されました。
京都旅行・・・いいですねぇ・・・。
一度行ってみたいと思っているのですが、生憎とそんな機会はありませんから。
何だかんだで一生行かないことになりそうです。
せめて鹿苑寺と清水寺くらいは見てみたいのですけど・・・。
「でもね、若葉は知ってると思うけど、家はいま大変な時期で・・・」
「そうですね。気軽に旅行など出来ませんよね・・・」
「えっ、何、どういうことっ? 凪沙の家に何かあるのっ!?」
凪沙さんのお父さんが病気で倒れて経営難に陥っていましたから。
いまは復帰しているとはいえ、まだまだ予断を許さない状況です。
工房主である修二さんがわざわざいらっしゃって、もうしばらく今の契約でお願いしたい、と頭を下げられるくらいですから。
凪沙さんが凛たちに説明している間、その時の事を思い出しました。
口にはしませんでしたが、娘の為だという感情が強く現れていましたね・・・。
凪沙さんはあんなに愛されて、本当に幸せ者だと思います。
「―――とまあ、そういう事情でね。その節は若葉にお世話になって・・・って、何でそんな慈愛に満ちた顔でこっちを見てるのっ!?」
そんな顔をしていましたか・・・?
完全に無意識のことでしたので許してくださいね。
「でも勿体ないですよねぇ・・・京都旅行」
「おっ、愛華もやっぱり興味あるんだ?」
「そりゃあまあ・・・興味くらいはありますよ」
凪沙さんの前の席から凛と話をしているのは相川愛華さん。
今日はいつも仲良くしているお友達が欠席なので、臨時の措置です。
というか、凛が一人でいた愛華さんを連れてきたのですけどね。
京都については皆さん、精々修学旅行で少し訪れたくらいでしょうし、興味があって然るべきです。
恥ずかしがる必要は無いと思いますよ?
「それで、ここからが本題になるんだけどね? お父さんとお母さんから、お友達を誘って行ってきたら? って言われちゃって。最初は断ったんだけど・・・」
押しに負けて受け入れてしまった、と。
凪沙さんらしい顛末ですね。
「それで、ゴールデンウィークの始まる五月一日から四日まで三泊四日の日程で学校の休みと被ってるんだけど・・・一緒にどう、かな?」
「「是非っ!!」」
凛と愛華さんは即答でしたね。
答えていないのは私だけ、ですか・・・。
私は・・・ちょっと無理かもしれませんね。
「凛と愛華は参加ね。若葉さんは・・・一緒にきてくれると凄く嬉しいんだけど、駄目、かな・・・?」
「ううっ・・・!」
そんな潤んだ瞳で見つめられたら、とっても断り辛いです・・・!
本当は今すぐにでも参加の返事をしたいのですが、ゴールデンウィークは稼ぎ時ですからね・・・。それに、咲良さんを一人にする訳にもいきませんし・・・。
残念ながら、今回はお断りですね・・・。
「あ、そっか・・・若葉さんが旅行に行くとお店を閉店させなくちゃいけないんだった。それは参加を躊躇うよね」
「あ、いえ、新しい店員さんを雇ったから、それほ大丈夫なんだけど・・・」
「あれっ、そうだったの? なら今度挨拶に行かないと・・・! あ、ごめんね?私たちだけ楽しんでくることになりそうで・・・」
「ううん、私のことはいいから、目一杯楽しんできてね?」
そういう訳で、今回は不参加です。
ただでさえきな臭い時期に町を開けたら、柴田さんも大変でしょうからね。
ここは私が涙を呑めば、万事解決です。
「ねぇねぇ、若葉のお店ってどんな名前なのっ?」
凛が雰囲気を変えるべく話題を転換してくれました。
流石はムードメーカーですね。
ここぞという時に皆を明るくしてくれる立役者です。
「あ、私も気になります。同い年なのにお店経営って、凄いですよねぇ・・・」
「小さなお店だからそうでもないけど・・・。あ、お店の名前は『あやかし屋』だよ? 雑貨屋兼何でも屋さん、なのかなぁ・・・?」
私は決まり文句のように答え、卵焼きを口に入れました。
「あ、あやかしで思い出したんですけど、土曜日に危ないところを、『狐仮面・フォーナ』という名前の格好良い人に助けてもらったんですっ!」
「ゴホッ、ゴホッ・・・!?」
「若葉? どうしたの、急にむせて・・・?」
愛華さん。お願いですからその話、やめませんか・・・?
危うく卵焼きを噴き出すところでしたよ。
というか、変な風に飲み込んでしまいましたっ・・・!!
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