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三章 水の怪異編
87 戦いに向けて用意するもの
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何度か確認してみましたが、この妖怪だ、と絞り込むことが出来ました。
正確性には欠けますが、それは仕方ありませんね。
だって映ってないのですもの。
「―――妖怪<泥田坊>か」
「推測でしかありませんけれどね? 場所が水田付近で地面と関りがあるとなるとあまり沢山は居ませんけれど」
本当に、あくまでも推測、です。
考え得る妖怪の中で最もあり得そうで、それでいて最も厄介な相手ですから、最悪を想定して、という理由でもこの推測を述べさせて頂きました。
妖怪書によれば、妖怪<泥田坊>は一つ目かつ手の指が三本しかない存在です。
1781年(安永10年)に刊行された鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にて描かれており、詳細は省きますが田んぼと関りが深い妖怪です。
指が三本しかないことに関しても諸説ありますが、ここではおいておきますね。
・・・ハッキリ言ってしまうと、あまり当てにならないので。
生まれる時代が違えば、同じ妖怪でも違う要素を普通に含みますから。
古い時代の<鎌鼬>が女性を狙うなど、イメージがガタガタ崩れていきますし。
それで、この<泥田坊>をどうするか、についてなのですが・・・参りましたね。
前回<鎌鼬>を倒しましたので、暫くは安泰だと思っていましたのに。
あれからまだ一週間ですよ?
こんな頻度で妖怪に出現されては、参ったなどというものではありません。
「若葉君、この町は大丈夫なのだろうか・・・?」
「全くもって大丈夫ではありません。異常事態ですら通り越していますよ、ええ」
「そうだよな。咲夜さんだって一年に一回戦えば多い方だと言ってたし・・・」
柴田さんが頭を抱えています。
この短時間で随分老けたように見えますね。
でも、頭を抱えたいのは私の方です。
こんな状況を放置して旅行になど行けるはずがありません。
しかし、倒すにしてもまた命がけですよね・・・。
良くて重傷ですから、場合によっては怪我の影響で旅行断念ということも。
骨の二、三本なら折れていても大丈夫なのですが・・・。
この<泥田坊>の対策は・・・やはり載ってませんね。
父と母が交戦した妖怪であれば書かれているのですが、そうでないなら書かれていないのです。まあ、無いものねだりをしても仕方がないので自分で考えます。
あ、戦わないという選択肢はありませんよ?
また<鎌鼬>の時のように、いつ大切な人が狙われるか分かりませんから。
正義感に溢れていない不純な動機ですが、私の正義など所詮はそんなものです。
第一に、前回のように私がおびき出すのは難しそうです。
若い女性を狙っているわけではなさそうですし。
となると自分から探しに出向いて戦いを挑む必要があるのですが、そうなると罠を仕掛けることはできないでしょう。
もっとも、相手が泥の妖怪ですから、セメントは効かなそうですけど。
普通は、敵の泥とセメントを混ぜてしまえば効果がありそう、と思うでしょう?
ところがどっこい、それは重大な勘違いです。
妖怪との戦いは、言うならば存在の奪い合い。
それ故に、死なない為、消滅しない為、その他幾つかの理由の為。己の存在を強めるのに必須な、”自らの特性を掌握する”という行為がとても得意なのです。
妖怪<泥田坊>で言うなら、泥ないし半物質状の液体支配が得意になります。
ですので、半物質液体ど真ん中のセメントはアウトです。
寧ろ敵の力を増してしまうことさえあり得るでしょう。
水もやめた方が良いですね。とりようによっては半物質液体ですから。
ダメ、絶対! なのです・・・!
・・・薬物講習会のような言い方になりましたが、まあそういうことです。
さて、ではどのようにやればいいでしょうか。
相手は泥ですから、液体以外だと――――
「―――柴田さん、幾つか用意して頂きたいものがあります」
「分かった。大至急手配しよう。それで、必要なものとは?」
「今回は無茶ぶりが過ぎるかもしれませんが――――――をお願い出来ますか?」
「んなっ!? ・・・分かった。大変ではあるが必ず用意しよう。とはいえ、物が物なので少し時間が欲しい。そうだな・・・二日くれ。それで用意してみせる」
それは頼もしいです・・・!
今回の要望は本当に無茶ぶりなので、駄目だと言われる恐れもありましたから。
一体、総額幾らになるのやら・・・。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」
「ああ、任せてくれ。明後日・・・土曜日の夜までには連絡することにしよう。今回頼まれた物の内一つは・・・届けられるようなものでは無い故にな」
柴田さんは準備するものを思い浮かべたのか苦笑いです。
私もちょっと躊躇いはあるのですが、背に腹は代えられませんので。
一緒に苦笑いしておきましょう。
今回やることは・・・完全に違法ですね、ええ。
そして時間は流れ、土曜日の夕方。
待ちに待った柴田さんからの連絡が入ったのでした。
正確性には欠けますが、それは仕方ありませんね。
だって映ってないのですもの。
「―――妖怪<泥田坊>か」
「推測でしかありませんけれどね? 場所が水田付近で地面と関りがあるとなるとあまり沢山は居ませんけれど」
本当に、あくまでも推測、です。
考え得る妖怪の中で最もあり得そうで、それでいて最も厄介な相手ですから、最悪を想定して、という理由でもこの推測を述べさせて頂きました。
妖怪書によれば、妖怪<泥田坊>は一つ目かつ手の指が三本しかない存在です。
1781年(安永10年)に刊行された鳥山石燕の妖怪画集『今昔百鬼拾遺』にて描かれており、詳細は省きますが田んぼと関りが深い妖怪です。
指が三本しかないことに関しても諸説ありますが、ここではおいておきますね。
・・・ハッキリ言ってしまうと、あまり当てにならないので。
生まれる時代が違えば、同じ妖怪でも違う要素を普通に含みますから。
古い時代の<鎌鼬>が女性を狙うなど、イメージがガタガタ崩れていきますし。
それで、この<泥田坊>をどうするか、についてなのですが・・・参りましたね。
前回<鎌鼬>を倒しましたので、暫くは安泰だと思っていましたのに。
あれからまだ一週間ですよ?
こんな頻度で妖怪に出現されては、参ったなどというものではありません。
「若葉君、この町は大丈夫なのだろうか・・・?」
「全くもって大丈夫ではありません。異常事態ですら通り越していますよ、ええ」
「そうだよな。咲夜さんだって一年に一回戦えば多い方だと言ってたし・・・」
柴田さんが頭を抱えています。
この短時間で随分老けたように見えますね。
でも、頭を抱えたいのは私の方です。
こんな状況を放置して旅行になど行けるはずがありません。
しかし、倒すにしてもまた命がけですよね・・・。
良くて重傷ですから、場合によっては怪我の影響で旅行断念ということも。
骨の二、三本なら折れていても大丈夫なのですが・・・。
この<泥田坊>の対策は・・・やはり載ってませんね。
父と母が交戦した妖怪であれば書かれているのですが、そうでないなら書かれていないのです。まあ、無いものねだりをしても仕方がないので自分で考えます。
あ、戦わないという選択肢はありませんよ?
また<鎌鼬>の時のように、いつ大切な人が狙われるか分かりませんから。
正義感に溢れていない不純な動機ですが、私の正義など所詮はそんなものです。
第一に、前回のように私がおびき出すのは難しそうです。
若い女性を狙っているわけではなさそうですし。
となると自分から探しに出向いて戦いを挑む必要があるのですが、そうなると罠を仕掛けることはできないでしょう。
もっとも、相手が泥の妖怪ですから、セメントは効かなそうですけど。
普通は、敵の泥とセメントを混ぜてしまえば効果がありそう、と思うでしょう?
ところがどっこい、それは重大な勘違いです。
妖怪との戦いは、言うならば存在の奪い合い。
それ故に、死なない為、消滅しない為、その他幾つかの理由の為。己の存在を強めるのに必須な、”自らの特性を掌握する”という行為がとても得意なのです。
妖怪<泥田坊>で言うなら、泥ないし半物質状の液体支配が得意になります。
ですので、半物質液体ど真ん中のセメントはアウトです。
寧ろ敵の力を増してしまうことさえあり得るでしょう。
水もやめた方が良いですね。とりようによっては半物質液体ですから。
ダメ、絶対! なのです・・・!
・・・薬物講習会のような言い方になりましたが、まあそういうことです。
さて、ではどのようにやればいいでしょうか。
相手は泥ですから、液体以外だと――――
「―――柴田さん、幾つか用意して頂きたいものがあります」
「分かった。大至急手配しよう。それで、必要なものとは?」
「今回は無茶ぶりが過ぎるかもしれませんが――――――をお願い出来ますか?」
「んなっ!? ・・・分かった。大変ではあるが必ず用意しよう。とはいえ、物が物なので少し時間が欲しい。そうだな・・・二日くれ。それで用意してみせる」
それは頼もしいです・・・!
今回の要望は本当に無茶ぶりなので、駄目だと言われる恐れもありましたから。
一体、総額幾らになるのやら・・・。
「ありがとうございます。では、よろしくお願いします」
「ああ、任せてくれ。明後日・・・土曜日の夜までには連絡することにしよう。今回頼まれた物の内一つは・・・届けられるようなものでは無い故にな」
柴田さんは準備するものを思い浮かべたのか苦笑いです。
私もちょっと躊躇いはあるのですが、背に腹は代えられませんので。
一緒に苦笑いしておきましょう。
今回やることは・・・完全に違法ですね、ええ。
そして時間は流れ、土曜日の夕方。
待ちに待った柴田さんからの連絡が入ったのでした。
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