異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

クロトとマリア

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「僕のこと?僕は、君が尊敬するマリアの恋人だよ?」

「何言ってますの!?ねえ何言ってますのっ!?状況理解してますのっ!?」


 クロトの空気を読まない発言に、マリアが猛りだす。

 カリスも、口を半開きにして呆然としている。

 
 クロトをポカポカと叩くマリアに、マリアを撫でるクロト。

 そしてそれを、唖然としながら見つめるカリス。


 一言で言えば・・・・・・カオスである。

 
 さっきまでの空気はどこへやら。

 

「クロト!大事な所で空気を読めない癖は何とかなりませんの!?」

「無理。」

「即答ですの!?もっと悩んでくださいまし!」

「・・・・・・・・・・・・無理。」

「ためを作っても結局は同じですわよ!」


 まるでコントである。

 人間を侵略しようとしている魔王の前でやるあたり、相当肝が太い。


 正気を取り戻したカリスが、クロトに問いかける。


「マリアと恋仲なのは分かった。結局、貴様は何者なのだ?」

「僕の名前はクロト。どこにでもいるただの冒険者だよ。」

「「どの口が(言うのか)(言うんですの)・・・。」」


 誰にも信じてもらえ無かったクロトだった。






「・・・貴様からは、ごく僅かだが、奴の気配がする。」


 カリスがそんなことを言ってきた。


「奴?・・・奴って・・・奴だよね・・・?」


 クロトは瞳のバケモノを思い出しながら確認をした。

 
「ああ。我々の上位存在であり、人と魔物の争いを強要する存在だ。」

「その気配が僕からするっていうと・・・。」


 クロトは、1つだけ思いついたことがあった。


(そう言えば、ゲイザーはあれの眷属みたいな気がするから・・・。)


 クロトは、月影神の龍剣をアイテムボックスに収納してみた。


「・・・奴の気配が消えた?」

「そういうことなら、今、僕が収納した剣が原因じゃないかな?」

「剣が原因、だと・・・?」


 いまいち納得できていない様子のカリス。

 クロトは詳しく説明をすることにした。


「この剣には、ゲイザーという魔物の素材が使われているんだけど・・・。」

「ゲイザー?聞いたことがないのだが?」

「とある遺跡の中で見つけたよ。見た目は、空飛ぶ目玉かな。」

「なっ・・・!」


 カリスはクロトの言わんとするところを理解したようだ。


「まさか、そのゲイザーという魔物が、奴の眷属のような存在だと?」

「その可能性が高いね。」

「・・・・・・。」


 カリスは考え込み始めた。

 そして数分後。


「・・・にわかには信じられんが、嘘を吐いている気配はしない。」

「まあ、情報漏れを覚悟で、本当のことを話してるからね。」


 本当はそんなことはしたくないが、説明しなければ納得しなさそうなのだ。


「・・・分かった。一応納得しておこう。」


 クロトについての話は、そこで打ち切られた。








「さて、そろそろお暇しようかな。」


 クロトは、早く法理の種を探したいようだ。


「・・・そうか。私もやりことがあるゆえ、これで失礼しよう。」

「そういえば、あなたは何をしに来たんですの?」


 マリアが思い出したかのように尋ねた。

 カリスは、隠すつもりもないのか、素直に話した。


「この辺りに居る魔物の強化だが?」

「っ!そうでしたわね・・・あなたは侵略を・・・。」


 カリスは人類を侵略するために、魔物を強化し続けていたのだ。


「あと五か月もあれば準備は整う。上級魔人たちとともに、侵略を開始する。」

「・・・別の手を考えるつもりはありませんの?」

「無いな。既に他の手はやりつくしている。」


 どうやら、カリスは侵略をやめる気は無いようだ。

 カリスは聞く耳を持たず、転移で立ち去ろうとする。

 そんなカリスに一矢報いるため、マリアはこんなことを言った。


「・・・上級魔人、わたくしたち以外は全滅しましたわよ!」

「・・・・・・・・・は?」


 カリスは問いただそうとするも、転移が発動。

 急いで戻ったときには、その場には誰も居なかった。


「・・・久しぶりに拠点へ帰るか。」


 カリスは後程、シンクレア王国の拠点へ戻ることを決めたのだった。









 一方、クロトたちはというと・・・


「クロト・・・先程の、その、恋人というのは・・・?」

「うん?・・・ああ、ごめんね。咄嗟の事でね。」


 そこでマリアは、あることに気づいた。

 クロトがほんの少しだけ汗をかいている。


「「魔王」カリスか・・・勝てるかな・・・?」


 今まで出会った中で、最強の存在なのは間違いないと感じたクロトだった。





「そういう訳で、マリア。」

「何ですの?端的に言うのは無しですわよ?」


 あらかじめ予防線を張っておくマリア。

 クロトはそんなことは意に介せず、こう言った。


















「あなたの事が好きです。僕と、付き合ってください。」




「・・・・・・・・・・・・え?」


 呆然とするマリア。

 そんな中でも、マリアはこう思った。


 今の関係では、もう我慢できない。

 クロトと、先の関係へ進みたい。


 答えは自然と、口から零れていた。







「わたくしでよろしければ、喜んで。・・・好きですわよ、クロト。」





 クロトは返事を聞くと、頬を赤く染めたマリアをそっと抱き寄せて





 優しく口づけたのだった。





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