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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編
孤高の道4
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クロトは眉を顰めて、思った。
三つ目にしては簡単過ぎやしないだろうか、と。
他の答えも検討してみるが、最初に思った答えが一番正しい気がするクロト。
やむなく、その解答を石板に書き込む。
脱出法は存在しない。
そう書き込んで、石板を切り株の上に乗せる。
地面が揺れて、新たな道が現れた。
どうやら正解だったようだ。
現れた道は一つだけで、天闘争の試練への道のようだ。
ところで、脱出法が存在しないと不味いのでは?
そう思うかもしれないが、それが罠なのだろう。
問題文の、「孤高の道は、決して脱出すること能わず。」
これは、ただの仮定条件だ。
もしそうだったとしたら、「孤高の道からの脱出法は?」と問うている訳だ。
そんなもの、脱出法が無いという仮定なのだから、それが答えになって当然だ。
すなわち、脱出法は存在しない、という解答で正解だ。
ではなぜ、そこに気づけないのか。
A=1、A+0=?
簡単に言えば、これを解くだけなのに、だ。
それは人間が本能的に、
「自分が今いる場所からの脱出法が無い」
という答えを避けるからだ。
誰だって帰りたいに決まっているのだ。
だから、その答えを避けてしまっても、全くおかしなことではない。
結果として、その本能が正解を出す邪魔になる訳だが。
ならば、どうしてクロトは、直ぐに答えに辿り着けたのか。
クロトは、今までと違うタイミングで現れた金色の宝箱を確認しながら思う。
(以前帰って来た人が居るんだから、脱出法が無い訳がないんだよね・・・。)
金色の宝箱に入っていたのは、孤高のエンブレム。
効果は今までの孤高シリーズと同じだ。
クロトはエンブレムを適当に貼って、先へ進んだ。
天闘争の試練が行われる広間。
そこに居たのは予想通り、天種の魔物であった。
敵は、オーバーロード・ゴーレム。
レベル85であり、レアスキル「自爆魔法」から危険な香りがする。
(・・・いや。危険どころか、途轍もなく危ない気がする・・・。)
名前からしてヤバいスキルだ。
幸運以外の能力値はHPMPが5000で、後はオール2500という平均具合。
その他に特筆すべき点は無い。
自爆魔法に目が行き過ぎて、他が大したこと無いように見える。
一応、天力とかもあるのだが・・・。
作戦は・・・とてもシンプルになってしまった。
自爆がヤバすぎて、他の手など取れない。
戦闘開始と同時に、分身二体が転移で接近し、剣技を叩き込む。
片方が敵の攻撃を迎撃するために、「極天龍八奏連閃・神絶」を使用。
分身とゴーレムに隙が出来る。
そこへ、隠密者を発動していたもう一体の分身が、攻撃。
「神天龍連閃!」
隠蔽を幾つも重ねたその剣技を、欠片も察知できなかったゴーレム。
八割ほどHPを削られて、倒れ伏す。
その瞬間、クロトは分身を消し、魔法存在たちに命令を下した。
三十二体の魔法存在が、命令を受けて、魔法陣を起動させた。
三十二個にも及ぶ、空間隔離魔法陣だ。
最後の仕上げに、魔法陣の中心にいるクロトが、別の魔法陣を起動。
三十二重連鎖魔法陣が起動し、周囲にある三十二の魔法陣と連鎖。
そして、最終的に発動するのは、断絶空間に近いもの。
「三十二式魔法陣『多重断絶世界』・・・発動!」
断絶空間に近いそれは、断絶の立方体で作られる断絶空間とは違う。
クロトがたった今発動した魔法陣の方が、効果が高い。
イメージで言うなら、空間を遮る網の目が、より細かい、と言ったところか。
なぜこんなものを発動させたかというと、敵が自爆するからに他ならない。
途轍もない規模の爆発が起こり、周囲に逃げ場などない。
爆発するタイミングは、HPが二割を切って数秒後。
戻ってくる人間が殆ど居ない訳だ。
断絶空間も、確実に爆発を防げるかは分からない。
自爆魔法を解析したところ、空間にすら影響を及ぼすことが分かったからだ。
問題なく防げるというのは、楽観的過ぎる。
ゆえに、確実に防げるだろう魔法陣を使った。
ちなみに断絶の立方体は、魔法陣に直すと、およそ十六重の空間隔離だ。
三十二時間が経過して、魔法陣の効果が切れた。
早速周囲を確認すると、一面更地状態だ。
流石に、孤高の道のある断絶空間外に影響は無さそうだが。
ゴーレムの残骸を回収し、解体。
手に入ったのは、自爆結晶。
(・・・これを、どうしろと?)
まさか、自爆する訳にもいかないので、とりあえずは収納しておく。
地面が揺れて、金色の宝箱が現れた。
中身はやはり、孤高シリーズである、孤高の首飾り。
効果は他と同じ、隠蔽率100%上昇だ。
それを回収すると、地揺れと共に一つの道が現れた。
三つ目にしては簡単過ぎやしないだろうか、と。
他の答えも検討してみるが、最初に思った答えが一番正しい気がするクロト。
やむなく、その解答を石板に書き込む。
脱出法は存在しない。
そう書き込んで、石板を切り株の上に乗せる。
地面が揺れて、新たな道が現れた。
どうやら正解だったようだ。
現れた道は一つだけで、天闘争の試練への道のようだ。
ところで、脱出法が存在しないと不味いのでは?
そう思うかもしれないが、それが罠なのだろう。
問題文の、「孤高の道は、決して脱出すること能わず。」
これは、ただの仮定条件だ。
もしそうだったとしたら、「孤高の道からの脱出法は?」と問うている訳だ。
そんなもの、脱出法が無いという仮定なのだから、それが答えになって当然だ。
すなわち、脱出法は存在しない、という解答で正解だ。
ではなぜ、そこに気づけないのか。
A=1、A+0=?
簡単に言えば、これを解くだけなのに、だ。
それは人間が本能的に、
「自分が今いる場所からの脱出法が無い」
という答えを避けるからだ。
誰だって帰りたいに決まっているのだ。
だから、その答えを避けてしまっても、全くおかしなことではない。
結果として、その本能が正解を出す邪魔になる訳だが。
ならば、どうしてクロトは、直ぐに答えに辿り着けたのか。
クロトは、今までと違うタイミングで現れた金色の宝箱を確認しながら思う。
(以前帰って来た人が居るんだから、脱出法が無い訳がないんだよね・・・。)
金色の宝箱に入っていたのは、孤高のエンブレム。
効果は今までの孤高シリーズと同じだ。
クロトはエンブレムを適当に貼って、先へ進んだ。
天闘争の試練が行われる広間。
そこに居たのは予想通り、天種の魔物であった。
敵は、オーバーロード・ゴーレム。
レベル85であり、レアスキル「自爆魔法」から危険な香りがする。
(・・・いや。危険どころか、途轍もなく危ない気がする・・・。)
名前からしてヤバいスキルだ。
幸運以外の能力値はHPMPが5000で、後はオール2500という平均具合。
その他に特筆すべき点は無い。
自爆魔法に目が行き過ぎて、他が大したこと無いように見える。
一応、天力とかもあるのだが・・・。
作戦は・・・とてもシンプルになってしまった。
自爆がヤバすぎて、他の手など取れない。
戦闘開始と同時に、分身二体が転移で接近し、剣技を叩き込む。
片方が敵の攻撃を迎撃するために、「極天龍八奏連閃・神絶」を使用。
分身とゴーレムに隙が出来る。
そこへ、隠密者を発動していたもう一体の分身が、攻撃。
「神天龍連閃!」
隠蔽を幾つも重ねたその剣技を、欠片も察知できなかったゴーレム。
八割ほどHPを削られて、倒れ伏す。
その瞬間、クロトは分身を消し、魔法存在たちに命令を下した。
三十二体の魔法存在が、命令を受けて、魔法陣を起動させた。
三十二個にも及ぶ、空間隔離魔法陣だ。
最後の仕上げに、魔法陣の中心にいるクロトが、別の魔法陣を起動。
三十二重連鎖魔法陣が起動し、周囲にある三十二の魔法陣と連鎖。
そして、最終的に発動するのは、断絶空間に近いもの。
「三十二式魔法陣『多重断絶世界』・・・発動!」
断絶空間に近いそれは、断絶の立方体で作られる断絶空間とは違う。
クロトがたった今発動した魔法陣の方が、効果が高い。
イメージで言うなら、空間を遮る網の目が、より細かい、と言ったところか。
なぜこんなものを発動させたかというと、敵が自爆するからに他ならない。
途轍もない規模の爆発が起こり、周囲に逃げ場などない。
爆発するタイミングは、HPが二割を切って数秒後。
戻ってくる人間が殆ど居ない訳だ。
断絶空間も、確実に爆発を防げるかは分からない。
自爆魔法を解析したところ、空間にすら影響を及ぼすことが分かったからだ。
問題なく防げるというのは、楽観的過ぎる。
ゆえに、確実に防げるだろう魔法陣を使った。
ちなみに断絶の立方体は、魔法陣に直すと、およそ十六重の空間隔離だ。
三十二時間が経過して、魔法陣の効果が切れた。
早速周囲を確認すると、一面更地状態だ。
流石に、孤高の道のある断絶空間外に影響は無さそうだが。
ゴーレムの残骸を回収し、解体。
手に入ったのは、自爆結晶。
(・・・これを、どうしろと?)
まさか、自爆する訳にもいかないので、とりあえずは収納しておく。
地面が揺れて、金色の宝箱が現れた。
中身はやはり、孤高シリーズである、孤高の首飾り。
効果は他と同じ、隠蔽率100%上昇だ。
それを回収すると、地揺れと共に一つの道が現れた。
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