異世界隠密冒険記

リュース

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第一部「六色の瞳と魔の支配者」編

試練と創世神

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「そうは言ってもね。その恰好では痴女と言われても否定できないよ?」

「誰が痴女ですかっ!」


 白髪美女は否定しているが、彼女の服装は半裸と言っても良い。


 出る所は出て、引っ込む所は引っ込んでいる、理想的な体型。

 色々と見えてはいけないもの見えそうになっている。


 意志の弱い男なら、むしゃぶりつきたくなるような、そんな状態。


 クロトは直視しながらも、顔を赤らめることすらしない。

 好きでない女性には、まるで欲情しないクロトらしい反応だが。


「ゴホンッ!・・・ようこそ自己超越の試練へ。私は創世神を務めております。」


 咳払いをして厳かな雰囲気に戻った美女は、創世神と名乗った。

 彼女が試練の案内役らしい。


「・・・・・・ごめん、痛い女性は間に合っているんだよね。」

「痛い女性!?私は本物の創世神!創世神クラリアセレスですっ!」

「いや、創世神なんて聞いたことも無いから。」

「仕方がないではありませんか!今や殆どの権限を失っているんですから!」

「愛称はクラリスで良いかな?それともセレスが良い?」

「話を聞いてください!私だって好きでこうなった訳では・・・・・・!」



 中略



「・・・・・・ということなんです。」

「・・・うん、大体分かった。」


 最後まで話したクラリスは、大分落ち着いたようだ。

 心なしか悲しそうにも、辛そうにも見える。

 現状に責任を感じているのだろうか。




 クラリスの話ではこうだ。


 元々この世界、ジェネシスアイには二柱の神が存在した。

 それが、創世神クラリアセレスと全能神ジェネシスアイ。


 二柱で相談しながら、クラリスが創造し、ジェネシスアイが権能を振り分ける。

 そんな役割分担で世界を運営していた。


 しかしある時、男神であるジェネシスアイが出来心で行動を起こした。

 相談をせずに、独断による権能振り分けを行ったのだ。


 彼を信頼していたクラリスは気づくのが遅れ、気づいたときには手遅れ。

 クロトがアイズと呼ぶ瞳のバケモノが生まれかけていた。


 男神は、この世界の権能の内、最も重要な六つをアイズに振り分けた。

 それらは、因果律操作、感知、超越などの権能。

 アイズは途轍もない化け物になっていた。

 
 男神は罰として追放処分になったが、それだけでは、問題は解決しない。

 神による通常の生命体への介入は、原則として禁止されている。

 神でもあり、生命体でもあるアイズ。

 それを、クラリスは抹消することが出来なかった。


 アイズは己の眷属、魔物を生成した。

 それらは、クラリスの眷属である人間を駆逐していった。


 焦ったクラリスは大至急、人間側のシステムを整え始めた。


 紆余曲折を経て、何とか状況を安定させることは出来た。

 だが、その代償として、殆どの権限を失ってしまった。


 人間が特殊条件を満たした時には限定的に介入できるが、本当にそれだけだ。

 アイズの事は、人間に任せるしかないのが現状。


 まだ先の話だが、いずれこの世界は、アイズとその眷属に支配される。









「それで、その半裸とは何の関係が?」

「服装を変える権限すら失っているんです!何故一々掘り返したのですか!?」

「それが一番大事なことだから?」

「いい加減にしないと怒りますよ!?私は創世神だから偉いのですよ!」

「権限が無いのに?」

「それは・・・・・・ううっ・・・!」


 泣き崩れるクラリス。

 泣かれると気分が悪いので、クロトは励ましにかかる。


「よしよし。クラリスはよく頑張ったから。そんなに泣かないで・・・。」

「ううっ、ありがとうございます・・・って!あなたが虐めたんでしょう!?」


 クラリスは立ち直って、クロトを睨んでくる。

 その顔は、結構可愛らしい。


「クラリスは・・・自然体の方が可愛いね?」

「なあっ!?ななななっ!?神を口説くなんて正気ですか!?」

「うん?口説いてはいないと思うけど?」

「・・・もうやだ、この人。」


 クロトの鈍感っぷりに、クラリスはそう呟いた。


「そう言ってる割には嬉しそうだけど?」

「五月蠅いですよ!仕方ないでしょう、初めての経験なんですからっ!」


 クラリスの顔は真っ赤で、口元がつり上がっていたのだった。


「うん、やっぱり可愛い。」

「ああああっ!?やめてくださいっ!慣れてないんですからっ!?」

「それはごめんね。でも、思ったことは正直に話してしまうタイプだから、さ。」

「もうやめてっ!?私をどうするつもりなんですかっ!?」


 クロトの言葉に嘘や誤魔化しが無いと分かる故に、より一層照れている。


 慣れていないのもあるが、直球の好意に弱い、創世神様なのであった。

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