異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

リンカとシレーマへ

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 翌日の昼、リンカはソワソワしていた。


「クロトさんはお昼頃って言っていたし、そろそろかな・・・。」


 緊張のせいで朝早く起きすぎて、ずっとソワソワと落ち着かないリンカ。

 女将さんがニヤニヤしながらそれを見ているが、そんなことにも気づかない。


「あれっ、でもお昼頃と言えば、昼食後も含まれるんじゃ・・・?」


 勘違いをしていたかもしれないと思い、焦る。

 既におめかしを終えて準備万端の状態。

 妙な気恥ずかしさから、リンカは顔が赤くなった。


「お待たせ、リンカ。」

「ひゃうあっ!?ク、クロトさん!?全然待ってませんよ!?」

「・・・そう?」


 クロトはリンカの様子を不思議そうにしながらも納得した。


「じゃあ、早速だけど・・・シレーマに転移するよ?」

「あっ、はい・・・!」


 クロトから差し出された手を、ドキドキしながら握るリンカ。


(汗とかかいてないよね・・・?変に思われてないよね・・・?)


 そんなリンカの心情を知ってか知らずか。

 クロトは迷いなく握り返し、転移を発動した。









 シレーマの町へ転移完了。

 まずは町中を一緒に歩く。


「クロトさん、今日の服装は戦闘服では無いんですね・・・?」

「まあね。一瞬で切り替えが可能だけど・・・おかしい、かな?」


 何気に人前では初お披露目であるため、何かおかしいのかと気にするクロト。
 

「いえっ、そうではなく、初めて見ましたから・・・格好良いですよ?」

「ん・・・ありがと。そういうリンカも、よく似合っていて・・・可愛いよ。」


 リンカの服装は、普段着ている仕事用のものでは無い。

 現代日本風の服装で、膝丈スカートにブラウスがメインというシンプルな格好。

 それ故に清楚な雰囲気を醸し出しており、クロトには、とても魅力的に映る。


「そ、そうですか・・・ありがとうございます・・・!」


 リンカは何とか受け答え出来たが、先程から心臓がうるさい。

 その上、そのように褒められた為、心臓が爆発するのではないかと思った。


(少し褒められただけで・・・!やっぱり、好きだなぁ・・・クロトさん。)


 微笑まれただけで鼓動が跳ねる。

 優しくされれば、期待してしまう。

 褒められれば、思考が麻痺したかのように、甘い痺れが走る。


 これ程までに誰かを好きになるなんて、嘗てのリンカは考えもしなかった。


 日本に居た頃は恋などしたことが無く、知識ばかりが溜まる一方。

 どれほど格好良い男性も、好きになるほど、魅力的には思えなかった。

 いつしか、異世界で王子様が迎えに来てくれることを望むように。


 そんな中、自分の甘ったれた考えを正し、目を覚まさせてくれたクロト。


 リンカは、驚くほどあっさり、好意を持つようになった。


 初めはただの勘違いだと自分に言い聞かせ、忘れようとした。

 ことあるごとに、必死で意識しないようにつとめてきた。


 だが、暴漢から助けられた日、誤魔化しようの無い好意を自覚させられる。

 それから先は、すぐだった。


 あっという間にクロトの魅力にとりつかれて、明確に好きになった。

 好きになったら、恋人の関係を望むようになった。

 恋人になりたいが、高根の花過ぎると諦めようとした。

 でも、一度芽生えた恋心は消えてくれず、悶々と過ごすことになった。


 そんな中、王都感謝祭で花火を見せられ、決意した。

 自分には勿体無さ過ぎる人だから、今日限りで諦めよう、と。


 結局、全てを見抜いていたクロトの制止が入り、そうはならなかったが。


 他に好きな人が出来たら・・・なんて、考える必要も無かった。

 今の自分が、クロト以外を好きになるなど、あり得ないとすら思った。


 それだけ、リンカはクロトにベタ惚れ状態だったのだ。

 今も、その想いは収まるどころか、益々強くなっている。


 そして、僅かとは言え、想いが叶う可能性がある。


 人を好きになって、辛い時もあった。

 だが今、リンカはこの上なく、幸せを感じている。

 
(例え想いが実らなくとも、この幸せな時間は、生涯の宝物になる・・・。)


 クロトに振られたら、一生独身だろうな、と確信しつつ。




 クロトと手を繋ぎながら、一緒に町を歩いたリンカだった。









 楽しい時間はあっという間に過ぎて、時刻は夕方の領域に。

 二人は最後に、海を見に行こうとしていた。


「リンカ、こっちの転移魔法陣に乗るよ?」

「えっ?でも、ここは・・・。」


 クロトが指し示したのは、警備の厳重な魔法陣の一つ。

 不安になってくるリンカだが、クロトはお構いなしにリンカの手を軽く引く。


「ここ、通らせてもらうね?」

「はい!どうぞお通りください!」

「ん、ありがとう。それと、警備ご苦労さま。」

「はっ!光栄であります!」

「・・・・・・えっ?」


 屈強な警備員がクロトに敬語を使う様子は、とても違和感がある。


 ちなみにこの警備員、特殊なスキルを見込まれ、クロトに雇われている。

 その契約金は、一般人が聞けば、目が飛び出るほどの額である。

 旧レモニア王国で不遇扱いされていたのを、クロトが見出した。

 彼は、地獄から救い出してくれたクロトに、忠誠を捧げている。


 それはさておき。


 転移魔法陣の先にある場所とは・・・・・・。

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