異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

召喚契約魔法陣

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「っ・・・!?」

「・・・エメラ?どうかした?」


 クロトが考えている最中、エメラが息をのんだ。

 心配そうにしながらも、エメラに問い掛ける。


 エメラは、少し驚きながら、クロトに何が起きたのかを話し始める。


「ん・・・。声、が・・・聴こえ、た・・・。」

「声?誰の声が?」

「ん・・・。多分、魔物の・・・声。」


 エメラが見ているのは、全精霊不死鳥。

 クロトはもう一度解析。


 すると、レアスキル「人魔心話」が追加されていた。


「それで、全精霊不死鳥は何と言っているの?」

「ん・・・。助けて、と、だけ・・・。」


 それを聞いたクロトは方向性を決めて、エメラに尋ねてみた。


「エメラは、どうしたい?」

「ん・・・。不思議、な・・・感覚、だけど・・・助けて、あげたい・・・。」


 エメラは自分でもよく分からない感覚に突き動かされそうになっている。

 どうやら、両者の周波数が合ったみたいである。


 クロトはそんなエメラを見て、一つの魔法陣を差し出した。


「これ、は・・・?」

「召喚契約魔法陣だよ。ヘキサアイズを倒した後で開発したんだ。」


 召喚契約魔法陣で、人が魔物と契約を結び、使役できるようになる。

 ただし、互いの同意は不可欠で、自由意思のない契約は、一切不可。

 無理強いしようとした段階で、魔法陣は消滅する。

 詳しい仕組みについては、長くなるので省略。


 一部とはいえ、ヘキサアイズを殺したクロト。

 こうした自由意思による契約が挟まる余地が生まれると推測していた。

 それ故に、召喚契約魔法陣を完成させたのだ。


 その予想は大正解で、こうして使うタイミングが訪れている。


「まず、契約内容を決めて?」

「ん・・・。」


 エメラとクロトは全精霊不死鳥に近づき、契約を持ちかける。

 提示した内容は以下の通り。


 エメラは全精霊不死鳥の命を救う。

 その後、生きていくのに必要な物についての提供を継続して行う。


 全精霊不死鳥は、命を救われた後、様々な面でエメラの力になる。

 人間に危害を加えることは、原則禁止だが、例外あり。


 本当はもっと細かい内容だったが、大まかに言うとこんな感じだ。


「ん・・・。契約・・・結ぶ・・・?」

「ピュイ、ピュイ・・・!」

「ん・・・。なら、決まり、だね・・・?」


 どうやら、契約内容に異論は無いらしいので、次の段階へ進む。


「じゃあ、エメラ。この子に名前をつけて?」

「名前、を・・・?」

「ああ。合意後の名づけをもって契約は完了するから、よく考えてね?」


 クロトが名づけの方法と意味を説明すると、エメラは少しだけ考え込む。

 やがて、良い名前が思いついたようで、魔物の方を向く。


「ん・・・。汝の名は・・・フェニア。」

「ピュイ・・・!」


 その名前で同意したようで、契約が結ばれた。

 そして、二人の足元に、それぞれ光る魔法陣が描かれる。


 十数秒後、二つの魔法陣が、足元から頭頂へゆっくりと移動。

 頭頂に辿り着いた両者の魔法陣は、吸い寄せられるように近づき、重なる。

 重なった後、段々と小さくなっていき・・・・・・。


 一際大きく光った。


 その場に残ったのは、七色の石。

 クロトはこれを、召喚石と名付けた。


 召喚石は契約の象徴で、幾つかの機能がある。


 第一に、契約した魔物を、石の中で待機させることが出来る。

 この機能を組み込むのには、クロトも苦労した。

 召喚石中の様子は、割と自由に改造可能。

 時間は普通に経過する。


 第二に、人魔間での会話を可能にする。

 ただ、こちらの機能は必要なかったようだ。

 エメラも「人魔心話」を習得したので。


 他にも細々とした機能があるが、今は省略。


 契約は完了したので、命の水をエメラに渡す。

 エメラはそれを受け取り、フェニアに使用した。


「・・・ピュイィィ!」

「ん・・・。元気に、なって・・・良かった・・・。」

「ピュイ!」

「どう、いたし、まして・・・?」


 お礼を言っているらしいフェニアへ、エメラは嬉しそうに、そう返した。



 かくして、人魔共存の第一歩は踏み出された。





 ヘキサアイズを倒して、眷属を縛る動きを躊躇させられていなかったならば。


 フェニアは、抵抗が無い、エメラに助けを求めるという行為を取れなかった。

 そしてそのまま、死んでしまっただろう。


 エメラとフェニアの相性が良かったからこそ、すぐに人魔心話を習得できた。

 それによって、直ちに契約を結ぶことに成功し、一命を取り留めた。




 ヘキサアイズ討伐による影響は、確かに現れつつあった。



 人と魔物が心を通わせられる時代が来て欲しいという、マリアの願い通りに。

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