異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

渦潮地帯

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 クロトたちは、数十分単位で襲って来る魔物たちを、次々と迎撃していった。


「極天龍十六夜連閃・神絶!」

「水神魔法・縦横無刃!」


 クロトがデビルオクトパス皇帝種の足を全て切り落とし、本体にも八連撃。


 アクアが、素早いジェットフィッシュ皇帝種を基点に魔法を発動。

 敵は、逃げ場を全て氷刃で囲まれて、呆気なく詰み。


 両者とも、ほぼ同時にしとめた。


「・・・ん、ようやく一息つける、かな?」

「はい、周辺に魔物の反応はありませんから。」


 度重なる襲撃を乗り越え、辺り一帯に魔物が居ない空白地帯が出来た。

 海の魔物は感知が得意な種が多いので、次々と襲撃にあう。

 中には当然の如く皇帝種も混ざっており、普通の冒険者ならすぐに音を上げる。


 世界七大危険地帯は伊達では無いのだろう。


「クロトさん、MPは・・・・・・あ、永久機関がありましたね。」

「まあね。そういうアクアは・・・そもそもMPを使わないんだったね。」

「はい、水瓶がありますから。」


 この二人は、何の遠慮も無くMPを使える組み合わせである。

 そのため、継続戦闘に問題は無い。

 逆に、MPに制限がある者では、早々に撤退することになりそうなのだが。






 ダイダル海域を進むこと数日。

 アクアの感知した場所までやって来た。


 前方には、激しい渦潮が幾つも存在しており、とても船では渡れそうにない。

 だがしかし、ほんの一部だけ、渦潮の無い箇所があった。


「ちょうど、大型船一隻分、ってところかな・・・。」

「ええ。この船でも、問題なく通れそうですね。」


 意を決して、そのスペースを船で進んでいく。

 近くには魔物の反応も無く、拍子抜けするほど簡単に、渦潮地帯を抜けた。

 感知できない魔物の存在も考慮していたクロトだが、あまりに呆気ない。


 渦潮地帯を抜けた先は、今までと何ら変わらない海。

 ここから深部、即ち海底を目指すことになる。


 と、その前に、海域の内側から渦潮地帯を観察していたアクア。

 渦潮内部である海の中央に何かを見つけて、クロトに報告する。


「クロトさん、あちらの方向の海面に何かあります。」

「ん?・・・本当だね、近づいてみようか。」


 クロトは船を操作し、その場所へ近づいていく。


 そこにあったのは、三つの巨大結晶。

 小さな足場に固定されており、下半分海に浸かっている。


 一つ目は、減衰結晶。二つ目は、渦潮結晶。三つ目は、大海結晶。


 前半二つは未見の結晶なので、クロトは有難くいただいた。

 全部回収してしまうと渦潮が無くなるかもしれないので、流石にそれは自重。

 渦潮が無くなることでどんな問題が起こるのかが一切不明なので、安全策だ。


(減衰結晶はともかく、渦潮結晶は・・・何に使えるかな・・・?)


 大したものは思いつかないので、グレンに相談しようと決めて、収納。


 いよいよ深部を目指すのだが、その前にアクアへ確認。


「アクア、この辺りは海の底まで感知できないかな?」

「・・・・・・はい、かなり深いようで、私の探知ですら、底まで届きません。」

「やっぱりそうだよね・・・。」


 アクアでも無理なので、クロトの神の瞳でも、当然分からない。

 そう上手くはいかないことは予想済みなので、ガッカリすることも無い。


「ええ。ですが、途中までの探知結果ですと、強力な魔物が反応にあります。」

「未見の魔物も居る?」

「はい、それなりの数が存在しています。」


 それは重畳とばかりに微笑みを浮かべるクロト。

 クロトにとって未見の魔物は、積極的に狙いたい獲物でしかない。

 たとえそれが、天種であっても。


「ちなみに、天種の反応はどれくらい?」

「えっと、ですね・・・。」


 アクアが少々口ごもりながら、探知の結果を告げる。


「ここの海底に存在するのは、皇帝種九割と天種一割、ですから・・・。」

「・・・なるほど。とんでもない数の天種が生息していそうだね。」


 総数が数えきれないのだから、一割でもかなりの数だろう。

 海方面で天種が現れたことが無いのは、密集しているからのようだ。


 もっとも、密集しているという表現が似合う程、狭い場所ではないのだが。


「天種は全て未見としても、皇帝種級にも未見か・・・。楽しい冒険になるね。」

「一般の方でしたら、絶望に泣き崩れるレベルだと思いますけどね・・・。」


 クロトの言葉に、アクアは苦笑しながら答えた。


 一般人でなくとも、放り出されたら絶望する環境なのだが・・・。


 人外の領域へ完全に踏み込んでしまったアクアは、それに気づかない。

 もうすでに、クロトのズレ具合を非難できないだろうと思われる。


「さて・・・。アクア、心の準備は良い?」

「はい!いつでも大丈夫です!」


 流石に深海を進む船は無いので、生身で潜るしかない。

 それゆえの、心の準備の再確認だ。




(アクアとなら、どんな危険地帯でも、何の問題も無い・・・!)


(クロトさんとなら、深海だろうと、どこまでも一緒に行きます・・・!)



 二人は互いに微笑み合い、頷き合って、心の準備を確認。



「じゃあ、行くよ?」

「はい!行きましょう!」




 クロトとアクアは手を繋いで・・・・・・大海へ飛び込んだ。


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