異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

お泊り

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「あっ・・・!クロト君、肌に触らないでっ!」

「あ、ごめんね?・・・と、これで全部かな。」

「も、もう良いの・・・?」


 ようやく終わりかと思い、安堵の表情を見せる。

 ただ、想像していたよりはずっと短く、密かにクロトへ感謝を向けるリオン。


「ああ。最後に両手を広げて袖の部分を見せて、くるっとターンして?」

「わ、分かった・・・!」


 手で隠していた肌が露出するのでとても恥ずかしい。

 だが、これが最後と思い、羞恥で一層顔を赤くしながら、くるっとターン。


「・・・ん、検証とは関係なかったけど、やらせて損は無かったね。」

「クロト君の馬鹿ぁぁぁぁぁっ!!」


 リオンはクロトを非難したが、大多数の者はクロトの行いを称賛するだろう。

 それくらいに、最後のリオンは魅力的であった。


「リオン、一時的な性転換が可能なアーティファクトをあげようか?」

「断固拒否させてもらおうかなっ!?」


 リオンの返答に、クロトは目を見開いて驚愕した。


「本当に要らないの・・・?」

「何で、如何にも僕がそれを欲しているかのような言い方をするんだい!?」

「・・・違うの?」

「違うに決まっているだろう!?」


 クロトは首を傾げながら、再度問いかける。


「今まで一度も、自分の生まれ持った性別を変えたい、と思ったことが無いと?」

「っ、それはっ・・・!」


 心当たりはあったようで、否定したくとも出来ない様子。


「まあ、思春期の男なんだし、そういうことも考えるよね。」

「その言い方だと僕がいやらしいことを考えていたみたいに聴こえるからっ!?」

「・・・違うの?」

「それだけは絶対に違うと主張させてもらおうかな!?」


 どうやら本当に違うらしい。

 リオンは耳まで真っ赤にしているので、クロトは宥めにかかる。


「そっか・・・誤解して済まなかったね・・・。」

「えっ・・・?い、いやっ、そこまで責めている訳では無いからっ・・・!」


 クロトの申し訳なさそうな表情を見て、慌ててフォローに入る。

 普段無表情なだけに、効き目は十分。


「そうなんだ?それじゃあ、この話はこれでお終い。」

「・・・クロト君。僕は君の表情変化についていけないよ・・・。」


 一瞬で無表情に戻ったクロトに、リオンは呆れ顔であった。


「さて、それじゃあ寝ようか。」

「なんでっ!?」


 目を見開いて、どういうことかと問いかける。


「なんで、って・・・もう夜も遅いし、明日寝坊するよ?」

「そうだけどもっ!なんで僕の部屋でベッドを出したのかということだよ!」


 クロトは自分用のベッドを収納から出しており、リオンの部屋で寝る気満々だ。


「・・・?もしかして、一緒のベッドの方が良かったの?」

「違うよっ!この部屋で寝ようとしているのは何故かと聞きたいんだよっ!」


 クロトとしては、一緒のベッドで寝ることに抵抗は無いようだが・・・。

 そういう話ではないらしい。


「明日も王城で用事があるから。帰ると二度手間になるんだよね。」

「・・・なるほど。だったら専用の部屋を用意させるよ?」


 クロトが忙しいのは知っているリオン。

 その言い分に納得して、部屋を用意しようと提案した。


「いや、手間をかけさせるのもアレだから、リオンさえ良ければここで・・・。」

「・・・この部屋で、かい?・・・まあ、良いけど。」


 別に問題はないかと判断し、許可を出す。


 安全上、普通は第一王子の部屋で寝る許可など下りないが、そこはクロト。

 駄目だなどと言われるはずもない。


「リオンをどうこうするくらい、何処に居ても出来るし。」

「怖いことを言わないでくれるかい!?」

「例えば、王城で働いている部下に指示を出して・・・。」

「聞きたくない聞きたくないっ!」


 部下を除いても、王城内にも着々と信奉者を増やしていたりする。

 クロトは、わざわざリオンに言うことをしないが。


「嫌なことから目を逸らすのは良くないよ?」

「全くもってその通りだけど、物凄く釈然としない・・・。」


 リオンの言葉を聞き流しながら、クロトは練る準備をしてベッドへ。

 リオンも眠くなってきたので、同じくベッドへ。

 ただ、揶揄われっぱなしで微妙に悔しいので、少しだけ揺さぶりをかける。


「そう言えば、クロト君は性別を変えたいと思ったことは無いのかい?」

「あるよ?」

「ええっ!?」


 即答で肯定され、驚く。

 もう少し動揺してほしかったらしいが、クロトを舐め過ぎである。


「もう随分昔のことだけどね。ほら、僕もこんな容姿だからさ?」

「・・・なるほど。」


 確かにクロトの容姿は、現状でも中性的で、男女どちらにもとれる。

 男っぽい格好でもそれなので、女装すれば女にしか見えないだろう。


「まあ、女性にも苦労があると知ったから、すぐに思わなくなったけどね?」

「・・・へぇ、そうなんだ。」


 リオンはこの話題はやめようと決めた。

 クロトの過去については、安易に踏み込んではいけないような気がするのだ。


 それは、アクアたち恋人も感じていること。


「クロト君・・・。その、今度からも泊まりに来ても良いよ・・・?」

「・・・・・・。」

「もう寝てるっ!?早過ぎじゃないかなっ!?」」


 クロトが泊ってくれて、ベッドに入りながら雑談。

 思いの外いいものだったので、一世一代の告白をする思いで言ったのだが。


「・・・はぁ。僕も寝よう。」

「おやすみ、リオン。」

「うん、おやすみクロト君。」


 こうして、夜は更けていったのだった。

 眠いせいなのか、気づかず普通にクロトへ返答してしまったリオンであった。

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