異世界隠密冒険記

リュース

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第二部「創世神降臨」編

狭間の迷宮

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 翌日、クロトはラファエルからの謝罪を受け取った後、とある場所へ出向いた。


「・・・やっぱりダンジョンの入口だね、これは。」

「そうですわね。でも、中に入れないのはどうしてですの?」

「それは・・・多分、空間がおかしくなっているせいだね。」


 マリアの疑問に、クロトは推測を述べた。

 疑問を述べた本人は、いまいち理解できずに、再びダンジョンの入口を見た。

 視線の先は、次元が割かれたように黒い大穴が空いていた。


 ここは深淵の森、その深淵部にあるダンジョンの入口前なのだ。


 一口に空間がおかしくなっていると言っても、その形態は色々だ。

 例えば、特定空間をループするようになったり、上下が逆転したり。

 今回の場合、空間が複雑に断絶され、主に侵入が制限されている。


「その説明なら理解しやすいですわ。では、どうしてそうなっているんですの?」

「うーん・・・多分、人為的なものではないね。
 人為的にこの状態を作り出すのは不可能だ。構造が複雑すぎて何が何やら。」


 クロトは魔物が起こした天変地異が原因ではないかという推測している。


「外側から侵入は出来なさそうだし、内側からの脱出も制限されている。」

「以前、ドレファト防衛戦時の話に出た緑色のドラゴンですの?」

「そうだよ。恐らく、こちら側に滞在できる期間が決まっているんだろうね。」


 そして、その時間はごく短いものである、と。

 でなければ今頃、深淵の森は危険地帯どころの騒ぎではなくなるだろうから。


 そして、最も重要な事。

 それは、クロトたちにもいずれその条件が適応されるのでは、ということだ。


「前から不思議に思ってたんだよね。どうして外側から人が来ないのか、って。」

「その原因が、滞在時間制限、ですの?」

「そういうこと。」


 つまり、こういうことだ。

 外側の世界を本拠地とする者は、内側の世界には特定時間しか滞在できない。

 その条件が例のドラゴンにも適用されていたため、直ぐに外側へ帰った、と。


「強制的に戻されるのか、ペナルティがあるのか、その辺は分からないけどね。」

「少ない情報でそれだけ分かれば十分だと思いますわ・・・。」


 相変わらずの考察力に舌を巻くマリア。

 クロトはマリアの表情に苦笑しながら、もう一つ情報を落とした。

 そしてそれは、爆弾の如き情報だった。


「あ、本拠地という言い方は適当でなかったかも。
 外での滞在時間が二十四時間を超えたらその条件が適用されると思うよ。」

「・・・なっ!?」


 つまり、外側の世界を本格的に探索するなら、内側の世界とは実質お別れだ。

 滞在時間制限がどのような仕組みか分からない以上、そう考えるべきだろう。

 クロトはそうなる前に、その手の情報を得たいと思っているが。


「・・・っと、言ってる傍から何か出てきそうだよ。」

「っ!?」


 クロトとマリアは直ちに、仮称「狭間の迷宮」の入口から距離を取った。

 数秒後、出てきたのは緑色のドラゴン。

 名称は、森林竜。


 クロトは直感的に悟った。

 如何なる因果か、以前目撃したドラゴンと同個体であると。


 かつて遭遇した時は手も足も出なかっただろうその竜。


「天魔神法術・全天魔必縛!」

「星天装、発動。光輪、闇輪、生成。
 ・・・創世十六夜連閃・神断!」

「GYAAAAAAAA!?」


 クロトはマリアのサポートを得て、それを一瞬で討伐したのだった。

 解体で森林竜の牙や鱗、瞳、爪、尾、内臓、竜結晶などを手に入れ、ホクホクだ。

 内側の世界には殆ど居ない竜の素材は未だに貴重品なのである。


「橙と緑、深海竜は青でいいのかな?これで三色目だね。」

「残りの三色も居そうですわね、間違いなく・・・。」


 橙輝竜と深橙龍の組み合わせのように、深紅龍にも下位存在が居そうである。

 一方、深海竜や森林竜には上位存在が居そうだ。

 黄と紫はどちらも未見であるが。


「深橙龍から橙龍結晶がとれたから、深紅龍は紅龍結晶かもね。」

「安直ですわね。そういえば、深橙龍の素材はどうしたんですの?」

「あれはグレンさんが解析中。初めて見る素材だと必ずそうなるからね。」


 こればっかりは仕方ないと首を横に振るクロト。

 解析は大事なので、最悪は深橙龍が丸ごと消えてもいいという心構えだ。


(グレンさんも外側の世界に連れて行きたいけど、厳しいかな・・・?)


 戦闘力的にも不安があるが、シロナについて行ってないことからもそう考える。

 つまり、現状の武器と防具のままでアウターワールドを探索せねばならない。


(アウターワールドには、どんな魔物が居るのかな・・・?)


 クロトはまだもう少し先のことであると思いながら、色々な想像をした。



 この時のクロトは知らなかった。

 アウターワールドへの旅立ちは、目前まで迫っているということを。

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