564 / 600
第三部「全能神座争奪戦」編
深紅鬼の巣窟
しおりを挟む
クロトとシロナはアヤカから情報を入手し、新たに掲示板に紙を貼りつけた後、欠片が落ちたと思われる<深紅>地区のとある場所へ向かっていた。
「私の膝枕はそんなものなんだぁぁ・・・。」
「・・・別に僕が言ったわけじゃないからね?」
シロナが微妙に拗ねた態度をとっているので、空気が甘い。
何故そこで重くなるのではなく甘くなるのかと。
知らぬは本人たちばかり。
「だったら、ちょっとぐらいなぐさめてくれてもいいんじゃないの~?」
「はぁ・・・落ち込んでもないくせによく言うよ・・・。」
「あははは・・・バレた?」
シロナは何事もなかったかのように、いつも通りの笑顔に戻った。
そして、するりと移動してクロトの隣を歩き始める。
熟年夫婦もかくやという具合に分かり合っている二人。
すなわち、恒例の親愛表現にして愛情表現だったのだ。
「大体、シロナが拗ねたのなんて・・・僕に勝負をすっぽかされた勘違いした時くらいじゃないかな?確かあの時は――――」
「あーあーっ!!聞こえない聞こえないっ!! あの時の記憶についてはゴミ箱行きを推奨、いや、強制だよっ!!」
魔物を呼び寄せないように小さな声で叫ぶという、途轍もなく器用なことを平然とやってのけるシロナ。
騒がれても面倒なので、クロトは諦めて話題を変えることにした。
「はぁ・・・それで、欠片が落ちたと思われるのが―――」
「通称、<深紅鬼の巣窟>だねっ! 私も行ったことはないんだけど、有名な場所だから名前だけは知ってる!」
シロナのいう、<深紅鬼の巣窟>という場所。
これはいつの間にか定着していた呼び名であり、その場所にはレベル125を超えた<深紅鬼>が密集して生息している。
幻想種鬼区分の<深紅鬼>は個体にもよるが、最低でA-ランクの魔物。個体によってはAランクの上位にすらなるという。
そんな魔物が密集しているとなると、レベル100程度では苦しい場所だ。
この<深紅鬼の巣窟>が厄介なのは、最初はそれほど遭遇しないにもかかわらず、いつの間にか巣の真っただ中に入り込んでいて、敵に囲まれてしまうところだ。
そのことを知らずに踏み入って被害を出す者が後を絶たないらしい。
「シロナ、キャンプ地に着く前に鬼の話をしたのがいけなかったのかな?」
「あ~、言霊ってやつだね。まさか欠片の落ちた場所が<深紅鬼の巣窟>の中央付近と思われる場所だなんて、酷い不運だよねっ!」
「不運、か。シロナがいるんだし、偶然ではなく必然と考えた方がいいかもね。」
「うん。私の運に左右されない絶対的な事象、ってやつだったっけ?」
「それだね。落ちるべくしてそこへ落ちたということになるのかな。」
クロトは偶然というものをあまり信じない。
物事を偶然で片付けてしまうのはただの思考停止だと思っているのだ。
世界の公式を導き出したが故に、その考えがあながち間違いではないと分かる。
(やっぱり、<赤の領域>から探し始めたのは失敗かな?他の皆、例えばアクアだったら<青の領域>辺りに落ちている可能性が高いし。まあ、それが逆に成功ともいえるんだけど・・・。)
クロトは己が<白の領域>に落ちたことを偶然で片付けなかった。
欠片の情報と総合して考え、自分は各色のバランスが取れている故に、そこへ落ちたのではないかと推測したのだ。
つまり、青に偏ったアクアは<青の領域>に落ちたのではないか、となるのだ。
主に、その青い瞳のせいで。
(メリットとデメリットを天秤にかけてメリットを選んだ。それが掲示板でアクアたちの情報を求めるという行為。果たして、吉と出るか凶と出るか・・・。)
外側の世界は何かと未知なる領域の情報が多いので、たとえクロトでも己の行動による結果を完璧には予測することができない。
それ故に、その胸の中に、常に一抹の不安を抱えている。
その状態こそ、己の成長を促す健全な状態だと分かってはいるのだが・・・。
「―――とうっ!」
「っ、シロナ? いきなり飛びつかれると危ないんだけど?」
「クロトがそんな、ひよこに蹴飛ばされたような顔をしてるからだよっ!」
それは一体どんな顔なのかというツッコミはしないクロト。
シロナが言わんとするところは分かったゆえに。
「私の、寿命を削ってまでやったお祈りを信用できないのかなぁ?」
「・・・信用はしてるよ。過信はしないというだけで、ね。」
「それはそうだけど、今のクロトは少し負の方に傾いてるよ。ほら、私の愛を受けて、いつも通りに天秤を中立水平に戻すがいいっ!」
「・・・はぁ。これだからシロナには敵わないんだよね。」
「それはお互い様だけどねっ!」
クロトはシロナの抱擁を受けて、クロトはいつも通りのクロトに戻った。
これこそが親友たる関係性の所以なのだろう。
「・・・寿命については、神化した後でちゃんと返すからね。」
「分かってる分かってる。二人の寿命を足して二で割れば完璧だもんね。再会できた以上、クロトの居ない世界で生きていてもしょうがないし、クロトを置いていくつもりもないし。それが一番だよねっ!」
「私の膝枕はそんなものなんだぁぁ・・・。」
「・・・別に僕が言ったわけじゃないからね?」
シロナが微妙に拗ねた態度をとっているので、空気が甘い。
何故そこで重くなるのではなく甘くなるのかと。
知らぬは本人たちばかり。
「だったら、ちょっとぐらいなぐさめてくれてもいいんじゃないの~?」
「はぁ・・・落ち込んでもないくせによく言うよ・・・。」
「あははは・・・バレた?」
シロナは何事もなかったかのように、いつも通りの笑顔に戻った。
そして、するりと移動してクロトの隣を歩き始める。
熟年夫婦もかくやという具合に分かり合っている二人。
すなわち、恒例の親愛表現にして愛情表現だったのだ。
「大体、シロナが拗ねたのなんて・・・僕に勝負をすっぽかされた勘違いした時くらいじゃないかな?確かあの時は――――」
「あーあーっ!!聞こえない聞こえないっ!! あの時の記憶についてはゴミ箱行きを推奨、いや、強制だよっ!!」
魔物を呼び寄せないように小さな声で叫ぶという、途轍もなく器用なことを平然とやってのけるシロナ。
騒がれても面倒なので、クロトは諦めて話題を変えることにした。
「はぁ・・・それで、欠片が落ちたと思われるのが―――」
「通称、<深紅鬼の巣窟>だねっ! 私も行ったことはないんだけど、有名な場所だから名前だけは知ってる!」
シロナのいう、<深紅鬼の巣窟>という場所。
これはいつの間にか定着していた呼び名であり、その場所にはレベル125を超えた<深紅鬼>が密集して生息している。
幻想種鬼区分の<深紅鬼>は個体にもよるが、最低でA-ランクの魔物。個体によってはAランクの上位にすらなるという。
そんな魔物が密集しているとなると、レベル100程度では苦しい場所だ。
この<深紅鬼の巣窟>が厄介なのは、最初はそれほど遭遇しないにもかかわらず、いつの間にか巣の真っただ中に入り込んでいて、敵に囲まれてしまうところだ。
そのことを知らずに踏み入って被害を出す者が後を絶たないらしい。
「シロナ、キャンプ地に着く前に鬼の話をしたのがいけなかったのかな?」
「あ~、言霊ってやつだね。まさか欠片の落ちた場所が<深紅鬼の巣窟>の中央付近と思われる場所だなんて、酷い不運だよねっ!」
「不運、か。シロナがいるんだし、偶然ではなく必然と考えた方がいいかもね。」
「うん。私の運に左右されない絶対的な事象、ってやつだったっけ?」
「それだね。落ちるべくしてそこへ落ちたということになるのかな。」
クロトは偶然というものをあまり信じない。
物事を偶然で片付けてしまうのはただの思考停止だと思っているのだ。
世界の公式を導き出したが故に、その考えがあながち間違いではないと分かる。
(やっぱり、<赤の領域>から探し始めたのは失敗かな?他の皆、例えばアクアだったら<青の領域>辺りに落ちている可能性が高いし。まあ、それが逆に成功ともいえるんだけど・・・。)
クロトは己が<白の領域>に落ちたことを偶然で片付けなかった。
欠片の情報と総合して考え、自分は各色のバランスが取れている故に、そこへ落ちたのではないかと推測したのだ。
つまり、青に偏ったアクアは<青の領域>に落ちたのではないか、となるのだ。
主に、その青い瞳のせいで。
(メリットとデメリットを天秤にかけてメリットを選んだ。それが掲示板でアクアたちの情報を求めるという行為。果たして、吉と出るか凶と出るか・・・。)
外側の世界は何かと未知なる領域の情報が多いので、たとえクロトでも己の行動による結果を完璧には予測することができない。
それ故に、その胸の中に、常に一抹の不安を抱えている。
その状態こそ、己の成長を促す健全な状態だと分かってはいるのだが・・・。
「―――とうっ!」
「っ、シロナ? いきなり飛びつかれると危ないんだけど?」
「クロトがそんな、ひよこに蹴飛ばされたような顔をしてるからだよっ!」
それは一体どんな顔なのかというツッコミはしないクロト。
シロナが言わんとするところは分かったゆえに。
「私の、寿命を削ってまでやったお祈りを信用できないのかなぁ?」
「・・・信用はしてるよ。過信はしないというだけで、ね。」
「それはそうだけど、今のクロトは少し負の方に傾いてるよ。ほら、私の愛を受けて、いつも通りに天秤を中立水平に戻すがいいっ!」
「・・・はぁ。これだからシロナには敵わないんだよね。」
「それはお互い様だけどねっ!」
クロトはシロナの抱擁を受けて、クロトはいつも通りのクロトに戻った。
これこそが親友たる関係性の所以なのだろう。
「・・・寿命については、神化した後でちゃんと返すからね。」
「分かってる分かってる。二人の寿命を足して二で割れば完璧だもんね。再会できた以上、クロトの居ない世界で生きていてもしょうがないし、クロトを置いていくつもりもないし。それが一番だよねっ!」
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。
昼寝部
キャラ文芸
俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。
その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。
とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。
まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。
これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。