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シーフが推し
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何故か都内のボロアパートに集まった異世界の住人によって結成された勇者パーティー。それは魔物を駆逐し、アパートに出来たダンジョンを攻略することを最終目的としている。
祖母は昨年まで盾を持って魔物の攻撃を最前線で受け止めていたそうだ。何処にそんな筋力があったのか今の細い祖母からは想像できない。
「それで紗倉はミチエさんの代わりにタンク、やってくれないかな?」
ニコニコ笑顔で初対面の私に勧誘する勇者ライリーに腹が立ってきた。
入居早々勇者パーティーの仲間入りなんて訳が分からない。祖母のタンクの代わり?私は大学に通わないといけない。
「無理です。私は大学生活がありますから」
「そこをなんとか。これは世界の危機だ!我々でこの迷宮を踏破しなければ、魔物が迷宮から溢れ世界は終わりだ」
パッションをメラメラ燃やす熱い男は嫌いだ。
「そもそも何故、都内のアパートにダンジョンなんて出来たの?」
「そ、それはだな・・・」
ライリーの目はキョロキョロ左右に動いて明らかに動揺している。
「それは先々代の住人のドワーフがアパートの地下に25階層の迷宮を掘り始めたのがきっかけで、地下深くから魔物の国に通じる扉を掘り当てて開いたら魔物が溢れ出てきたんだ」
「自業自得じゃん!」
「ちゅいまちぇん(すみません)」
ふざけて少し可愛げに謝るライリーに腹が立った。引越し当日にお隣とは険悪なムード。
もう引っ越そう。違うアパートかマンションを探そうと決心した。
その時、205号室のドアが開いた。
205号室、シーフのロンが出てきてロンを二度見した。
そこには私が推している男性アイドルグループ『jin×3トリプルジン』のリーダー、ジングルだった。芸能人だ!私は生まれて初めて見た。
「なんでジングルがこのアパートに」
「彼はこのアパートの住人で勇者パーティのシーフのロンだよ。芸能活動もしている」
私の推しと同じアパートに住めるチャンス!これは住むしかない!
「住みます!勇者パーティもします」
「どうした急に?」
勇者ライリーは驚いていたが、私はロンを目で追ってしまう。私に近づいてくるロン。少し長い肩まである髪を靡かせて、目鼻立ちはくっきりして、鼻筋は通って鼻は高い。細くてスタイルが良い。
「おはよう」
ロンがライリーに軽く挨拶する。次に私と目が合う。
「おはよう。新しい入居者?」
きゃー!推しが私に声を掛けてくれた。
「は、初めまして。203号室に入居します九条川紗倉です」
上擦って声が震える。
「紗倉さん、よろしく。俺はロン」
下の名前で呼んでくれた。もう満足です。お腹いっぱいです。挨拶しちゃった。エヘヘ、うふふ。フニャフニャと体が動いてしまう。
ロン(ジングル)は私の前を通り過ぎた。
そして201号室のドアが開く。
女性が出てきた。
「あれが弓使いのセリカだ」
ライリーは私に教えてくれた。セリカは美人だった。私と同じぐらいの身長なのに脚が長くてスタイルが良い。顔は整っていて髪はダラリと腰まである。どこか妖艶な雰囲気を漂わせている。
よく見るとセリカはモデルで有名なセリアナだった。
芸能人のジングルとセリアナは勇者パーティーに所属するロンとセリカという2つの名前を持っていた。
ロンはセリカに近づき肩に手を回す。
え?ドウユウコト?
「おはようセリカ」
「ロン、おはよう」
そのまま額にキス。
ぎゃー!うわー!発狂したくなる光景が目の前で繰り広げられた。
「おのれセリカぁぁぁ!」と心の中で叫ぶ。
彼氏彼女か!裏でコソコソ交際しているのか!アイドルとモデル。よくある組み合わせだ!
推しを取られた怒りで血圧が上がる。
今にも爆発しそうだ。
「ヒール」
ほわーとした気分になり落ち着く。
「ミニャぁぁぁ!ありがとー」
こんな時は感謝しかない。
「いえ、貴女が憤慨して力が異常に上昇するのを感じて暴走するのを回復して魔力で制止したまでのこと」
嫉妬して暴走しそうになって恥ずかしい。
私の大学生活で新しく目標が出来た。
大学生活を謳歌する。
勉強はしっかりする。
バイト。
セリカからロンを奪う。
「それでお兄様、今日は何時に帰宅しますか?」
セリカがロンに尋ねた。
お兄様?
「ロンとセリカは兄妹?」
「そうだ」
ライリーは答えた。
はよライリー言わんかい!関西人の私は思わず関西弁でツッコミそうになった。嫉妬して損した。
「ヒール。貴女からライリーに対する怒りを検知しました」
「なぜだ!」
ライリーは驚いて私の顔を覗き込んだ。
祖母は昨年まで盾を持って魔物の攻撃を最前線で受け止めていたそうだ。何処にそんな筋力があったのか今の細い祖母からは想像できない。
「それで紗倉はミチエさんの代わりにタンク、やってくれないかな?」
ニコニコ笑顔で初対面の私に勧誘する勇者ライリーに腹が立ってきた。
入居早々勇者パーティーの仲間入りなんて訳が分からない。祖母のタンクの代わり?私は大学に通わないといけない。
「無理です。私は大学生活がありますから」
「そこをなんとか。これは世界の危機だ!我々でこの迷宮を踏破しなければ、魔物が迷宮から溢れ世界は終わりだ」
パッションをメラメラ燃やす熱い男は嫌いだ。
「そもそも何故、都内のアパートにダンジョンなんて出来たの?」
「そ、それはだな・・・」
ライリーの目はキョロキョロ左右に動いて明らかに動揺している。
「それは先々代の住人のドワーフがアパートの地下に25階層の迷宮を掘り始めたのがきっかけで、地下深くから魔物の国に通じる扉を掘り当てて開いたら魔物が溢れ出てきたんだ」
「自業自得じゃん!」
「ちゅいまちぇん(すみません)」
ふざけて少し可愛げに謝るライリーに腹が立った。引越し当日にお隣とは険悪なムード。
もう引っ越そう。違うアパートかマンションを探そうと決心した。
その時、205号室のドアが開いた。
205号室、シーフのロンが出てきてロンを二度見した。
そこには私が推している男性アイドルグループ『jin×3トリプルジン』のリーダー、ジングルだった。芸能人だ!私は生まれて初めて見た。
「なんでジングルがこのアパートに」
「彼はこのアパートの住人で勇者パーティのシーフのロンだよ。芸能活動もしている」
私の推しと同じアパートに住めるチャンス!これは住むしかない!
「住みます!勇者パーティもします」
「どうした急に?」
勇者ライリーは驚いていたが、私はロンを目で追ってしまう。私に近づいてくるロン。少し長い肩まである髪を靡かせて、目鼻立ちはくっきりして、鼻筋は通って鼻は高い。細くてスタイルが良い。
「おはよう」
ロンがライリーに軽く挨拶する。次に私と目が合う。
「おはよう。新しい入居者?」
きゃー!推しが私に声を掛けてくれた。
「は、初めまして。203号室に入居します九条川紗倉です」
上擦って声が震える。
「紗倉さん、よろしく。俺はロン」
下の名前で呼んでくれた。もう満足です。お腹いっぱいです。挨拶しちゃった。エヘヘ、うふふ。フニャフニャと体が動いてしまう。
ロン(ジングル)は私の前を通り過ぎた。
そして201号室のドアが開く。
女性が出てきた。
「あれが弓使いのセリカだ」
ライリーは私に教えてくれた。セリカは美人だった。私と同じぐらいの身長なのに脚が長くてスタイルが良い。顔は整っていて髪はダラリと腰まである。どこか妖艶な雰囲気を漂わせている。
よく見るとセリカはモデルで有名なセリアナだった。
芸能人のジングルとセリアナは勇者パーティーに所属するロンとセリカという2つの名前を持っていた。
ロンはセリカに近づき肩に手を回す。
え?ドウユウコト?
「おはようセリカ」
「ロン、おはよう」
そのまま額にキス。
ぎゃー!うわー!発狂したくなる光景が目の前で繰り広げられた。
「おのれセリカぁぁぁ!」と心の中で叫ぶ。
彼氏彼女か!裏でコソコソ交際しているのか!アイドルとモデル。よくある組み合わせだ!
推しを取られた怒りで血圧が上がる。
今にも爆発しそうだ。
「ヒール」
ほわーとした気分になり落ち着く。
「ミニャぁぁぁ!ありがとー」
こんな時は感謝しかない。
「いえ、貴女が憤慨して力が異常に上昇するのを感じて暴走するのを回復して魔力で制止したまでのこと」
嫉妬して暴走しそうになって恥ずかしい。
私の大学生活で新しく目標が出来た。
大学生活を謳歌する。
勉強はしっかりする。
バイト。
セリカからロンを奪う。
「それでお兄様、今日は何時に帰宅しますか?」
セリカがロンに尋ねた。
お兄様?
「ロンとセリカは兄妹?」
「そうだ」
ライリーは答えた。
はよライリー言わんかい!関西人の私は思わず関西弁でツッコミそうになった。嫉妬して損した。
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