異世界転生ナメてました!異世界ニート生活始めます

三毛猫

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街を出る

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「すみません。覚えてません」

肩を下ろし背中を丸めて俯くフィアリにゴッズが詰め寄る。

「昨日、行くと宣言したのを覚えてないだとぉ!」

怒りに震えるゴッズ。なぜなら昨日の酒場でソウダとフィアリが街で1番強いという事を知って期待しただけに、街を出る当日に昨日の酒場の出来事は覚えていないから辞退したいと申し出がフィアリからあったからだ。

「もう既に30人以上広場に集まって、出発間近というのに。どうして?」

「だから、酒に酔って覚えてない。私は故郷に帰るつもりがソウダを助けてズルズル2年も経ったから、そろそろ帰ろうと思った」

「酒場に居た人はいますか?酒場でエルフ族に二言はない!行くと宣言した言葉を聞いた人はいますか?」

「私、聞きました」
「俺も」
「すごい大きな声で宣言してた」
「えー私もはっきり聞いたわ」


次々と聴取者が現れ赤面するフィアリにソウダは
「相方は辞退すると言っている。どうか聞き入れてほしい」
と頭を下げた。

その姿にフィアリは申し訳なくなり、フィアリも頭を下げて謝った。

「仕方ない」
ゴッズはフィアリを諦めた。

「フィアリは故郷に帰るんだろ?」

フィアリは頷く。

「今までありがとう。気をつけて帰れよ」

「ありがとう。こんな形で別れる事になって、ごめん。魔獣退治の無事を祈ってる」

ソウダはフィアリとパーティーを解散し別れた。




ゴッズ一行はゴモラ王国の東に位置するエントの街を出て、東の果てエルマ領を目指し出発した。
ソウダ含め冒険者32人の長旅が始まった。



その頃、ゴモラ王国のゴモラ城の王の間に伝令が息を切らして入ってきた。

王は伝令に水を与えると、一呼吸置き
「エルマ城、陥落!無数の魔獣が地下から湧き出て城の奪い、城下の町を抜けて西に向かっています!」

「なんと!」

王の側近が口を開く。
「エルマ城下町に1番近い町は、エントの街。それを抜ければ、小さな古城はあるものの、あとは首都まで街や守る場所はありません。エントで食い止めるが上策です」

「急ぎ、エントに兵を出せ!」

王命で集められた5万の兵士はエントに出兵した。







フィアリは街を出て荷馬車に乗り1日が経過した。
すると前方から、数騎の騎馬隊が粉塵を上げながら尋常ではない速さで駆けくる。

鬼気迫る騎馬隊の勢いに思わず弓を構えた。

「敵ではない!急ぎ逃げよ!」

騎馬兵の1人が弓を構えたフィアリに向けて叫んだ。

「何があったのですか?」

「エルマ城が落ちた!無数の魔獣がエントの街に迫っている!」

フィアリの耳がビクッと上がり、全身に身震いを感じた。
相方のソウダは落ちたエルマ城に向かっている。
止めなければならない!

フィアリは荷馬車から降りて走り始めた。
1日かけて来た道を戻り、さらにソウダに追いつくには相当走らなければならない。

騎馬隊は荷馬車を通り過ぎフィアリが走る横を勢いよく過ぎ去った。
先程叫んだ騎馬兵が騎馬隊の一団から抜けて折り返し、フィアリの元に戻った。

「乗っていけ」

「ハァ…ハァ……ありがとう」

馬の背に乗った。

「相方が、いいえ親友というべき友が落ちたエルマ城に何も知らずに向かっています。助けたい」

「わかった!我隊はエントの街に防衛線を敷く。私が行けるのはエントの街までだ!あとは君自身で何とかしてくれ」

「はい!エルマ城を落とした魔獣の数は?」

「8万とも10万とも。逃げ延びたエルマ領の民が言っていた。エントは首都ゴモラ城の最終防衛線でもある。そこを抜かれれば最後、首都は飲み込まれ、さらに西の国も危うい」

「相方の事が心配。それに西には私の故郷があります。故郷を魔獣に滅ぼされると思うと胸が痛い。私も魔獣討伐に参加します!」

「ありがたい!君の名前は?」

「フィアリ」

「私はゴモラ王国直属、第三騎兵部隊のハートだ」

ハートとフィアリは半日かけてエントの街に着いた。
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