妻が妊娠したが俺の子ではなかった冒険者の俺が転生してレベル1の村人になったから、人生やり直す

三毛猫

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ユナリア編

ヴェラニア皇国と森の民 Ⅱ

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「団長。知り合いですか?」

「いいえ、知らない顔です」

「そんな……」
この時、自分がユナリアの姿であることをすっかり忘れていた。
俺がアスレになった記憶はあるが、俺がアスレに憑依したことをアスレ自身は知らないようだ。

「グリムスだよ!君がまだ14歳の時に危険な人食いの村から助けた」

アスレは考え込み、思い出して口を開いた。
「確かに妹のペリシアやガロンからその話は聞きました。でもその頃の記憶が曖昧で……。もしかしてその人食いの村人でしょうか?」

兵士達が一斉に俺に武器を向ける。

「違う!違う!ペリシアにガロン、フィオナやロキに会わせてくれたら説明できる」

「団長。この娘、フィオナ隊長のことも知ってますぜ」

「そのようです。分かりました。魔王軍のロンは拘束して牢屋に。この女性はフィオナ達に会わせよう」

「「はっ!」」

騎士の男はロンを縛り、俺とアスレは森の中の駐屯地にあるテントの中に入った。
円卓と椅子が置かれている。

「遠慮なく座ってください。もうしばらくすればフィオナとペリシアが来ますから」


しばらくしてテントに入ってきたのはフィオナだった。顔の傷が昔より増えていた。5年という歳月で痩せて疲れているのか猫耳は垂れ下がっている。


「なんだ、用とは。それより一体いつになったら此処に酒は届く?兵士達はもう待てないと気が狂って脱走するぞ!」

「充分な量の備蓄はあります。決められた適量しか飲めないから唸ってますよね?フィオナさんの隊は特例で認めているのに、没収しますよ」

ギクってしたのか猫耳がピンと伸びた。

「まぁいい。さ、酒の件はもういい。それより用はなんだ?」

「そこに座る女性知り合いですか?」

フィオナが俺の方を向いてアスレの方に向き直し首を傾げた。

「誰だ?」

「フィオナさんにペリシアにガロン、ロキまで知っている方です。話を聞いてくれませんか?」

「ああ。話せばいいのか?」

フィオナは俺と向かい合わせて座った。

「フィオナ、俺だ。グリムス・リュウベンバーグだ」

「グリムス!!」

驚きのあまり立ち上がるフィオナ。

「ハッハッハッ、今度は女に転生したのか!」
大爆笑のフィオナの隣にアスレも座った。

「やはりお知り合いですか」

「ああ。話せば長くなる」

遅れてやってきたペリシアは短いスカートに皮の鎧と兜でかなりの軽装だ。
テントに入ってきたペリシアに、フィオナは嬉しそうに聞いた。

「ペリシア、この娘が誰だか分かるか?」

「誰ですか?お兄ちゃんの知り合い?」

「違う」

ニヤニヤするフィオナに不気味さを感じるペリシア。

「答えは、グリムスだ」

「グリムスさんなの!?」

「今度は女に転生したらしい。転生というより昔、アスレに憑依したのがグリムスだ」

「どんな姿でも、もう一度会いたいと願っていました。お兄ちゃん、このお方がお兄ちゃんに憑依して私達を助けてくれた張本人よ」

アスレは俺の前で跪いた。

「御恩は忘れてません。貴方が私の体に憑依し、私自身を助けてくれなけば、私や妹は今頃この世界にはいなかった!だから……」

涙を流すアスレ。それにペリシアも泣き出した。フィオナは泣き顔を見られないよう俺に背を向けた。
初めて人に憑依して良かったと思えた瞬間だった。

「よぉー!」
威勢よく入ってきたのは小太りで尖った髪型の男。すぐにガロンだと気付いた。少し落ち着いていた時期もあったが、またいつものお調子者に戻ったらしい。

「何泣いてんの?」

「こちらが私達が子どもの時に助けてくれたグリムスさんです」

「え?あのグリムス?」

ガロンも俺に気付いて
「ありがとう」と言いながら抱き付いて離れた。

「ガロン。お前、胸触っただろ」
俺はガロンの手を捻った。

「え?」

「「お前は出て行け!!」」

ガロンを追い出し、アスレに憑依していた昔話に花を咲かせた。
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