王城のマリナイア

若島まつ

文字の大きさ
5 / 95

五、森の屋敷 - la dimora nella foresta -

 アルテミシアは浴槽に浸かりながら今日その身に起きたことを考えていた。
(大変なことになった)
 六年間ともに旅をしてきた仲間と別れ、一介の船乗りから一国の外交官になろうとしているのだ。しかも下宿先の家主にはまったく信用されていない。半ば衝動的に船を降りたようなものだから、時間をおいて冷静になればなるほど先のことが不安になってくる。しかし、長旅の疲れとおよそ半年ぶりの温浴がアルテミシアから思考を奪っていった。馬に乗った経験もないのに三時間以上も馬上にいたせいで、尻は痛いし関節もなんだか変な感じがする。
 船上では海へ入るかせいぜい体を拭うぐらいしかできないし、入浴が許されるのは寄港の際、しかも時間に余裕のある時に限られていた。一年に数回あるかどうかというところである。バルバリーゴ家には浴室はあったが浴槽は無かったから、快適で清潔な場所ではあったが入浴とは言えない。船の暮らしは田舎の小貴族の生活よりも何倍も面白かったし、陽気な仲間たちも大好きだった。しかし、ただひとつの難点がこれだ。ルメオの実家にはあまりいい思い出はないが、そこに設えられていた昔ながらの浴室が子供のころから大好きだったのだ。
 ぶくぶくと鼻から泡を出しながら頭のてっぺんまで湯に沈むと、父親の屋敷の浴室にいるような錯覚を覚えた。白い大理石の壁、重厚な陶器の浴槽に、ハーブの香りの湯――しばらく絶妙な湯の温度を頭まで堪能した後、湯の中からざばっと起き上がった。
 目の前には、あたたかみのある薄い色の木の壁に、大きな木の浴槽。浴室に蒸気が立ち込めると、心地よい杉材の香りが室内に充満し、開け放たれた小窓からは森の香りが漂ってくる。
「んんー」
 両腕をぐーっと上へ引っ張り、身体を伸ばした。どういうわけか、記憶にある生家や幼少期を過ごした屋敷の浴室よりもずいぶんと安心感がある。いまのところ屋敷の主人は鼻持ちならないが、正直、浴室は最高だ。
 浴室だけではない。森の奥の神殿のような佇まいを見せるバルカ将軍邸は、一見重厚な石造りだが、扉を開けて中へ入ると、内部の壁や廊下はほとんどが暖かい色味の木でできている。大きく開けた天井の高いエントランスには森の風が良く通り、そこから左右に別れた奥の廊下を進むと装飾の少ない杉の引き戸や軽やかな簾で部屋がいくつも仕切られて、雅やかな空間になっていた。こんな屋敷は他のどの国でも見たことがない。イノイル独特の様式なのだろう。素晴らしい建造物だ。
 この屋敷に住む間の居室としてアルテミシアが案内された客間は、屋敷の南側の廊下に位置する大きな四角い窓と丸い天窓のある部屋で、低いベッドと小さなワードローブが設えられている他は殆ど何も置かれていなかった。普段は使われていないからだろうが、簡素で余計なものがないのもアルテミシアの好みに合った。
(認めたくないけど、バルカ将軍とは趣味が合う…)
 女王に仕えると決めた以上、信用されていようがいまいがあの無表情な大男と上手くやっていくほうが賢明だ。「上手くやる」の定義にもよるが。二人仲良く肩を組んで陽気に歌うようなことを「上手くやる」と言うなら、多分不可能だ。最低限の礼儀をわきまえた関係ならば、まあ可能だろう。問題はどうやって不信感を拭い去らせるかだが、あの男の態度を考えると、なかなか難しそうだ。
(その前に、馬の乗り方を覚えなきゃ)
 明日からのことは、明日考えることにした。とりあえず、今はこの怠惰な贅沢に身をゆだねたい。
「気持ちいい」――
 
「…、…ンド」
 どこからか聞こえてくる声と、ドンドンと何かを叩く音で、アルテミシアは意識を取り戻した。
「リンド!」
「わっ」
 地響きが起きたかと思うほどの大音声だったから、アルテミシアは驚いて木製の浴槽の中で足を滑らせ、頭のてっぺんまで湯に沈んでしまった。そしてこの時初めて、自分が入浴の最中に眠ってしまっていたことに気づいた。
 今度は戸の前にいたサゲンが驚いた。バシャッと大きなものが沈んだ音がしたから、慌てて浴室の杉戸を引き、中へ入った。
「大丈夫か」
「ぷはっ!だいじょう…」
 アルテミシアは酸素を求めて湯から立ち上がり、返事をしようとしたところで状況に気づいた。
 言葉を失い、呆けた顔のまま一人だけ時が止まったように固まってしまったアルテミシアを見て、サゲンは口元をひくつかせた。
「無事ならいい。失礼した」
 笑いをかみ殺しきれず、フッと笑みをこぼして浴室を出て杉戸を閉めた。
「着替えを置いておくから、使うといい。先ほど陛下の遣いから届いた」
 アルテミシアはあまりのことに声を発することも忘れてしまった。
 
 夕食の席で、アルテミシアは終始むっつりしていた。山菜がふんだんに使われた森の料理はどうやら気に入ったようで黙々と食べ進めていたが、肝心の感想は何一つない。
「おい、うちの料理番が客人のために腕を振るったんだ。もう少し旨そうに食え」
「おいしいけど、そういう気分じゃない」
 事実、おいしい。女王の使者から届けられた綿の簡素な室内着も、ほどよく厚みがあり生地はパリッとしていて、着心地はとても良い。だが、そのことに言及するのも億劫な気分だった。
「言っておくが、俺に落ち度はないぞ」
 サゲンが見兼ねて言った。
「わかってる」
 アルテミシアも理解はしているが、本人にとっては、問題はそこではない。
(裸を見られた…)
 六年もの間、男だらけの船に乗っていても、そんなことは起きなかった。別段ほかの船乗りたちを警戒していたわけではなかったが、自分がたった一人の女だということは認識していた。だから、船の雰囲気を壊さないよう、一種の礼儀として振る舞いには注意していた。例えば、暑くてもなるべく肌を晒さないとか、女っぽい服装をしないとか、そういったことだ。とは言え、船の仲間に言い寄られたことなど一切なかったから、変な気を持たれないようにというよりは、女だからと軽んじられないように、という理由の方が大きい。
「忘れて」
 と、アルテミシアが絞り出すように言った。羞恥に耐えているというより、大きな失敗を悔やんでいるように見えたから、サゲンはますますおかしくなった。こういう時の反応は、普通なら前者だろう。
「もう忘れた」
 笑いをかみ殺してそう言ったのはサゲンなりの気遣いで、事実は違う。
 顔と肘より下の腕は小麦色をしているが、豊かとまでは言えないまでも美しい形をした胸と二の腕は白い肌をしていて、その皮膚の下に付いたしなやかな筋肉は船上での働きぶりを物語っていた。白いと言っても、生白いとか、青白いとかいう白さではない。血色が良く、陽光によく映えそうな白さだ。どことなく森を軽やかに走り回る雌鹿を思い出させた。
(いい身体だった)
 今まで見たどの女性の裸とも違っていた。好色な目で見ているわけではなく、――全くそういう意図がないとも言えないが――軍人のサゲンから見て、健全で好感が持てるということだ。が、口に出せば十中八九気を悪くするだろうから言わないことにした。
「リンド、明日登城だ。陛下の命で、俺が君を馬に乗せてくるよう言われている」
(はいはい、すみませんね)
 アルテミシアが心の中で舌を出したのは、サゲンの言葉の最後の方に迷惑そうな響きが混ざっていたからだ。
「軍の訓練があるから、早朝出なければならない。よく休んでおけ。謁見までは時間があるから、他の者に城を案内させる」
 これは部下に対する言い方だ。アルテミシアは鼻に皺が寄りそうになるのを我慢した。
「何時?」
「四時だ」
「早いね」
「これでも千人の隊を持っているんでな」
「…思ったより偉い人なんだね」
 アルテミシアは腕組みをして暫く考えた。
「城の案内はいらない。謁見まで訓練を見学したいから」
「いいだろう」
 サゲンはわずかに唇の端を上げた。

 翌朝、アルテミシアは早朝三時に起きて支度を始めた。陸で眠るのは久しぶりだったから、客間のベッドに入ってからも波に揺られているような錯覚に陥ったが、客間のベッドは適度に硬くて寝心地が良かったから、寝覚めは良い。昨夜女王の使者から届いたという数着の衣服のうち、いちばん動きやすそうなものを選んで着た。夏の空のような青色に染められた絹のドレスだ。スクエアネックの前開きになるもので、繊細な細工の金ボタンが二列に取り付けられ、右の裾から腰のあたりまでスリットが入っている。その下に黒いズボンを履き、裾をブーツにしまい込んだ。
 バルバリーゴの船に乗って以来、船乗りの男たちと同じ服装をしていたから、ドレスを着るのは六年ぶりだ。久しぶりのドレスに足を取られそうだと思っていたが、やはりこの国のドレスは機能的でなかなか動きやすい。胸の下から緩やかにくるぶしのあたりまでスカートが広がっていて、やろうと思えばこのまま全速力で走れそうだ。ドレスと一緒に華麗な模様の付いた絹製の帯が用意されていたが、生国のルメオ共和国ではドレスに帯を巻く習慣がないので、どう使うかよく分からない。結局、適当に腰に巻き付けて後ろで蝶結びをした。帯の先が少々長いと感じたが、元来あまり細かいことは気にならない性格だ。

 厩へ向かう途中、サゲンと鉢合わせた。寝間着の簡素なシャツと濃紺のゆったりしたズボンを身に着けていて、切れ長の一重まぶたがうっすら二重になっている。どうやら起き抜けらしい。
「早いな」
 サゲンはあくびをしながら言った。昨日の厳格で隙の無い印象には似つかわしくない姿だ。アルテミシアはおかしくなった。この男を出し抜くことがあれば、起き抜けが一番良さそうだ。
「船乗りは早起きに慣れてるからね。あなたは朝が苦手みたいだね」
「ああ、あまり得意じゃないな。君はよく眠れたか」
「うん。寝室も気に入った」
 お世辞ではなく、本当に気に入った。昨日案内された部屋は、間に合わせの部屋とは思えないほど手入れが行き届いていた。心地よい木の匂いが漂う広すぎない程度の部屋の奥には大きな窓があり、その脇に低めの寝台が設えられていた。必要最低限のものだけがある、というのも、アルテミシアの好みに合う。
「じゃ、先に厩へ行ってるから」
 アルテミシアがさっさと通り過ぎようとすると、サゲンが厳しい声で呼び止めた。
「待て。結び方が違う」
 おもむろに近づいてきたかと思うと、サゲンはアルテミシアが先ほど適当に巻き付けたベルトを解き、胸の下に巻き直し始めた。体温を感じることができるくらい近い。アルテミシアは面食らったが、目の前の男が当然のようにそれをしているので黙って挙動を見守った。時折サゲンの手が腰をかすめると、ひどくむずがゆくてくすぐったい気がしたが、それも我慢した。
 サゲンは手際よくベルトを結び、後ろへ手をまわしてもう一巻きすると、前の中央より左側でアルテミシアの見たことのない結び方をした。
「陛下はああいう方だが、登城するからには…」
 と、新参の通詞に教えてやろうとしたところで、サゲンは目の前の人物がひどく複雑そうな顔をしていることに気づいた。他意はなかったが、自然とバツが悪くなる。
「不躾だったか」
「あ、いや。大丈夫…」
 アルテミシアも、この事態にうまく対応できなかった。男ばかりの船に六年も乗っていたというのに、体に触れられたことがほとんどなかったから、どう反応するのが正しいのか分からない。
「…ありがとう。それ、覚えなきゃ」
 アルテミシアは不器用に片頬だけで笑い、その場を後にした。
 厩では、数人の若い兵士が馬の準備をしていた。何人かはまだ何も知らされていないらしく、上官の屋敷から現れた婦人を見て驚いている。そのうちの淡い茶色の髪をした兵士が前に出てきて、アルテミシアに挨拶をした。
「昨日の夕飯は、お口に会いましたか」
「じゃあ、あなたが料理番?」
「ええ、昨日のね。当番制なんです」
「すごくおいしかった。突然来たのに用意してくれてありがとう」
 アルテミシアが礼儀正しく言うと、兵士はにっこり笑った。人好きのする笑顔だ。
「僕はリコ・オレステ。今日の夕飯は彼が担当で、名前はイグリ・ソノ。僕の方が料理の腕は上」
 紹介された金髪の兵士がリコを肘で小突き、アルテミシアに向かってぺこりと頭を下げて挨拶をした。みな堂々たる体躯の青年たちだが、彼らが料理にも腕を振るっているとは驚きだ。
「アルテミシア・リンド。陛下の通詞として雇われたんだ。どうぞ気軽にミーシャと呼んで」
 そう言って、他の兵士たちとも握手を交わした。この国の人たちは下の名前を二つ公に使うのが一般的らしく、覚えるのが大変だ。
「陛下の通詞がなぜ将軍の屋敷に?」
 イグリが訝しんで尋ねた。
「さあ…。城は嫌だと言ったらここに連れてこられて」
 この一言で兵士たちはアルテミシアに好感を持ったようだった。弾けるように笑い出し、「さすが陛下の選ぶお人は一味違う」とか、「なるほどここなら気ままだろうな」などと言い合って腹を抱えた。
「楽しそうだな」
 屋敷からサゲンが現れると、兵士たちは一斉に整列し、敬礼した。
「名前は覚えられたか」
「えーと、リコ、イグリ、ブラン、ロエル、レイ…ごめん、最初の名前しか」
「十分だ。兵舎はすぐ近くだから、忘れたらまた教えてもらえばいい」
 サゲンはそう言って、部下が引いてきた馬に跨った。昨日と同じ黒のマントが、金糸で刺繍された王国の紋章をきらきらと際立たせた。
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

『床下に札束を隠す金髪悪女は、毎朝赤いマットの上で黒の下着姿で股を開く』〜ストレッチが、私の金脈〜

まさき
恋愛
毎朝六時。 黒の下着姿で、赤いヨガマットの上に脚を開く。 それが橘麗奈、二十八歳の朝の儀式。 ストレッチが終わったら、絨毯をめくる。 床下収納を開けて、封筒の束を確認する。 まだある。今日も、負けていない。 儚く見える目と、計算された貧しさで男の「守りたい」を引き出し、感情を売らずに金だけを回収してきた。 愛は演技。体は商売道具。金は成果。 ブリーチで傷んだ金髪も、柔らかく整えた体も、全部武器だ。 完璧だったはずの計算が、同じマンションに住む地味な男——青木奏の登場で、狂い始める。 奢らない。 触れない。 欲しがらない。 それでも、去らない。 武器が全部外れる相手に、麗奈は初めて「演じない自分」を見られてしまう。 赤いマットの上で、もう脚を開けなくなる朝が来るまでの話。

【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて

千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。 そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。 夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。 それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。 ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。 ハッピーエンドになるのでご安心ください。

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。