王城のマリナイア

若島まつ

文字の大きさ
45 / 95

四十五、ざわめき - Il brivido -

 イノイルの船団がティグラ港を出港してから、十日余りが経つ。
 四本から五本の帆柱を持つ巨大なガレオン船が五隻、それよりも小型で三本の帆柱に三角帆を張ったカラヴェラ船が二十隻という編成である。これらはイノイルの職人や技術者たちが改良を重ねて造った最新型のカラヴェラ船で、従来のものよりも船体のバランスがよく、あらゆる風向きに対応が可能で、操舵性が格段に良い。ガレオン船よりも積載できる武器や砲弾が少ないという不利はあるが、司令官であるサゲンは何よりも機動性を重視した。
 ガレオン船は五隻のうちの四隻が民間の商船で、そのうちイノイル軍のものは一隻だけだ。かと言って、この小さいながらも世界有数の海洋国家であるイノイル王国が一隻のガレオン船しか持たないなどということはなく、周りの目を欺くためだ。当然ながら軍船は軍の装備を多く積んでいるために、密かな航行には不向きなのだ。王家の紋章を隠しても、あちらこちらに空いた矢狭間や砲台や衝角などの重装備はある程度近付けば相手に気付かれてしまう。更に、これにナヴァレの船が何隻か加わるから、更に目立つことになる。そのため、本物の貿易船が軍船を囲うように航行している。
 軍船にはサゲンの副官であるゴランが乗り、戦術班の他、三十門の砲台を扱う火砲隊、医療班、応援部隊等を監督している。戦術班には概ね参謀たちが所属しているが、普段は軍と関係のない地学者と天文学者もそこに参加している。この船団の最高責任者であるサゲンが指揮を執るのは、先頭のカラヴェラ船からだ。
 
 深夜、軍装のアルテミシアは舳先のへりに立って眼下の黒くうねる波を眺めていた。
 エラにスカートの丈を少し短くしてもらったのは正解だった。膝より短い方が、縁に登るのにもマストを登るのにもそれほど邪魔にならない。
 船の縁から足の裏を通して波打つ海を感じ、微かに冬の匂いを含み始めた冷たい風を胸に吸い込んだ。頭がこれまでにないほど冴えている。しかしそれとは裏腹に、得体の知れないざわめきが身体中を覆っている。先程から耳の奥で感じる血液が身体中を巡るような音が錯覚なのかもよく分からない。こういう感覚は、味わったことがない。
 夕刻まで荒れていた海は既に穏やかさを取り戻し、仄かな月明かり孕んだ分厚い雲の切れ間から星が顔を覗かせている。空気にはまだ雨の湿気が残っているが、風向きや強さは悪くない。この分なら明日の昼には南エマンシュナに到着できるだろう。そして、その足でヒディンゲル邸に入り、ラウル・ヒディンゲルを捕縛することになる。
(やっとだ)
 やっと自分の身代わりとなって無残にも命を奪われた従妹の仇を取ることができる。
 アルテミシアは知らないうちに手のひらを固く握り締めていた。
「眠れないか」
 不意に背後から聞こえてきた聞き慣れた声に、アルテミシアは振り返った。サゲンが外套の裾をハタハタと海風に靡かせ、真鍮とガラスのオイルランプを手にこちらへ近付いてくる。
「ちょっとね」
 アルテミシアが舳先の尖った部分でくるりと器用に身体の向きを変えると、サゲンはランプを船の手摺りに掛け、手を差し出した。
「そろそろ降りてこい。冷えるぞ」
 手袋に包まれていないサゲンの手を見た途端、その体温が急激に恋しくなった。アルテミシアは素直にその温かい手を取り、縁から降りてそのままサゲンの胸に飛び込んだ。
「どうした」
 サゲンはアルテミシアの背をするすると撫で、柔らかい髪に頬を寄せた。肩が小さく震えている。
「うまく言えないんだけど、複雑なの。恐怖とか怒りとかではなくて、なんだか…」
「血が滾る?」
「そうなのかな。よく分からないけど、身体中がざわざわする」
「武者震いか。いい兆候だ」
 サゲンが低くくすぐるような声色で言った。
「…やっとあいつを巣穴から引きずり出して罰してやれる。他の同類たちも。それから、売られた子たちも取り戻す」
 サゲンはアルテミシアの強張った筋肉をほぐすように上腕のあたりを上下にさすってやった。アルテミシアの肩から徐々に力が抜けていく。
「みんな思いは同じだ」
「あなたも、任務の前はいつもこんな気持ちなの?」
「ああ、そうだな」
「本当?いつも通りに見える」
「経験を積んだんだ。俺も若い頃は惨めなほど震えていたさ」
 アルテミシアはそろそろと顔を上げ、サゲンの顔を見上げた。今よりは落ち着きのない、若者のサゲン・バルカを想像してみる。
「会ってみたかったな。若造のバルカ将軍にも」
 サゲンが軽快な笑い声を上げた。
「会ってどうする」
「たくさん話して、じっくり観察して、肉体と精神が鎧みたいになる前の未熟で無防備なサゲンを知りたい」
 フとサゲンの顔から笑みが消えた。
 アルテミシアが疑問を口にするよりも、サゲンが渋面を作って深い溜め息をつく方が早かった。
「まったく、わかっていないな」
「なに?」
 アルテミシアは首を傾げた。雲間から差した月明かりがサゲンの顔を照らし、高い鼻梁の影を頬に落とした。暗い色の瞳が海面に反射した月光を孕んで輝き、アルテミシアの瞳を絡め取る。
 ――海神エノシガイオス
 と、アルテミシアは思った。触れたら肌を焼いてしまいそうな危うい美しさを前に、たちまち身体が燃えるような熱を持ち、この硬い胸から身体を離れなくさせる。
「そろそろ理解してもいい頃だろう。俺が君の前でどれほど無防備になるか」
 サゲンは誘惑するようにゆったりと微笑みながら「それに」と付け加え、両手でアルテミシアのを挟み込んだ。
「君は俺を相手にただ話して観察するだけで満足できるのか?」
 アルテミシアはきゅうっと心臓を掴まれた。
 サゲンの掠れた低い声がアルテミシアの欲望を暴こうとするように耳をくすぐり、弧を描いた形の良い唇が降りてくる。互いの唇が触れる直前に、アルテミシアは辛うじて自分がどこにいるのかを思い出した。
「み、見張り台から見えちゃうよ」
「では動くな」
 サゲンはアルテミシアの身体を覆い隠すように上体を曲げ、躊躇するアルテミシアの唇をいとも簡単に自分の口で覆ってしまった。
(ああ、だめ…)
 このキスに応えたら止められなくなりそうな気がする。身体がますますざわざわと騒いで、脆くなった理性が今にも崩壊しそうだった。
 引き結んだアルテミシアの唇をサゲンが啄ばみ、舌の先で唇の輪郭をなぞるようにそっと触れた。
「んん…」
「口を開けろ」
 だめ、と言おうとアルテミシアが口を僅かに開いた隙に、サゲンの舌が歯の間を割って入って来た。
 サゲンはアルテミシアの歯列をなぞり、舌を味わいながら、指先でうなじを羽が触れるようにそっと撫でた。
 身体中を走るざわめきが温度を持ち、新たな波を作ってアルテミシアの身体ばかりか意識までをも侵し始める。アルテミシアは自分でも気付かないうちにサゲンの腕にしがみつき、サゲンの口の奥へと自ら舌を挿し入れていた。
 思った通りだ。思った通り、どこにいたってこの甘い誘惑からは逃れられない。アルテミシアはサゲンの外套の中に手を忍び込ませ、分厚い綿織物の生地越しに精悍な胸板を感じた。そうしてすぐに、この服の中の熱い肌に直に触れたいという欲求と戦うことになった。
 サゲンはアルテミシアの欲望に気付いている。もうかつてのように、任務中だからどうだとか兵たちの士気がどうだとか言うことばかりを気にするのはやめた。アルテミシアを愛するようになってから、厳格で冷徹なばかりの自分でいることにそれほど価値を感じなくなった。
 彼女の前でだけは、ただの男でいい。――少なくとも、二人でいる時は。
「その昂りを――」
 サゲンは唇を浮かせ、アルテミシアの柔らかい唇を親指でふにふにと愛撫しながら甘い声で囁いた。
「鎮める方法を知りたくないか」
 アルテミシアの背がぞくりと震えた。どうしてこの誘惑を跳ねのけられるだろう。
「教えて…」
 言葉にした瞬間に身体が浮いた。
 サゲンはアルテミシアを抱きかかえたまますぐ後ろの階段から真下のデッキへ降りて船室の扉を蹴り開け、真っ暗な船長室の中を迷いなく進んで中央に置かれた机の端にアルテミシアを座らせるように下ろし、両脚の間に自分の身体を挟み込むと、そのまま唇を塞いでドレスの胸元のボタンを外し始めた。
 潮を含んだ海の夜気が暴かれたアルテミシアの肌を舐めるように包んでいく。サゲンの唇が首筋に下り、開かれた胸元から入り込んできたサゲンの指に先端を撫でられて、アルテミシアは身体を震わせた。
 アルテミシアもそろそろと手を伸ばしてサゲンの外套を床に落とし、その奥の上衣のボタンを外し始めた。
 時折胸を這うサゲンの手が先端に触れるたびに腰を揺らせて喉の奥で呻き、ボタンを外すだけの作業もままならずに上衣を掴んでくるアルテミシアがたまらなく可愛い。とても理性など保てない。腰まで開かれたドレスは、スカートの裾を引けば簡単に脱がせることができる。それだけの作業が、サゲンにはひどく焦れったく感じられた。やや乱暴にアルテミシアの上体を露わにし、首筋から更に下へと唇で触れていった。
「あ!」
 乳房に吸い付かれたアルテミシアの口から悲鳴が漏れた。
「声を上げるな。他の連中に聞かせたくない」
「だって…――!」
 と、抗議は途中で呑み込まざるを得なくなった。いつの間にボタンを外したのか、サゲンがズボンをずり下ろした隙間から下着の中まで指を侵入させ、秘所に触れてきたのだ。
「いけない子だな。任務中にこんなに濡らして…」
 サゲンは揶揄するように言ったが、その声色の中に惨めなほどの劣情が混ざっていることは隠しようがなかった。
 羞恥からか快感からか、アルテミシアが固く閉じた唇の奥で喘ぐのが聞こえる。暗くて表情まではっきりと見えないのが残念だが、闇の中にアルテミシアの匂いと熱い息遣いが満ち、サゲンを中へ受け入れるのを待っているのがわかる。早くこの中に入りたい。
 アルテミシアは暗闇の中でサゲンが重い上衣を床に脱ぎ捨てる音を聞いた。脚にぴったりと張り付いていたズボンの布地が肌から剥がされて足元へ落ち、腿の内側を少しだけ硬いサゲンの髪がザラリと掠めた次の瞬間、身体の中心に強烈な刺激を感じて、アルテミシアは短い悲鳴をあげた。
 サゲンの舌が下から上へ這い、上部の突起をつついては吸った。
「あっ!あ、だめ…」
「声を出すな」
 サゲンの再三の要求に、アルテミシアは抗議したかった。とても無理だ。しかし、それさえもままならず、今にも叫び声をあげてしまいそうな強い快感を、口に手の甲を押し当てて必死に堪えた。
「んっ、ン…」
 頭上でアルテミシアのくぐもった声が聞こえる。サゲンは彼女の中心を舌で弄びながら、自分の中心にも熱が集まり硬度を増すのを痛いほどに感じた。指を挿れて中を慣らすのはやめた。そんな必要はないのだ。
 アルテミシアが胸を上下させて呼吸を荒くしながら腰を反らせ、ふくらはぎの筋肉が絶頂へ向けて緊張を始めたが、サゲンはアルテミシアの意識が真っ白になる前に唇をそこから離し、ようやく自らの口を解放した彼女の甘い息遣いで耳を潤しながらベルトを外し、両脚を大きく開かせて一息に奥まで押し入った。
 上げかけた悲鳴はすぐに重なってきたサゲンの口に呑み込まれ、奥まで突き立てられたサゲンの欲望がアルテミシアの意識を再び白濁とさせて絶頂へと導き始めた。自分の力では体勢を保てずにサゲンの背にしがみつくと、サゲンがアルテミシアの腰と臀部を強く掴んで支え、その行為がサゲンを更にアルテミシアの奥へと入り込ませた。
「ああ」
 と呻いたのはサゲンの方だった。
 アルテミシアが内部を激しく収縮させ、サゲンに強烈な快楽を与えた。
 互いに声を殺す中、サゲンが強く腰を打ち付けるたび、二人の繋がった場所がぶつかり合い粘度を増した音が暗い船室に響く。
 アルテミシアは恥ずかしくて耳を塞ぎたかったが、快楽に染まった身体は自分の耳を塞ぐよりも目の前の男の身体を感じる方を選んだ。
 サゲンがアルテミシアの臀部を掴んで一際深く奥へ穿ちつけた時、絶頂に押し上げられたアルテミシアが喉の奥で歓喜の悲鳴をあげ、サゲンのシャツの上からでも肌に爪が食い込むほどの強さで背を掴んで身体を弓なりに反らせた。
 アルテミシアはサゲンの背にしがみついたまま肩に頭を預け、肩を上下させて荒く呼吸をした。身体中を走り回っていた不可解なざわめきは落ち着いたが、代わりに今度はサゲンへの熱が全身を弾けるように駆けている。
 サゲンは汗の浮いたアルテミシアの身体を固い机の上に倒し、両脚を肩に担ぎ上げて、滴るほどに潤いを増した場所を再び穿った。
「ああっ――!あ、サゲン…!」
「だめだ。加減できない」
「おねがい…」
 強い衝撃に机がガタガタと音を立て、アルテミシアの口から熱く苦しげな悲鳴が漏れた。とても抑えられない。また意識が真っ白になる。
「今日は、中に出しちゃ、だめ…っ」
 息も絶え絶えにアルテミシアが掠れ声で懇願すると、サゲンの欲望がぞくぞくと増して背中に震えが走った。皮肉なことに、ますますこの中で果てたくなった。彼女の懇願を聞き入れるため、サゲンはギリギリの状態で理性を保たなければならなかった。
「はっ…、あ」
(くそ)
 アルテミシアが自らも腰を浮かせてサゲンを奥へと導きながら二度目の絶頂を迎えた直後、サゲンは素早く中から出て行き、激しく上下する白い腹の上に温かいものを放った。
「ザワザワは落ち着いたか」
 サゲンは呼吸を整えながら、机に仰向けになったままのアルテミシアの額にキスをした。
「今は、違うザワザワがある…」
 アルテミシアがまだ息を大きくしながら掠れた声で素直に言うと、サゲンは優しげに息だけで笑った。
「俺ももう一度君を抱きたいところだが、残念ながらそろそろ見張りの交代要員が起きてくる時間だ」
「そうなの?助かった」
 と澄まして言ったアルテミシアの鼻を、サゲンが低く笑いながらキュッとつまんだ。
「灯りと拭くものを取ってくる。待っていろ」
 サゲンは舳先の手すりに掛けたまま置いてきたランプを取りに行くために船室を出て階上のデッキへ出ると、ちょうど見張り番の交代のために寝室から上がってきていた兵士と鉢合わせた。
 兵士は暗がりで鉢合わせた相手が司令官であることに気付くと、足をきっちり四十五度に揃え、右手を軽く握って左胸に押し付けて、イノイル海軍式の敬礼をした。
「バルカ将軍。お早いお目覚めですね」
「ああ。君も、ご苦労」
 と、サゲンは取り澄ましたが、相手は恐縮しながらも僅かに首をひねった。厳格なバルカ将軍は、いつもならばこんな風に労いの言葉を軽々しく口にしないのだ。その上、海の夜風が冷たく吹いているというのに、我らが将軍はやけに薄着だ。
「寒くありませんか」
 という兵士の疑問も当然のものだった。何しろ、サゲンが身に着けている物と言えば薄い綿のシャツと細身のズボンにブーツだけだったからだ。平素サゲンがこれほどの軽装で部下の前を出歩くことは無い。
「問題ない。早く持ち場に着け」
 サゲンはいつもの厳格な司令官らしく命じ、畏まって持ち場へ去って行く部下を尻目に、人知れず肩の力を抜いた。せめてベルトを締めてきたのはいい判断だった。
 舳先からランプを回収する時、海上を吹く風が弱くなっていることに気付いた。気温が上がり、海流が穏やかになった。――港が近い。
 いまだ真っ暗な海の向こうに意識を向けた途端、ざわざわと身体中の毛が逆立った。
 アルテミシアの言うように外見は変わらなくても、この船団の誰よりもこの捕り物に奮い立っているという自負はある。長年尻尾を掴めなかった海賊団に直接通じている男を捕らえ、アルテミシアの悪夢の元凶を断罪してやることができるのだ。
 サゲンは唇を引き結び、真下のデッキで裸のまま執務机に横たわっているアルテミシアのもとへ急いだ。
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

『床下に札束を隠す金髪悪女は、毎朝赤いマットの上で黒の下着姿で股を開く』〜ストレッチが、私の金脈〜

まさき
恋愛
毎朝六時。 黒の下着姿で、赤いヨガマットの上に脚を開く。 それが橘麗奈、二十八歳の朝の儀式。 ストレッチが終わったら、絨毯をめくる。 床下収納を開けて、封筒の束を確認する。 まだある。今日も、負けていない。 儚く見える目と、計算された貧しさで男の「守りたい」を引き出し、感情を売らずに金だけを回収してきた。 愛は演技。体は商売道具。金は成果。 ブリーチで傷んだ金髪も、柔らかく整えた体も、全部武器だ。 完璧だったはずの計算が、同じマンションに住む地味な男——青木奏の登場で、狂い始める。 奢らない。 触れない。 欲しがらない。 それでも、去らない。 武器が全部外れる相手に、麗奈は初めて「演じない自分」を見られてしまう。 赤いマットの上で、もう脚を開けなくなる朝が来るまでの話。

【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて

千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。 そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。 夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。 それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。 ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。 ハッピーエンドになるのでご安心ください。

イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる(イケメンエリートシリーズ第四弾)

便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC” 謎多き噂の飛び交う外資系一流企業 日本内外のイケメンエリートが 集まる男のみの会社 そのイケメンエリート軍団のキャップ的存在 唯一の既婚者、中山トオルの意外なお話 中山加恋(20歳) 二十歳でトオルの妻になる 何不自由ない新婚生活だが若さゆえ好奇心旺盛 中山トオル(32歳) 17歳の加恋に一目ぼれ 加恋の二十歳の誕生日に強引に結婚する 加恋を愛し過ぎるあまりたまに壊れる 会社では群を抜くほどの超エリートが、 愛してやまない加恋ちゃんに 振り回されたり落ち込まされたり… そんなイケメンエリートの ちょっと切なくて笑えるお話

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。