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第一話
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幾千もの刃が降り注ぐような日差しの下、彼女は夜の闇のように黒い蝙蝠傘をさして現れた。
「なんで蝙蝠傘なんだよ」
おれの呟きに、彼女は美しい、そう、大輪の花が開いたように美しい笑みを浮かべて応える。
「決まってるじゃない」
彼女の傘の中だけは、太陽の支配から免れた黄昏の空間であり、彼女が支配する世界である。
彼女はその世界に相応しい月の輝きのような笑みを見せ、言葉を続けた。
「日が照ってるからに決まってるじゃない。馬鹿ね」
❖
戦争は、補給路の確保によって勝敗が決まる。
そういうやつがいるが、まあ、そういうやつは戦争というものが判っていない。
じゃあ、USAがベトナムで戦争に負けたのは、補給路の確保に失敗したからなのかいうと、そうではないだろう。
戦争の勝ち負けというのは、戦う意思の有無によって決まる。
戦う意思を失った国が負ける、ただそれだけだ。
戦争のことはさておいといて、ビジネスにおいて補給路に相当するものは販路だといっていい。
市場という戦場へ商品という武器を送り込むための補給路が、販路である。
ゲイツやジョブスが成功したのは、ようするに販路の確保が天才的だったからと言っていい。
ゲイツなんざ、技術者としては三流以下である。
WINDOWSは高校生が夏休みの宿題で作ったレベルのOSだ。
いや、正直高校生ならもう少しましなものを作るんだろうけれど。
おれは自慢ではないが、少なくともゲイツよりは多少ましな技術者である。
本当に自慢にはならないが。
ただ、残念なことにおれの仕事はビジネスというレベルには遥か遠い。
高校生の夏休みのアルバイトレベルである。
いや、正直高校生ならもう少し稼いでるかもしれない。
おれのやっているのは、ジャンクな仕事だ。
おれが自分の技術を売り込むための販路を、ジャンクなレベルしか確保できなかったということだ。
そして、いまおれの前にはそのジャンクな販路を握っているおんながいた。
「いつもにもまして、呆けた顔してるじゃない。やる気あんの?」
「いや、すまない」
おれは肩を竦めた。
おんなは少しいらついた目でおれを見ている。
いつものように黒いビジネススーツを纏い、高いヒールの紅い靴を履いていた。
赤くルージュを塗られた唇が、少し嘲笑を孕ませて歪んでいる。
「夢見がわるかったんでね」
「どんな夢みたのよ」
「おれが昔、殺したおんなが蝙蝠傘さして出てきた」
おんなは苦笑する。
いいおんなだとは思う。
口説いてみたくなるくらいには。
ただ、辛らつな言葉に耐えれるだけの気力があればの話しだが。
「あんたにひと殺す甲斐性があったとはね。まさか、そのおんなを愛していたとか言わないよね」
「悪いかよ」
ちっ、とおんなは舌打ちしてみせる。
「反吐がでるほど陳腐だよ、あんた」
「洗面器、もってこようか?」
「あんたのあたま、ぶち抜いたほうがスッキリすると思うけど」
「なんで蝙蝠傘なんだよ」
おれの呟きに、彼女は美しい、そう、大輪の花が開いたように美しい笑みを浮かべて応える。
「決まってるじゃない」
彼女の傘の中だけは、太陽の支配から免れた黄昏の空間であり、彼女が支配する世界である。
彼女はその世界に相応しい月の輝きのような笑みを見せ、言葉を続けた。
「日が照ってるからに決まってるじゃない。馬鹿ね」
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戦争は、補給路の確保によって勝敗が決まる。
そういうやつがいるが、まあ、そういうやつは戦争というものが判っていない。
じゃあ、USAがベトナムで戦争に負けたのは、補給路の確保に失敗したからなのかいうと、そうではないだろう。
戦争の勝ち負けというのは、戦う意思の有無によって決まる。
戦う意思を失った国が負ける、ただそれだけだ。
戦争のことはさておいといて、ビジネスにおいて補給路に相当するものは販路だといっていい。
市場という戦場へ商品という武器を送り込むための補給路が、販路である。
ゲイツやジョブスが成功したのは、ようするに販路の確保が天才的だったからと言っていい。
ゲイツなんざ、技術者としては三流以下である。
WINDOWSは高校生が夏休みの宿題で作ったレベルのOSだ。
いや、正直高校生ならもう少しましなものを作るんだろうけれど。
おれは自慢ではないが、少なくともゲイツよりは多少ましな技術者である。
本当に自慢にはならないが。
ただ、残念なことにおれの仕事はビジネスというレベルには遥か遠い。
高校生の夏休みのアルバイトレベルである。
いや、正直高校生ならもう少し稼いでるかもしれない。
おれのやっているのは、ジャンクな仕事だ。
おれが自分の技術を売り込むための販路を、ジャンクなレベルしか確保できなかったということだ。
そして、いまおれの前にはそのジャンクな販路を握っているおんながいた。
「いつもにもまして、呆けた顔してるじゃない。やる気あんの?」
「いや、すまない」
おれは肩を竦めた。
おんなは少しいらついた目でおれを見ている。
いつものように黒いビジネススーツを纏い、高いヒールの紅い靴を履いていた。
赤くルージュを塗られた唇が、少し嘲笑を孕ませて歪んでいる。
「夢見がわるかったんでね」
「どんな夢みたのよ」
「おれが昔、殺したおんなが蝙蝠傘さして出てきた」
おんなは苦笑する。
いいおんなだとは思う。
口説いてみたくなるくらいには。
ただ、辛らつな言葉に耐えれるだけの気力があればの話しだが。
「あんたにひと殺す甲斐性があったとはね。まさか、そのおんなを愛していたとか言わないよね」
「悪いかよ」
ちっ、とおんなは舌打ちしてみせる。
「反吐がでるほど陳腐だよ、あんた」
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「あんたのあたま、ぶち抜いたほうがスッキリすると思うけど」
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