痴女(ちじょ)

Eisei 5

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痴女(ちじょ)

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 俺は、黒六白の黒豚だ。
 
 黒い体に、手足の先と鼻先、それにくるっと上に丸まった尻尾しっぽの先が、白い毛で覆われている。
 だから、黒六白くろろっぱくバークシャーBerkshireと呼ばれる、とても美味い豚だ。

 最近、『 THE 黒豚らーめん 』という旨いカップ麺が新発売になったようだ。だが、とも喰いになるから、俺は食わないが。
  
 
 俺の趣味はスロット。自称、スロッター黒豚だ。
 小さな盆地の外れにある、大きな養豚場近くの低貸しパチ屋が、いつもの俺のネグラだったのだが。
 
 地方の単線ローカル鉄道の、茶色い色をした鈍行列車の電車内。
 早朝の車内は、とりどりの制服を着た通学の学生たちで混み合っていた。

 ( タン、トン ゴトン … タン、トン …  )
 俺は列車の窓際にある緑色のシートに座り、がたごとと揺られていた。
 
 その日俺は、この小さな盆地の真中の県庁所在地に新しくできた、大きなパチンコチェーン店の新装開店にスロを打ちに行くところだった。開店時間は、午後一時。
 パチ屋までは、盆地の外れにある俺の住む養豚場から、この単線の田舎の鉄道で約一時間。まだ、十分に早い時間だった。向こうに着いたら、美味いコーヒーチェーンで一服付けて、ブラックコーヒーでも楽しむとするか。
  

 公立や私立の高校、そして中・小学校が集中するエリアを過ぎ、車内にわさわさとたむろしていた、電車通学の学生たちもみな降りて、急に車内はがらんとする。

 電車は、住宅地沿線を走る。様々な色合いの家々の屋根が、車窓を流れ通り過ぎていく。
 やがて、電車を待つ人もまばらな無人駅に、電車は止まる。

 ( プシューッ、ツ ) 扉が開く。
 車掌がホームに出て、車両の前後を指さし確認している。


 むちっとした体形の、渋めのピッチりとした服に身を包んだ、普通のどこかの奥さん風の女性が乗り込んでくる。
 その女性は車内をぐるっと見回すと、わざわざ、長いシートの真中に座る、俺のすぐ右横に腰かけてきた。
 周りの座席は随分と、まだ空いているというのに。俺の横に、ぴたりと。

 「うんっ? … 」

 年の頃妙齢な、むちむちとした身体の、浅黒いデュロック  Duroc pig  の熟女は、そのでかいケツを、ぐいぐいと横に座る俺に押し付けてくる。はち切れそうなそのからだをも、俺の脇腹に向けてぐいぐいと。
 ( ぐいぐい、ぐいぐいぐい、ぐいぐい ぐい … )

 (ぐいぐいぐい、ぐいぐい ぐい… )
 俺は無意識に、シートの上の腰を反対の方へとずらす。

 ( ぐいぐいぐい、ぐい… ) 
 俺はまた、腰を横へとずらす。


 「ん。… ⁉」
 ( ぐい … )



 「⁉ これか! …」
 
 「か⁈、この〇〇線に出るという 、噂のというのは?」俺は、心の中で、そう呟いた。
 そして、その ” 怪異 ” に遭遇してしまった恐怖に、少し顔を引きつらせる。
 
 ( ぐいぐい、ぐいぐいぐい、ぐいぐい ぐい )
 なおも女は、俺の腰に、横からでかいケツを押し付け続ける。

 ( ぐい ぐい、ぐい … )

 俺は、座るシートの左側へと、尻をカニ歩きにずらしながら逃げる。
 だが、隣に座る女のむちむちしたケツは、俺を追いかけてくる。
 ( ぐい … )

 俺は顔を上げ、横に座る、ケツを俺に押し付け続けている女の顔を見やる。
 女はうつむきながらも、恍惚とした表情を見せている。どこかほんのりと赤く、そして上気した顔色を、横顔のその浅黒い肌ににじませ恥ずかしそうに体を丸めながらも、まだ自分のむちっとした体を俺に押し付ける。( くいっ … )

 まばらに座るほかの乗客たちは、俺とその女の間での静かな無言の攻防に、誰も気が付いてはいないようだったが。

 「やはり、できる豚はもてるぜ!」(違うか …)
 
 
 「… … …」
 だが、俺は妙に冷静な頭の片隅で、どこか少し感動してもいた。
 「熟女の痴女かぁ … しかも、見事なでかいケツだゎ … 」

 心が汚れきっているならば、でかいケツフェチの俺としては、その時、その女に声を掛けていたかもしれない。
 「お嬢デュロックさん。これからパチ屋に、一緒にスロ打ちに行きませんか? …」 … と。


 だが、まだ今よりか少し心が澄んでいたその頃の俺は、その色黒の痴女の纏う ” オーラ ” に圧倒され、『やめてください!』の一言も、発せられないままでいたのだが。正直、迫りくる女のでかいケツから、自分の尻を逃がすのに精一杯で … 。


 そして、やがてその女は満足したと見え、俺に見切りを付けたのだろうか、電車が駅に停まると、俺の顔に冷たい一瞥を投げつけただけで無言で立ち上がり、開いたドアを出ていった。そのでかいケツを、ぶいぶいと左右に振りながら。

 俺は黙って、去っていく女の尻を無言で見つめ、ただ見送っていた。




 (おわり …)
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