俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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俺と付き合ってください! 3

「由羽人」

キュッと俺の手を握って引き寄せる。
さっきから、今まで見たことも無い甘い雰囲気を漂わせ続ける陽翔に、俺の心臓も無駄に騒ぎ続けていて慌てる。

「ちょ、ちょっと待って。陽翔!」
「……何?」

俺の慌てた様子に何かを感じたのか、甘い雰囲気に包まれていた空気がほんの少し霧散した。
陽翔の表情にも警戒の色が見て取れた。

「あ、フリはする。協力するけど。……えっと、でもほら、俺らは本当は友達のままなんだし、だからその……、付き合う事にしたってみんなに言って、いつもよりちょっと仲良さそうにするだけで――」
「練習しないと」

慌てて言い訳をする俺の言葉にかぶせて、強い口調で陽翔が口を挟んだ。

「て、え?」

「由羽人は正直者だから、あいつらに質問攻めにあったりしたらうっかり本心をポロッと漏らしてしまうかもしれないだろ? だからこそ恋人の雰囲気を練習して、あいつらに変な勘繰りをさせないようにしなきゃ。……もしもこれが嘘だってバレたら、多分今以上に酷いことになりそうだし」

「あ……」

そ、そうか。確かにそうだよな。
万が一この恋人のフリがだってバレちゃったら、怒ったあいつらが何しでかすか分からないよな。

……もしかして俺、とんでもないことを了承しちゃったんじゃあ……。
俺のせいでこれが嘘だとバレたら、ごめんなさいではすまないかも……。

「あの……」
「頼めるのは由羽人しかいないんだよ!」

「……え?」

俺の心を読んだように、戸惑う俺に陽翔が縋るような表情で訴えた。


「お願いだから、やっぱり止めただなんて言うなよ」
「陽翔……」

「お願い、由羽人」

弱弱しい声で縋りつくように陽翔が抱き着いてくる。丸めた背中を見ていると、まるでこいつが小さな子供になってしまったかのような錯覚に陥る。
もしかしたら今まで我慢して押さえていたことで、ストレスが半端ないことになっているのかもしれない。
俺は腹をくくろうと、ギュッとこぶしを握り締めた。

「分かった、陽翔。……止めるなんて言わない。ちゃんと協力するよ」
「ありがとう! 由羽人。俺……」

「だけど!」
「え?」

すぐに嬉しそうな表情になってパッと顔を上げた陽翔に釘を刺さなきゃと陽翔の言葉の続きを遮った。

「えっと、その。俺……、色々下手くそだから、その」
「大丈夫だよ。俺がちゃんとリードする」

「え、いや……。そうじゃなくて、……え~っと、俺はシャイ設定でお願いします!」
「――」

意気込んで俺がそう言うと、陽翔の顔が一瞬ポカンとする。
ポカンとして、そして可笑しそうに笑いだした。

「なんだ、なんだそんな事……。大丈夫だよ、由羽人が純情なのはみんなきっと知ってるよ」
「…………」

「大丈夫だよ、由羽人」

そう言って、陽翔が甘く俺に微笑みキュッと俺の手を握った。



にっこりと笑う陽翔のその甘い表情に、俺は本当に大丈夫なんだろうかと、また煩くなり始めた心臓に、別の心配が頭をよぎったのだった。
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