14 / 30
美人に釘付け。……ち、違います。
しおりを挟む
陽翔と、手を繋いで廊下を歩く。
繋がれた俺と陽翔の手を憎らしそうに見る大勢の通りすがりの人たち。
陽翔はストーカーから解放された気分からか上機嫌だけど、俺は普段感じたことのない突き刺さる敵意に満ちた視線にゲンナリしていた。
「あ……」
陽翔が零した声にその視線をたどると、俺らの少し先を颯爽と歩く、とても綺麗な上級生がいた。
陽翔の綺麗な顔とはまた違う感じで、その人は冷たい美人と言った感じの顔立ちをしている。
「知ってる人?」
「あれ? 由羽人知らないのか? ホラ、剣道部主将で最強美人って言われてる御影先輩だよ」
「……最強? あ、もしかして言い寄る相手を片っ端から叩きのめしているっていうアノ……?」
「そう、その人」
「ふうーん。初めて会ったかも。でも、そんなに強い人には見えないよね」
「ああ、だからみんなあの容姿に騙されて、自分なら落とせるって勘違いしてひどい目にあってんじゃねーの?」
「……なるほど。でも確かに……、びっくりするくらい綺麗だよなぁ」
目の保養になるって、こういう綺麗な人に対して言う言葉なのかもしれない。だって俺の目も、御影さんが歩いていく方向にこうして吸い寄せられている。
陽翔もそうだけど、綺麗過ぎる人にはいい事ばかりじゃなくて面倒くさいことがてんこ盛りなんだろうな。
「……由羽人の好みって、あんなのなわけ?」
「へ?」
首をねじってまで御影さんを見続けてしまった俺に、陽翔の不機嫌な声が飛んできた。
「釘付けだったじゃん」
「え、ち、違うよ! 初めて見たから! あんなに綺麗な人もホントにいるんだなって思ったから……!」
「ふうーん」
勘繰るような疑うような陽翔の視線。
本当の恋人同士でもないのにそんな風に見られたら、まるで恋人に浮気を疑われた人になってしまったような錯覚に陥る。
「……ク、クールな感じの美人よりは、陽翔みたいな正統系美少年の方が俺は好きだもん」
「…………」
あれ?
「陽翔?」
歩きながらしゃべってたのに、陽翔の気配が傍に無い。握られていた手もいつのまにか外れている。
びっくりして振り返ったら、陽翔がその場でしゃがみ込んでいた。
「どうしたの!? 大丈夫? 陽翔!」
腹でも痛いのかと駆け寄ると、大丈夫大丈夫と陽翔が手をひらひらと振った。
そしてパンパンと自分の顔を両手で叩いて、「ウシッ!」と気合を入れるような声を上げ、スッと立ち上がった。
そしてまた、俺の手を取って歩き始める。
ああ、うん。
やっぱ手は繋ぐんだね……。
演技が過剰過ぎるとは思いはしたけど、確かにこれなら俺らが意識していないところで付き合っていることを認識させられる効果はある。それは昼休みの教室でも実証済みだ。
乗り掛かった舟だもんな。
陽翔の役に立てるのなら、多少の恥ずかしさには目を瞑ろう。
そう思って、俺も陽翔の手をキュッと握り返し帰宅の途へついたのだった。
繋がれた俺と陽翔の手を憎らしそうに見る大勢の通りすがりの人たち。
陽翔はストーカーから解放された気分からか上機嫌だけど、俺は普段感じたことのない突き刺さる敵意に満ちた視線にゲンナリしていた。
「あ……」
陽翔が零した声にその視線をたどると、俺らの少し先を颯爽と歩く、とても綺麗な上級生がいた。
陽翔の綺麗な顔とはまた違う感じで、その人は冷たい美人と言った感じの顔立ちをしている。
「知ってる人?」
「あれ? 由羽人知らないのか? ホラ、剣道部主将で最強美人って言われてる御影先輩だよ」
「……最強? あ、もしかして言い寄る相手を片っ端から叩きのめしているっていうアノ……?」
「そう、その人」
「ふうーん。初めて会ったかも。でも、そんなに強い人には見えないよね」
「ああ、だからみんなあの容姿に騙されて、自分なら落とせるって勘違いしてひどい目にあってんじゃねーの?」
「……なるほど。でも確かに……、びっくりするくらい綺麗だよなぁ」
目の保養になるって、こういう綺麗な人に対して言う言葉なのかもしれない。だって俺の目も、御影さんが歩いていく方向にこうして吸い寄せられている。
陽翔もそうだけど、綺麗過ぎる人にはいい事ばかりじゃなくて面倒くさいことがてんこ盛りなんだろうな。
「……由羽人の好みって、あんなのなわけ?」
「へ?」
首をねじってまで御影さんを見続けてしまった俺に、陽翔の不機嫌な声が飛んできた。
「釘付けだったじゃん」
「え、ち、違うよ! 初めて見たから! あんなに綺麗な人もホントにいるんだなって思ったから……!」
「ふうーん」
勘繰るような疑うような陽翔の視線。
本当の恋人同士でもないのにそんな風に見られたら、まるで恋人に浮気を疑われた人になってしまったような錯覚に陥る。
「……ク、クールな感じの美人よりは、陽翔みたいな正統系美少年の方が俺は好きだもん」
「…………」
あれ?
「陽翔?」
歩きながらしゃべってたのに、陽翔の気配が傍に無い。握られていた手もいつのまにか外れている。
びっくりして振り返ったら、陽翔がその場でしゃがみ込んでいた。
「どうしたの!? 大丈夫? 陽翔!」
腹でも痛いのかと駆け寄ると、大丈夫大丈夫と陽翔が手をひらひらと振った。
そしてパンパンと自分の顔を両手で叩いて、「ウシッ!」と気合を入れるような声を上げ、スッと立ち上がった。
そしてまた、俺の手を取って歩き始める。
ああ、うん。
やっぱ手は繋ぐんだね……。
演技が過剰過ぎるとは思いはしたけど、確かにこれなら俺らが意識していないところで付き合っていることを認識させられる効果はある。それは昼休みの教室でも実証済みだ。
乗り掛かった舟だもんな。
陽翔の役に立てるのなら、多少の恥ずかしさには目を瞑ろう。
そう思って、俺も陽翔の手をキュッと握り返し帰宅の途へついたのだった。
392
あなたにおすすめの小説
僕はお別れしたつもりでした
まと
BL
遠距離恋愛中だった恋人との関係が自然消滅した。どこか心にぽっかりと穴が空いたまま毎日を過ごしていた藍(あい)。大晦日の夜、寂しがり屋の親友と二人で年越しを楽しむことになり、ハメを外して酔いつぶれてしまう。目が覚めたら「ここどこ」状態!!
親友と仲良すぎな主人公と、別れたはずの恋人とのお話。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
彼はオレを推しているらしい
まと
BL
クラスのイケメン男子が、なぜか平凡男子のオレに視線を向けてくる。
どうせ絶対に嫌われているのだと思っていたんだけど...?
きっかけは突然の雨。
ほのぼのした世界観が書きたくて。
4話で完結です(執筆済み)
需要がありそうでしたら続編も書いていこうかなと思っておいます(*^^*)
もし良ければコメントお待ちしております。
⚠️趣味で書いておりますので、誤字脱字のご報告や、世界観に対する批判コメントはご遠慮します。そういったコメントにはお返しできませんので宜しくお願いします。
【BL】無償の愛と愛を知らない僕。
ありま氷炎
BL
何かしないと、人は僕を愛してくれない。
それが嫌で、僕は家を飛び出した。
僕を拾ってくれた人は、何も言わず家に置いてくれた。
両親が迎えにきて、仕方なく家に帰った。
それから十数年後、僕は彼と再会した。
罰ゲームって楽しいね♪
あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」
おれ七海 直也(ななみ なおや)は
告白された。
クールでかっこいいと言われている
鈴木 海(すずき かい)に、告白、
さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。
なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの
告白の答えを待つ…。
おれは、わかっていた────これは
罰ゲームだ。
きっと罰ゲームで『男に告白しろ』
とでも言われたのだろう…。
いいよ、なら──楽しんでやろう!!
てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が
こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ!
ひょんなことで海とつき合ったおれ…。
だが、それが…とんでもないことになる。
────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪
この作品はpixivにも記載されています。
美澄の顔には抗えない。
米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け
高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。
※なろう、カクヨムでも掲載中です。
人並みに嫉妬くらいします
米奏よぞら
BL
流されやすい攻め×激重受け
高校時代に学校一のモテ男から告白されて付き合ったはいいものの、交際四年目に彼の束縛の強さに我慢の限界がきてしまった主人公のお話です。
どうせ全部、知ってるくせに。
楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】
親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。
飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。
※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる