俺の親友がモテ過ぎて困る

くるむ

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追い詰められる気持ち

昼休みが終わって席に戻った。
後ろからツンツン突かれて振り向くと、畑山が体を乗り出していた。

「陽翔と2人っきりの時ってどうしてんの?」
「……え?」

ニヤニヤ笑いながら揶揄うように聞く畑山に、背中から嫌な汗が流れる。

「どうって……」

こういう時、本物の恋人同士ってどう答えるんだろう?
俺らはじゃないから特別デートとかもしたことないし……。

「やっぱ、苺谷が相手だと陽翔の方が積極的なんだな。前に付き合ってた奴らには、猫っ可愛がりされてた感じだったけど。ああ……、そっか。今までと違って苺谷が本命だからか」


――ツキン


俺が本命だという言葉に、胸の中に苦しい棘が刺さったような気持になる。

俺は好きだけど、……好きだと気付かされてしまったけど陽翔は違う。

前に陽翔が付き合っていた奴らに対する気持ちと何も変わらなくて、陽翔は俺の事をなんとも思ってなんかいない。ただ、周りに群がってくる奴らが鬱陶しいから、俺の事を信頼して恋人のフリをしてくれと頼んだだけにすぎない。

なのに俺はそんな陽翔の気持ちを裏切って、俺までが陽翔のことをで見てしまっている。



「……苺谷?」

「え、あ? ……あ、なに?」

「何ボーッとしてんだよ。……たくよー、これだから絶賛恋愛中のヤローは嫌なんだよ。どーせ陽翔との事でも考えてたんだろ」
「あ……、ハハ。ごめん」

……恋愛中ってのとはだいぶ違うんだけどね。


「いい、いい。ノロケ聞くほど暇じゃねーから。もう前向けよ」

本当に嫌そうにシッシッとされて、苦笑する。


陽翔の演技は着実に功を奏し始めている。


だけどその演技の最大の被害者は俺だろう。
もしも、もしも俺がその重圧に負けそうになったら俺はどうしたらいいんだろう。


陽翔の気持ちを裏切りたくない俺は、途方に暮れてため息を吐いた。





授業が済んで片づけをしていると、陽翔が不機嫌そうな顔をしてやって来た。

「陽翔?」

無言でドカドカと近づいて来たかと思ったら俺の顎をひょいと持ち上げて、『ちょっと待て』と思う間もなく唇を重ね合わされる。

そして、顎を持ち上げられた拍子に薄く開いた俺の唇の間に、するりと何かが入り込んできた。


ちょっと待て、待て待て待てーーーーーっ!!!


熱く甘く俺の口腔内を蹂躙する陽翔の舌に、俺はびっくりして固まった。
固まって……、頭の中も真っ白で、俺はただただ陽翔の腕をギュッと握りしめ息をつめる。



教室中に響き渡る嬌声が、遠く俺の耳に届いていた。
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