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プロローグ
心配と下心
「助けてくれたんだよね。ありがとう」
優しくふわりと笑うその表情に、俺の心臓がトクンと跳ねた。
「え?」
「あ、ご、ごめっ……」
紫藤先生のビックリした声で我に返った。俺は知らないうちに紫藤先生の色香に引き寄せられて、その腕を取っていたのだ。
浜中と同じだと思われてもおかしく無いことを無意識にしていたことが恥ずかしくて、俺は慌てて飛び退いた。
顔も瞬時に熱くなっちまった。絶対真っ赤っかに違いない。
もう、マジ勘弁してほしい。俺のバカ!
後悔と羞恥で顔を上げられなくなってしまった俺の肩に、紫藤先生の手がポンと乗った。
「え?」と顔を上げると、さっきと全然変わらない優しい表情がそこにあった。
「君とは初めて会うよね? 僕は物理を教えている紫藤だ。君は?」
「あ、俺は今度2年に上がる南陽太です。あ、あのっ……」
「何だい?」
「その、下の名前、教えて下さい」
紫藤先生は一瞬キョトンとした後、すぐにふわりと笑って教えてくれた。
「紫藤澪だ」
「紫藤、澪……。綺麗な名前……」
「ありがとう」
クスリと笑いながら、お礼を言われて真っ赤になる。
ヤッベ! 声に出てた!
何か、もう。さっきからの俺、かなり恥ずかしい奴なんだけど……!
穴があったら入りたいって、きっとこういう時に使う言葉に違いない。いや、もちろんあっても穴には入らないだろうけど。
おずおずと紫藤先生の表情を窺い見てみるけれど、別に俺に対して嫌悪な表情は無いようで、相変わらず優しい顔で俺を見ている。
それにホッとしたと同時に、少しこの先生の事が心配にもなって来た。もしかしたら、先生が気が付かないだけで、他にも俺みたいに紫藤先生にドキドキしている輩は、結構いるんじゃないだろうか。
「あのさぁ・・・」
「うん?」
「もしかして先生さぁ、あんな風に迫られるのって、実は何回もあったりするの?」
俺のそんな質問に、紫藤先生は一瞬目を瞬かせた後、苦笑いをした。
「何回もという事は無いけど……、たまにね」
「ええっ!? 大丈夫なのかよ。先生、押し倒された事とかあるんじゃねーの?」
「まさか。そこまでは、されてないよ」
そう言ってにっこりと笑う紫藤先生。
マジ、ヤバいんじゃねーの? この先生。
いくらなんでも自分の事、自覚しなさすぎる。さっきだってあんなに困っていたくせに、喉元過ぎれば熱さを忘れるってタイプなんだろうか。
「先生!」
ズイッと一歩近寄って、大声で先生を呼んだ。
先生は一瞬びっくりした後、俺の顔を見て続きを促す。
「俺、先生のこと守ってやるから!」
「……え?」
キョトンとした顔。
その表情さえ無防備過ぎて、俺は本当にこの先生のことを放っておけないと思った。
下心……が無いとは言わない。
だけど、この先生を守ってやらなきゃいけないと思ったのは、俺の本心でもあった。
優しくふわりと笑うその表情に、俺の心臓がトクンと跳ねた。
「え?」
「あ、ご、ごめっ……」
紫藤先生のビックリした声で我に返った。俺は知らないうちに紫藤先生の色香に引き寄せられて、その腕を取っていたのだ。
浜中と同じだと思われてもおかしく無いことを無意識にしていたことが恥ずかしくて、俺は慌てて飛び退いた。
顔も瞬時に熱くなっちまった。絶対真っ赤っかに違いない。
もう、マジ勘弁してほしい。俺のバカ!
後悔と羞恥で顔を上げられなくなってしまった俺の肩に、紫藤先生の手がポンと乗った。
「え?」と顔を上げると、さっきと全然変わらない優しい表情がそこにあった。
「君とは初めて会うよね? 僕は物理を教えている紫藤だ。君は?」
「あ、俺は今度2年に上がる南陽太です。あ、あのっ……」
「何だい?」
「その、下の名前、教えて下さい」
紫藤先生は一瞬キョトンとした後、すぐにふわりと笑って教えてくれた。
「紫藤澪だ」
「紫藤、澪……。綺麗な名前……」
「ありがとう」
クスリと笑いながら、お礼を言われて真っ赤になる。
ヤッベ! 声に出てた!
何か、もう。さっきからの俺、かなり恥ずかしい奴なんだけど……!
穴があったら入りたいって、きっとこういう時に使う言葉に違いない。いや、もちろんあっても穴には入らないだろうけど。
おずおずと紫藤先生の表情を窺い見てみるけれど、別に俺に対して嫌悪な表情は無いようで、相変わらず優しい顔で俺を見ている。
それにホッとしたと同時に、少しこの先生の事が心配にもなって来た。もしかしたら、先生が気が付かないだけで、他にも俺みたいに紫藤先生にドキドキしている輩は、結構いるんじゃないだろうか。
「あのさぁ・・・」
「うん?」
「もしかして先生さぁ、あんな風に迫られるのって、実は何回もあったりするの?」
俺のそんな質問に、紫藤先生は一瞬目を瞬かせた後、苦笑いをした。
「何回もという事は無いけど……、たまにね」
「ええっ!? 大丈夫なのかよ。先生、押し倒された事とかあるんじゃねーの?」
「まさか。そこまでは、されてないよ」
そう言ってにっこりと笑う紫藤先生。
マジ、ヤバいんじゃねーの? この先生。
いくらなんでも自分の事、自覚しなさすぎる。さっきだってあんなに困っていたくせに、喉元過ぎれば熱さを忘れるってタイプなんだろうか。
「先生!」
ズイッと一歩近寄って、大声で先生を呼んだ。
先生は一瞬びっくりした後、俺の顔を見て続きを促す。
「俺、先生のこと守ってやるから!」
「……え?」
キョトンとした顔。
その表情さえ無防備過ぎて、俺は本当にこの先生のことを放っておけないと思った。
下心……が無いとは言わない。
だけど、この先生を守ってやらなきゃいけないと思ったのは、俺の本心でもあった。
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