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第一章
先生の、一番近くに居たいんだ
浜中の言っていた事はどうやら嘘では無かったようで、紫藤先生と浜中は、俺から少し離れた場所で何やら真剣な表情で話をしていた。
待ってたのは10分くらいだろうか。紫藤先生は浜中に軽く会釈をしてから、俺が待っているところまで戻って来た。
「待たせたね。……ところで、教えて欲しいところって明日の予習って考えても良いのかな?」
そう言いながらも、ちょっぴり困ったような笑顔。多分、それが俺の本心なんかじゃないって気が付いているんだろうな。
「あー、まあ……」
「やっぱり違ったか。……でも、まあ少し話をしようか。おいで」
ちょっぴり曖昧に返事を返す俺に、紫藤先生はやっぱりという顔をして、俺に付いてくるよう促した。
着いた先は、物理準備室。机の上には少し乱雑に教材用らしきものが置かれている。
先生は椅子を引き寄せて俺に座るように勧め、自分も別の椅子に腰かけた。
向かい合うように座った先生の表情は、真面目な感じで、いつもの柔らかさとは少し違った雰囲気だ。
……なんだろ。
俺が先生に変に構うのを止めてくれって言われるんだろうか……。
浜中に敵対心燃やし過ぎて…迷惑、だったのかな。
「……浜中先生の事だけどね」
ああ、やっぱり……。鬱陶しいって思われちまったんだ。
先生のこと好きになって守ってやりたいだなんて思って、浮かれていた罰だ、きっと。
そう気づいてしまったら、情けないやら恥ずかしいやらで力が入らなくなってしまった。
ホントにしょぼんと肩を落として下を向いていると、俺の頭に温かい掌がポンと軽く乗っかった。
「え?」と思って固まっていると、今度は優しく頭を撫でられている。
おずおずと顔を上げると、先生は先程とは違い又柔らかい雰囲気を纏って俺に微笑んでいた。
「あ、あの……」
「今朝、浜中先生に謝られたんだよ」
「え?」
「こないだは、つい変な事してしまってすまなかったって。もう二度と、あんな真似しないから許してくれって頭を下げられたんだ」
「ほん……とに?」
「うん。だからもう気にしなくて大丈夫だよ」
「そう、なんだ……」
実際、俺にも現場を見られちまってるんだし、これ以上紫藤先生をどうにかしようとする方が、確かに現職の教師としてはリスクが高い。だから浜中の本心だと思って間違いは無いだろう。
でもそれって、もう俺に先生を守ろうだなんて思わなくても良いから気にするなって言われてるような気もして、なんだか素直に喜べなかった。
「ありがとうね、南くん」
ほら、やっぱり。
先生は優しいからはっきり言えないだけで、俺の勝手な庇護欲は必要ないって言いたいんだ……。
そう思ったら無性にイライラしてきてしまって、自分を抑えることが出来なくなってしまった。
「嫌だ……」
「……え?」
「俺、先生のこと守りたい! だって先生、全然気付いてないだろ、自分がどんなに色っぽいかって!絶対浜中だけじゃないよ危ないのは! きっと他のみんなだってそう思ってる。だって、俺だって先生のこと見てるとグラグラ来るもん!」
まるで駄々をこねる子供のように、俺は何もかもぶちまけてしまい、ハッと我に返る。
ちょっと待て。俺なんか凄い事口走って……。
恐る恐る顔を上げて先生を窺うと、先生は心底ビックリしたようで、目を丸くして俺を見ていた。余りにも驚いたその表情に、俺の昂っていた神経が、スーッと冷えていく。
浜中と同じ。
気持ち悪い。
多分きっと、驚きの感情が引いて行って、我に返ったらそんな感情が先生の中で沸き起こるんだろう。
そう思ったら怖くて、俺はガタッと席を立って逃げようとした。……んだけど、何故か俺のその行動を察した先生の手が俺の腕をつかんでいる。
「せ、……先生?」
戸惑って先生の顔を振り返って見る。だけどその先生の顔にはもうさっきの驚きの表情は無くて、いつもの静かにほほ笑む柔らかな表情があった。
待ってたのは10分くらいだろうか。紫藤先生は浜中に軽く会釈をしてから、俺が待っているところまで戻って来た。
「待たせたね。……ところで、教えて欲しいところって明日の予習って考えても良いのかな?」
そう言いながらも、ちょっぴり困ったような笑顔。多分、それが俺の本心なんかじゃないって気が付いているんだろうな。
「あー、まあ……」
「やっぱり違ったか。……でも、まあ少し話をしようか。おいで」
ちょっぴり曖昧に返事を返す俺に、紫藤先生はやっぱりという顔をして、俺に付いてくるよう促した。
着いた先は、物理準備室。机の上には少し乱雑に教材用らしきものが置かれている。
先生は椅子を引き寄せて俺に座るように勧め、自分も別の椅子に腰かけた。
向かい合うように座った先生の表情は、真面目な感じで、いつもの柔らかさとは少し違った雰囲気だ。
……なんだろ。
俺が先生に変に構うのを止めてくれって言われるんだろうか……。
浜中に敵対心燃やし過ぎて…迷惑、だったのかな。
「……浜中先生の事だけどね」
ああ、やっぱり……。鬱陶しいって思われちまったんだ。
先生のこと好きになって守ってやりたいだなんて思って、浮かれていた罰だ、きっと。
そう気づいてしまったら、情けないやら恥ずかしいやらで力が入らなくなってしまった。
ホントにしょぼんと肩を落として下を向いていると、俺の頭に温かい掌がポンと軽く乗っかった。
「え?」と思って固まっていると、今度は優しく頭を撫でられている。
おずおずと顔を上げると、先生は先程とは違い又柔らかい雰囲気を纏って俺に微笑んでいた。
「あ、あの……」
「今朝、浜中先生に謝られたんだよ」
「え?」
「こないだは、つい変な事してしまってすまなかったって。もう二度と、あんな真似しないから許してくれって頭を下げられたんだ」
「ほん……とに?」
「うん。だからもう気にしなくて大丈夫だよ」
「そう、なんだ……」
実際、俺にも現場を見られちまってるんだし、これ以上紫藤先生をどうにかしようとする方が、確かに現職の教師としてはリスクが高い。だから浜中の本心だと思って間違いは無いだろう。
でもそれって、もう俺に先生を守ろうだなんて思わなくても良いから気にするなって言われてるような気もして、なんだか素直に喜べなかった。
「ありがとうね、南くん」
ほら、やっぱり。
先生は優しいからはっきり言えないだけで、俺の勝手な庇護欲は必要ないって言いたいんだ……。
そう思ったら無性にイライラしてきてしまって、自分を抑えることが出来なくなってしまった。
「嫌だ……」
「……え?」
「俺、先生のこと守りたい! だって先生、全然気付いてないだろ、自分がどんなに色っぽいかって!絶対浜中だけじゃないよ危ないのは! きっと他のみんなだってそう思ってる。だって、俺だって先生のこと見てるとグラグラ来るもん!」
まるで駄々をこねる子供のように、俺は何もかもぶちまけてしまい、ハッと我に返る。
ちょっと待て。俺なんか凄い事口走って……。
恐る恐る顔を上げて先生を窺うと、先生は心底ビックリしたようで、目を丸くして俺を見ていた。余りにも驚いたその表情に、俺の昂っていた神経が、スーッと冷えていく。
浜中と同じ。
気持ち悪い。
多分きっと、驚きの感情が引いて行って、我に返ったらそんな感情が先生の中で沸き起こるんだろう。
そう思ったら怖くて、俺はガタッと席を立って逃げようとした。……んだけど、何故か俺のその行動を察した先生の手が俺の腕をつかんでいる。
「せ、……先生?」
戸惑って先生の顔を振り返って見る。だけどその先生の顔にはもうさっきの驚きの表情は無くて、いつもの静かにほほ笑む柔らかな表情があった。
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