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第二章
真剣な思い
……で、俺は今部屋の隅っこでいじけて体育座りをしている。
「南、ほら。いい加減立てよ。送って行くから」
さっきまで獰猛な色気を放っていたネコ科の肉食獣だったのに、先生はその気配をすっかりどっかに放り投げて、教師の顔に戻ってしまっていた。
俺のお腹が鳴ったあの後、先生は一瞬キョトンとして、それからすぐに大爆笑しやがった。そして今に至る……。
真っ赤な顔して剥れて先生を睨み続けている俺に、先生はヤレヤレといった顔をして、俺の傍までやって来てその場にしゃがんだ。
「送って行くって言ってるだろ? 笑ったのは悪かったけど、いつまで拗ねてんだよ」
「……がう」
「がう?」
「違うって言ってんの! 笑われたのは恥ずかしかったけど、そうじゃないよ! なんで腹が鳴っただけで止めちゃうんだよ! 俺だって先生の体中触りまくってキスしたかったのにー」
自分の気持ちを思いっきりぶちまけたら、紫藤先生は目を見開いた。
そしてため息を一つ吐いて俺を見る。
「……お前な、何度も言うけど俺をあんまり煽るなよ。忍耐には自信が無いんだ」
「だったら……!」
「だけど――」
俺の反論を遮って、紫藤先生は強い口調で言葉を挟む。
「こんなんでも、俺は一応教師なんだよ。未成年のお前に、変な事するわけにはいかないだろ」
「変な事なんかじゃない!」
そうだよ。変な事のわけ無い。
俺は先生の事が好きで、先生も俺のこと好きだって言ってくれた。
真剣で、大事に育てていきたいって思える関係だ。先生だってそう思ってくれてるのに、なんで思い合っているその先の延長線上での行為が変な事になるんだよ。
思いっきり非難を顔に貼り付けて睨んでいたら、先生はまたため息を吐いて頭を掻いた。
「18歳未満に対して、大人が性的な行為をすることを禁止しているのは分かるよな?」
「……知ってるよ。でも、あれは結婚を考えるくらい真剣に付き合っている人に関しては、対象外だって聞いたもん」
「結婚って……。お前なあ、男同士で結婚なんて出来るわけないだろ」
呆れた口調で話す紫藤先生に俺はびっくりして顔を上げた。
「先生……、ずっと俺とこの関係を続けていきたいって思ってくれてるんじゃないの?」
「思ってるに決まってるだろ! ……ったく、だからこそ波風立てずに慎重に行きたいんじゃないか」
「先……生」
「分かったか? 後先考えずに突っ走って、お前を俺から引き離されるような事態には陥りたくないんだよ」
子供を諭すような表情にはちょっとムッとしたけど、先生の俺に対する真摯な思いだけはちゃんと伝わった。子供な俺とは違って、大人な先生は、俺との未来に対して一番無難な道を進もうと考えてくれているんだ。
だけど――
「でもさあ。今は誰にも知られる心配ないし、もう少しくらい良いんじゃないの?」
「馬鹿言うな。時計、見てみろ。もう7時回ってる。お前、帰宅部なんだろ? いつもならとっくに家に帰っている時間に帰って来てないとなると、親御さんも心配するだろう」
あ……。
言われてみれば、そうかもしれない。
家は、特別過保護ってことは無いけど放任とも違うから、それなりに心配はするかもしれない。
そう思った矢先に、カバンの中から着信音が響いた。
先生はその音を聞いた途端、『ほら見ろ』と言った顔をする。
カバンを漁り、スマホを確認すると、母親からのメッセージが入っていた。
『今、どこに居るの? まだ学校? 連絡しなさい』
ヤベッ。先生の心配したとおりになってる。
俺は慌てて返信し、仕方が無いので先生との恋人時間を切り上げて、カバンを持って玄関へと向かう先生の後へと続いた。
「南、ほら。いい加減立てよ。送って行くから」
さっきまで獰猛な色気を放っていたネコ科の肉食獣だったのに、先生はその気配をすっかりどっかに放り投げて、教師の顔に戻ってしまっていた。
俺のお腹が鳴ったあの後、先生は一瞬キョトンとして、それからすぐに大爆笑しやがった。そして今に至る……。
真っ赤な顔して剥れて先生を睨み続けている俺に、先生はヤレヤレといった顔をして、俺の傍までやって来てその場にしゃがんだ。
「送って行くって言ってるだろ? 笑ったのは悪かったけど、いつまで拗ねてんだよ」
「……がう」
「がう?」
「違うって言ってんの! 笑われたのは恥ずかしかったけど、そうじゃないよ! なんで腹が鳴っただけで止めちゃうんだよ! 俺だって先生の体中触りまくってキスしたかったのにー」
自分の気持ちを思いっきりぶちまけたら、紫藤先生は目を見開いた。
そしてため息を一つ吐いて俺を見る。
「……お前な、何度も言うけど俺をあんまり煽るなよ。忍耐には自信が無いんだ」
「だったら……!」
「だけど――」
俺の反論を遮って、紫藤先生は強い口調で言葉を挟む。
「こんなんでも、俺は一応教師なんだよ。未成年のお前に、変な事するわけにはいかないだろ」
「変な事なんかじゃない!」
そうだよ。変な事のわけ無い。
俺は先生の事が好きで、先生も俺のこと好きだって言ってくれた。
真剣で、大事に育てていきたいって思える関係だ。先生だってそう思ってくれてるのに、なんで思い合っているその先の延長線上での行為が変な事になるんだよ。
思いっきり非難を顔に貼り付けて睨んでいたら、先生はまたため息を吐いて頭を掻いた。
「18歳未満に対して、大人が性的な行為をすることを禁止しているのは分かるよな?」
「……知ってるよ。でも、あれは結婚を考えるくらい真剣に付き合っている人に関しては、対象外だって聞いたもん」
「結婚って……。お前なあ、男同士で結婚なんて出来るわけないだろ」
呆れた口調で話す紫藤先生に俺はびっくりして顔を上げた。
「先生……、ずっと俺とこの関係を続けていきたいって思ってくれてるんじゃないの?」
「思ってるに決まってるだろ! ……ったく、だからこそ波風立てずに慎重に行きたいんじゃないか」
「先……生」
「分かったか? 後先考えずに突っ走って、お前を俺から引き離されるような事態には陥りたくないんだよ」
子供を諭すような表情にはちょっとムッとしたけど、先生の俺に対する真摯な思いだけはちゃんと伝わった。子供な俺とは違って、大人な先生は、俺との未来に対して一番無難な道を進もうと考えてくれているんだ。
だけど――
「でもさあ。今は誰にも知られる心配ないし、もう少しくらい良いんじゃないの?」
「馬鹿言うな。時計、見てみろ。もう7時回ってる。お前、帰宅部なんだろ? いつもならとっくに家に帰っている時間に帰って来てないとなると、親御さんも心配するだろう」
あ……。
言われてみれば、そうかもしれない。
家は、特別過保護ってことは無いけど放任とも違うから、それなりに心配はするかもしれない。
そう思った矢先に、カバンの中から着信音が響いた。
先生はその音を聞いた途端、『ほら見ろ』と言った顔をする。
カバンを漁り、スマホを確認すると、母親からのメッセージが入っていた。
『今、どこに居るの? まだ学校? 連絡しなさい』
ヤベッ。先生の心配したとおりになってる。
俺は慌てて返信し、仕方が無いので先生との恋人時間を切り上げて、カバンを持って玄関へと向かう先生の後へと続いた。
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