綺麗な先生は好きですか?

くるむ

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第二章

更なるお近づき計画

それから少し他愛ない話をした後、先生が、「そろそろ帰ります」と言って席を立った。
その言葉に、母さんも席を立つ。

「あの、先生。本当のところ、今日の事は……、陽太がいじめられたいう事では無いのですよね?」

「それは、無いです。彼らの目的は南くんでは無く僕でした。南君はそれを偶然聞いて、助けようとしてくれただけなんです。……本当に、申し訳ありませんでした」

又、深々と頭を下げる先生に、母さんが慌てて顔を上げるようにと言った。

「先生、お独り暮らしをなさってます?」
「はい。……恥ずかしながら」
「でしたら、これも何かの縁ですから、是非またご飯を食べに来てください。家は大歓迎ですから」
「え? いや、それはご迷惑ですし……」

母さんの言葉に心底驚いたようで、先生は慌てて断りの言葉を並べ始める。
だけど俺はこの流れこそが、今日先生を夕食に誘ってもらうように母さんに頼んだ目的だったから、がぜん母さんの援護射撃を始めた。

「先生、母さんの料理美味しく無かったの?」
「え?」

急に何を言い出すんだと言うように、先生が焦った表情で俺を振り返った。

「だって、もうご飯食べに来たくないって……」
「誰もそんな事は言ってないだろう。ただ、ご迷惑だからって……っ」
「まあ、家は全然迷惑なんかじゃないですよ?」

「せんせー、迷惑じゃ、ないよ?」
「そうですよ」

和葉や兄貴にまでそう言われて、先生は困ったような表情をした。

「……ありがとうございます。それじゃあ、またいつかお邪魔させていただきます」
しょうがないなと言うように笑った先生の顔は、少し照れているようにも見えた。


家族が玄関で挨拶を交わした後、俺は先生を見送るからと一緒に外に出た。

「お前な、何考えてるんだよ」
「えー? 何が?」
「……ご飯食べにこれからも来いって……」

「だって、さ」
「何?」
「……母さんたちに先生の事、身近に感じてもらえたら……もしかしたら先生の家にお泊りさせてくれるかもしれないじゃん」

「…………」
「先生?」

返事が返って来ないことが気になって、先生の顔を見上げると、先生がはあーっとため息を吐きながら片手で顔を覆っていた。
そしてクシャリと髪を掻き混ぜられる。

「ホント、参るな。南には……」
「……怒ってる?」

苦笑したような呆れたような声でボソリと言われて、やりすぎたのかなと不安になる。だけど俺の頭から手を下した先生は、くすぐったいような嬉しさをかみ殺したような表情をしていた。

「いや。……不思議だなって思っただけだ。……今までの俺は、こうやって強く押されたらかなり引くタイプだったんだよな。それなのにお前にそうされたら、今すぐ抱きつぶしたくなるほど嬉しいって思ってしまってる」

だ、抱き……抱きつぶす……。

不意に突然、ネコ科の肉食獣に変貌した先生を思い出した。
思い出して、キュンキュンと胸の中が騒がしくなる。

「せんせぃぃ」
ぎゅうって甘えたくて、先生の腕の中でグリグリしたくて、でもこんなところではそういう訳にもいかないから、俺は先生の袖口をキュウッとつまんだ。
先生は、そっとその俺の手を包んでポンポンとして車のドアを開けた。

そうだよな、もう帰らなきゃな……。

「ああ、そうだ。南、連絡先」
「え?」
「連絡先、交換しよう」
「はいっ!」


個人的な先生の連絡先ゲット。恋人同士になったんだなあって、実感して嬉しくなる。



だけど、やっぱりラインはしないようだ(笑)
感想 4

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