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第六章
大学時代の友人たち
1時間半くらい車を走らせた辺りで、到着した。チェックインを済ませて泊まるコテージに向かう。
「ああ、やっぱりもう誰か来てるな」
「そうみたいだね」
あ~、なんか緊張してきた。先生の大学時代の友人って、渚さんしか知らないもんなあ。
ドアを開けると、勢いよく女性が2人走って来た。
「わ~、やっぱり澪だわ。久しぶりぃ」
「……ああ」
「何よぉ。相変わらずテンション低いわね!」
無愛想でろくに挨拶も返そうとしない先生を気にもせずに、2人は楽しそうに先生に纏わりつくように話し続ける。隣に居る俺のことなんて眼中に無さそうだ。
……なんかヤな感じ。
「紫藤、久しぶりだな」
奥の方からゆっくりと誰かが近づいてきた。
渚さんじゃない。誰だろ、この人。
俺がじーっと観察していたら、その視線に気が付いたその人が俺に目をとめた。
「あ、紫藤の教え子か。え~っと、南くんだっけ? 俺は柳瀬」
「あ、柳瀬さん!」
渚さんとの会話で柳瀬さんのことは聞き覚えがあったので、思わずそれが口に出た。
「あれ? 俺のこと知ってる?」
「はい。色々板挟みになって苦労している人でしょう?」
「……ぷはっ。ヤだなー、紫藤、お前生徒に何教えてるんだよ」
「コラ、南」
笑いながら怒った顔を作って、先生が俺の頭に手を置いた。
「だって、渚さんとそんな会話してたから」
「分かった。渚が来たらシメてやろう」
そう言いながら、俺の頭をわしゃわしゃする先生に、ここに居る3人が俺らを凝視した。
……?
なんだ?
「……澪がそんなことしてるの、初めて見た……」
「私も……」
「あ、澪。来たのね。お疲れ様」
「よう、紫藤」
また奥の方から人が出てきた。今度は女の人1人に、男の人が1人だ。
「ああ、久しぶりだな、志緒利。遠山も」
……!
先生、今……、この人のこと志緒利って名前で呼んだ……。
さっきの人たちには名前すら呼ばなかったのに……。
『そういや、まともなのも一人はいたな。頭もよくて話も分かる奴だった』
『……美人?』
『あー、まあ。そうかもなぁ』
不意に先生と交わした言葉を思い出した。
この人の、ことだよな……。確かに、美人だ。
胸の奥がモヤモヤする。
先生に自覚が無くても、たぶんこの人は先生にとって特別な人だ。
無愛想で他人に興味を持たない先生が、すんなり名前を呼んでしまえるだけの気持ちを持てた女の人……。
そう思ったらなんだか怖くなってきた。
怖くて、心許なくて先生のシャツをギュッと握る。
「みな……み?」
俺の気持ちの変化に気が付いたのか、先生が俺の顔を覗き込んだ。と同時に、ドアがまたガチャリと開く。
「よー、もうみんな来てたか。待たせたな」
いつでも明るくおおらかで、太陽のように渚さんがやって来た。
「ああ、やっぱりもう誰か来てるな」
「そうみたいだね」
あ~、なんか緊張してきた。先生の大学時代の友人って、渚さんしか知らないもんなあ。
ドアを開けると、勢いよく女性が2人走って来た。
「わ~、やっぱり澪だわ。久しぶりぃ」
「……ああ」
「何よぉ。相変わらずテンション低いわね!」
無愛想でろくに挨拶も返そうとしない先生を気にもせずに、2人は楽しそうに先生に纏わりつくように話し続ける。隣に居る俺のことなんて眼中に無さそうだ。
……なんかヤな感じ。
「紫藤、久しぶりだな」
奥の方からゆっくりと誰かが近づいてきた。
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俺がじーっと観察していたら、その視線に気が付いたその人が俺に目をとめた。
「あ、紫藤の教え子か。え~っと、南くんだっけ? 俺は柳瀬」
「あ、柳瀬さん!」
渚さんとの会話で柳瀬さんのことは聞き覚えがあったので、思わずそれが口に出た。
「あれ? 俺のこと知ってる?」
「はい。色々板挟みになって苦労している人でしょう?」
「……ぷはっ。ヤだなー、紫藤、お前生徒に何教えてるんだよ」
「コラ、南」
笑いながら怒った顔を作って、先生が俺の頭に手を置いた。
「だって、渚さんとそんな会話してたから」
「分かった。渚が来たらシメてやろう」
そう言いながら、俺の頭をわしゃわしゃする先生に、ここに居る3人が俺らを凝視した。
……?
なんだ?
「……澪がそんなことしてるの、初めて見た……」
「私も……」
「あ、澪。来たのね。お疲れ様」
「よう、紫藤」
また奥の方から人が出てきた。今度は女の人1人に、男の人が1人だ。
「ああ、久しぶりだな、志緒利。遠山も」
……!
先生、今……、この人のこと志緒利って名前で呼んだ……。
さっきの人たちには名前すら呼ばなかったのに……。
『そういや、まともなのも一人はいたな。頭もよくて話も分かる奴だった』
『……美人?』
『あー、まあ。そうかもなぁ』
不意に先生と交わした言葉を思い出した。
この人の、ことだよな……。確かに、美人だ。
胸の奥がモヤモヤする。
先生に自覚が無くても、たぶんこの人は先生にとって特別な人だ。
無愛想で他人に興味を持たない先生が、すんなり名前を呼んでしまえるだけの気持ちを持てた女の人……。
そう思ったらなんだか怖くなってきた。
怖くて、心許なくて先生のシャツをギュッと握る。
「みな……み?」
俺の気持ちの変化に気が付いたのか、先生が俺の顔を覗き込んだ。と同時に、ドアがまたガチャリと開く。
「よー、もうみんな来てたか。待たせたな」
いつでも明るくおおらかで、太陽のように渚さんがやって来た。
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