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第六章
複雑な気持ち 2
渚さんが、淹れてもらったお茶を飲んだ後に、アッという表情で俺を見た。
「なあ、お前ら一応自己紹介しろよ。南くんと会うのは、みんな初めてだろ?」
「ああ、そうだったな。サンキュ、渚。と、まずは南、自己紹介してやって」
言われてみれば、渚さんに言われるまで気がつかなかった。
先生に促されて、俺は気を取り直して自己紹介をする。
「えっと、中山高校二年の南陽太です。先生は俺らのクラスの教科担当です」
「教科担当? てことは、担任ってわけでもないんだ」
「はい」
さっき先生に纏わり付いていた女の人が、『じゃあなんで先生とあんなに仲が良いの?』といった顔で俺に尋ねた。けど、その気持ちに気が付かないふりをして軽く流す。
「澪が生徒を可愛がるって、びっくりしただろ? まあこれもびっくりなんだけど、実は南くんが、澪を何度か助けてあげたからなんだよな」
「助けた!? 澪を?」
渚さんのフォローに、みんなびっくりして俺を見る。そして先生を。
「……社会人として波風立てないように演じていたら、ちょっと演じすぎちゃってたようなんだよな」
「……どういう意味?」
「どうだっていいだろ。それより、みんなも自己紹介しろよ」
「そうだね。さっき一応自己紹介したけど、俺は柳瀬三千生」
「俺は遠山啓人。よろしくな」
「私は高田志緒利」
「で、志緒利とおんなじ名字で私は高田悠里」
「私は小波まゆり。よろしくね」
「よろしくお願いします」
一通り挨拶が終わったので、ペコリと頭を下げた。
「素直でいい子だね。紫藤が可愛がるのもわかるかな」
サンドイッチを頬張りながら、柳瀬さんがにっこりとほほ笑む。渚さん同様、感じの良い人だ。
……そういえば、先生がまともに付き合ってる友達って、渚さんと柳瀬さんだけだって言ってたっけ。
「あー、食ったー。南のお母さん、ホント料理うまいよな」
「ありがと。伝えとく」
「…………」
総て平らげたので、俺は空になったピクニックケースを洗おうと席を立った。
「あ、南くん。いいから座ってて」
「え?」
そう言って俺を制し、志緒利さんはさっさとケースを持って流しへと歩いていった。
志緒利さんは普通に動いているんだろうけど、それが余計に志緒利さんの良い人ぶりを見せつけられているような気がして、却って気持ちがザワザワする。
「志緒利に任せていればいいから」
戸惑う俺の気持ちに気づいていないんだろう。先生は腕を引っ張って、俺をそのまま座らせた。そしてそんな俺たちを、正面に座っている高田さんと小波さんがじっと見ていた。
「ほーんと、私らの知ってる澪じゃないよね」
「南くん、お姉さんたちと少しお話ししようか」
「……えっ」
探るような目つきがなんだか怖い。
えーっと、これはどうしたらいいんだ?
グイッ。
先生が俺の肩を引き寄せて、反対側の手で頭をぐりぐりし始めて焦る。
俺らが教師と生徒にしては仲が良すぎるって疑われているのに、これってまずいんじゃ……?
「俺の生徒を、怖がらせるんじゃないよ」
低い声で不機嫌そうに言う先生に、2人はグッと詰まった。
先生は全然動じていないけど、大丈夫なのかな?
俺の心配そうな表情に気が付いた渚さんが、俺に向かって小さな声で「大丈夫だよ」と 笑ってくれた。
「なあ、お前ら一応自己紹介しろよ。南くんと会うのは、みんな初めてだろ?」
「ああ、そうだったな。サンキュ、渚。と、まずは南、自己紹介してやって」
言われてみれば、渚さんに言われるまで気がつかなかった。
先生に促されて、俺は気を取り直して自己紹介をする。
「えっと、中山高校二年の南陽太です。先生は俺らのクラスの教科担当です」
「教科担当? てことは、担任ってわけでもないんだ」
「はい」
さっき先生に纏わり付いていた女の人が、『じゃあなんで先生とあんなに仲が良いの?』といった顔で俺に尋ねた。けど、その気持ちに気が付かないふりをして軽く流す。
「澪が生徒を可愛がるって、びっくりしただろ? まあこれもびっくりなんだけど、実は南くんが、澪を何度か助けてあげたからなんだよな」
「助けた!? 澪を?」
渚さんのフォローに、みんなびっくりして俺を見る。そして先生を。
「……社会人として波風立てないように演じていたら、ちょっと演じすぎちゃってたようなんだよな」
「……どういう意味?」
「どうだっていいだろ。それより、みんなも自己紹介しろよ」
「そうだね。さっき一応自己紹介したけど、俺は柳瀬三千生」
「俺は遠山啓人。よろしくな」
「私は高田志緒利」
「で、志緒利とおんなじ名字で私は高田悠里」
「私は小波まゆり。よろしくね」
「よろしくお願いします」
一通り挨拶が終わったので、ペコリと頭を下げた。
「素直でいい子だね。紫藤が可愛がるのもわかるかな」
サンドイッチを頬張りながら、柳瀬さんがにっこりとほほ笑む。渚さん同様、感じの良い人だ。
……そういえば、先生がまともに付き合ってる友達って、渚さんと柳瀬さんだけだって言ってたっけ。
「あー、食ったー。南のお母さん、ホント料理うまいよな」
「ありがと。伝えとく」
「…………」
総て平らげたので、俺は空になったピクニックケースを洗おうと席を立った。
「あ、南くん。いいから座ってて」
「え?」
そう言って俺を制し、志緒利さんはさっさとケースを持って流しへと歩いていった。
志緒利さんは普通に動いているんだろうけど、それが余計に志緒利さんの良い人ぶりを見せつけられているような気がして、却って気持ちがザワザワする。
「志緒利に任せていればいいから」
戸惑う俺の気持ちに気づいていないんだろう。先生は腕を引っ張って、俺をそのまま座らせた。そしてそんな俺たちを、正面に座っている高田さんと小波さんがじっと見ていた。
「ほーんと、私らの知ってる澪じゃないよね」
「南くん、お姉さんたちと少しお話ししようか」
「……えっ」
探るような目つきがなんだか怖い。
えーっと、これはどうしたらいいんだ?
グイッ。
先生が俺の肩を引き寄せて、反対側の手で頭をぐりぐりし始めて焦る。
俺らが教師と生徒にしては仲が良すぎるって疑われているのに、これってまずいんじゃ……?
「俺の生徒を、怖がらせるんじゃないよ」
低い声で不機嫌そうに言う先生に、2人はグッと詰まった。
先生は全然動じていないけど、大丈夫なのかな?
俺の心配そうな表情に気が付いた渚さんが、俺に向かって小さな声で「大丈夫だよ」と 笑ってくれた。
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