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第六章
2泊目の朝 2
顔を洗い終えてキッチンの方を見ると、志緒利さんたちが残った野菜を出しているところだった。
俺と目が合うと、志緒利さんはにこりと笑って「手伝う?」と聞いてきた。
「邪魔じゃなかったら、是非!」
「じゃあ、カボチャ、3cm角くらいに切ってもらおうかな」
「はい。何作るんですか?」
「お味噌汁よ。余った野菜とか入れて作っちゃいましょう」
「はい」
包丁を持って、カボチャをどうやって切ろうかと考えていたら、高田さんたちが傍に寄って来た。
「てことはー、私たちはお休みしちゃおうかな」
「そうね。南くんに任せちゃっていい?」
「あ、俺は構いませんけど……」
「いいわよ。具沢山のお味噌汁作るだけだし。ご飯ももう炊けてるしね」
という事で、俺は志緒利さんに指示されたとおりにカボチャと玉ねぎとウインナーを切っていく。
「これ、みそ汁ですよね。珍しい具ですね」
「まあ、そうかな。でも、それなりに美味しいと思うよ」
「そうですね」
「飯、まだか? 腹減った」
「え?」
振り返ると先生がお腹を摩りながらやって来た。
「ああ、もうそろそろ出来るわよ。南くん、ここは良いからご飯よそってくれる?」
「はい」
そう言えばご飯よそうのも、あんまりしたことないよなあ。
料理するのも意外と楽しかったし、今度家でも手伝ってみようかな……。
出来た料理をテーブルに運んで、みんなで食べた。
ウインナーや玉ねぎの入っているみそ汁はどうかと思ったけど、結構おいしかった。和葉なんかは、好きな味なんじゃないかな。まだまだお子様だし。
「何考えてるんだ?」
「え?」
先生に突然声を掛けられて驚いた。その顔は、なんだかちょっと拗ねたような表情だ。
「和葉のことだよ。……この味噌汁、あいつが好きそうな味だなって思って」
「……和葉ちゃん。ああ、そうだな。……そうか、だよな」
「何?」
「いや、南もお兄ちゃんなんだなって思って」
今度は逆に目を細めて愛しそうに微笑まれて、顔に熱が集まりそうになって焦る。
「べっ、別に。ふ……普通のことだし……」
「南くん、可愛い」
「へ……、え?」
顔を上げて周りを見ると、なぜだか注目の的になっていた。
「やっぱり家族仲が良いのね。そんな感じするわ。素直で良い子だもの」
「……なんだかちょっぴり納得したわ。正義感があってこんだけ素直な子が傍に居たら、澪も触発されて教師として成長もしちゃうか」
「え、いえ。俺はそんな……」
「謙遜しないで良いよ。みんなそれで納得してるんだから」
なんだか想像以上に持ち上げられている感に慌てて否定しなくちゃと思っていると、渚さんが口を挟んだ。そういう事にしておきなよというニュアンスと、あってるだろ?というニュアンスが含まれているようだ。
「……まあ、違うとは言いきれないよな。南は俺に無かったものを普通に持ってるし。……無謀な正義感は正直危なっかしいところもあるんだけど」
苦笑交じりに話す先生に、まだ恋人になる前のあの事件を思い出した。
でもさ、先生。
あれは正直正義感なんてものじゃないよ。だって、あいつらが狙ったのが先生だったから、俺は居ても立ってもいられなくなったんであって、別の奴だったらあそこまで無謀に必死にはなってなかったと思う。
だけどこのメンバーでその話を蒸し返すことは出来なくて、俺は居心地悪いまま、もそもそと朝ご飯を完食した。
朝ご飯を食べ終えた俺らは、のんびりと帰る支度を始めた。
志緒利さんたち女子は昼過ぎに予定が入っているという事で、そのままコテージで別れた。
柳瀬さんは遠山さんの車に乗せてもらってここまで来たのだそうで、帰りは渚さんの車で帰ることが決定した。
とはいえ、昼ご飯はファミレス辺りで済ませようという事になり、帰り路の途中にある大手ファミレスのお店に向かう事になった。
俺と目が合うと、志緒利さんはにこりと笑って「手伝う?」と聞いてきた。
「邪魔じゃなかったら、是非!」
「じゃあ、カボチャ、3cm角くらいに切ってもらおうかな」
「はい。何作るんですか?」
「お味噌汁よ。余った野菜とか入れて作っちゃいましょう」
「はい」
包丁を持って、カボチャをどうやって切ろうかと考えていたら、高田さんたちが傍に寄って来た。
「てことはー、私たちはお休みしちゃおうかな」
「そうね。南くんに任せちゃっていい?」
「あ、俺は構いませんけど……」
「いいわよ。具沢山のお味噌汁作るだけだし。ご飯ももう炊けてるしね」
という事で、俺は志緒利さんに指示されたとおりにカボチャと玉ねぎとウインナーを切っていく。
「これ、みそ汁ですよね。珍しい具ですね」
「まあ、そうかな。でも、それなりに美味しいと思うよ」
「そうですね」
「飯、まだか? 腹減った」
「え?」
振り返ると先生がお腹を摩りながらやって来た。
「ああ、もうそろそろ出来るわよ。南くん、ここは良いからご飯よそってくれる?」
「はい」
そう言えばご飯よそうのも、あんまりしたことないよなあ。
料理するのも意外と楽しかったし、今度家でも手伝ってみようかな……。
出来た料理をテーブルに運んで、みんなで食べた。
ウインナーや玉ねぎの入っているみそ汁はどうかと思ったけど、結構おいしかった。和葉なんかは、好きな味なんじゃないかな。まだまだお子様だし。
「何考えてるんだ?」
「え?」
先生に突然声を掛けられて驚いた。その顔は、なんだかちょっと拗ねたような表情だ。
「和葉のことだよ。……この味噌汁、あいつが好きそうな味だなって思って」
「……和葉ちゃん。ああ、そうだな。……そうか、だよな」
「何?」
「いや、南もお兄ちゃんなんだなって思って」
今度は逆に目を細めて愛しそうに微笑まれて、顔に熱が集まりそうになって焦る。
「べっ、別に。ふ……普通のことだし……」
「南くん、可愛い」
「へ……、え?」
顔を上げて周りを見ると、なぜだか注目の的になっていた。
「やっぱり家族仲が良いのね。そんな感じするわ。素直で良い子だもの」
「……なんだかちょっぴり納得したわ。正義感があってこんだけ素直な子が傍に居たら、澪も触発されて教師として成長もしちゃうか」
「え、いえ。俺はそんな……」
「謙遜しないで良いよ。みんなそれで納得してるんだから」
なんだか想像以上に持ち上げられている感に慌てて否定しなくちゃと思っていると、渚さんが口を挟んだ。そういう事にしておきなよというニュアンスと、あってるだろ?というニュアンスが含まれているようだ。
「……まあ、違うとは言いきれないよな。南は俺に無かったものを普通に持ってるし。……無謀な正義感は正直危なっかしいところもあるんだけど」
苦笑交じりに話す先生に、まだ恋人になる前のあの事件を思い出した。
でもさ、先生。
あれは正直正義感なんてものじゃないよ。だって、あいつらが狙ったのが先生だったから、俺は居ても立ってもいられなくなったんであって、別の奴だったらあそこまで無謀に必死にはなってなかったと思う。
だけどこのメンバーでその話を蒸し返すことは出来なくて、俺は居心地悪いまま、もそもそと朝ご飯を完食した。
朝ご飯を食べ終えた俺らは、のんびりと帰る支度を始めた。
志緒利さんたち女子は昼過ぎに予定が入っているという事で、そのままコテージで別れた。
柳瀬さんは遠山さんの車に乗せてもらってここまで来たのだそうで、帰りは渚さんの車で帰ることが決定した。
とはいえ、昼ご飯はファミレス辺りで済ませようという事になり、帰り路の途中にある大手ファミレスのお店に向かう事になった。
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