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第七章
先生の家族 7
冷蔵庫からサラダを出して、お皿に盛ろうと考えて予備の皿が無いことに気が付いた。
まあいいか。中身を半分こにして、蓋の上に半分盛ろう。
ご飯をよそって、鍋ごとカレーをデンとテーブルの上に置いた。熱々のカレーをご飯にかける。
俺もワクワクしているけど、先生もやはり楽しそうだ。
「美味い」
パクリと一口食べて、もぐもぐして一言。
頬も緩んで幸せそうなので、本当に美味しいと思ってくれてるんだろう。ホッとした。
まあ多少、水の量が少なかったけど、後から足したら全然問題なかったし。
「この部屋で、誰かと飯食う事って無かったからな」
「あ……。先生って、いつから一人暮らしをしてるの?」
「高校卒業してすぐだ。……両親が離婚して俺は母親に引き取られたんだが、その母親が俺の高校卒業を機に再婚したから」
「…………」
ああ、そうか。
さっき、暗い気持ちになるかもって言ってたのは、こういう事だったんだ。
「その、再婚相手の義理のお父さんって人とは合わなかったの?」
「会う? 会ったことはないな」
「あ、え? その会うじゃなくて、性格的に合わなかったのかってことだったんだけど、……会いもしなかったんだ……」
同じあうでも、意味が違っている事に気がついて、それと同時に再婚相手の人に会う事も無かったという事に驚いた。
「……母親がダメになっていたからな」
「ダメ?」
俺はよほど不思議そうな顔をしていたのか、先生は自嘲したような苦笑したような、複雑な表情になった。
「――俺は父親似でな。両親が離婚したのが俺がまだ10歳の頃だったんだけど、成長するごとに俺が父親に似てくることが母にとっては苦痛でしかなくなって来ていたようなんだ」
「…………」
先生の表情はやはり苦笑交じりで、そこに悲しさも苦しさも感じとることは出来ない。だけど、それだから余計に俺の胸は痛くてしょうがなかった。
だって、まだ小学生だった幼い頃の先生が受けた悲しい傷を、どんな思いで消化していったのかと思うとやり切れないじゃないか。
先生に膝立ちのまま近づいて、そっと抱き寄せた。硬くて引き締まった先生の体が、愛しくて仕方がない。
ギュッと強く抱きしめたら、先生も俺の背中に腕を回した。
まあいいか。中身を半分こにして、蓋の上に半分盛ろう。
ご飯をよそって、鍋ごとカレーをデンとテーブルの上に置いた。熱々のカレーをご飯にかける。
俺もワクワクしているけど、先生もやはり楽しそうだ。
「美味い」
パクリと一口食べて、もぐもぐして一言。
頬も緩んで幸せそうなので、本当に美味しいと思ってくれてるんだろう。ホッとした。
まあ多少、水の量が少なかったけど、後から足したら全然問題なかったし。
「この部屋で、誰かと飯食う事って無かったからな」
「あ……。先生って、いつから一人暮らしをしてるの?」
「高校卒業してすぐだ。……両親が離婚して俺は母親に引き取られたんだが、その母親が俺の高校卒業を機に再婚したから」
「…………」
ああ、そうか。
さっき、暗い気持ちになるかもって言ってたのは、こういう事だったんだ。
「その、再婚相手の義理のお父さんって人とは合わなかったの?」
「会う? 会ったことはないな」
「あ、え? その会うじゃなくて、性格的に合わなかったのかってことだったんだけど、……会いもしなかったんだ……」
同じあうでも、意味が違っている事に気がついて、それと同時に再婚相手の人に会う事も無かったという事に驚いた。
「……母親がダメになっていたからな」
「ダメ?」
俺はよほど不思議そうな顔をしていたのか、先生は自嘲したような苦笑したような、複雑な表情になった。
「――俺は父親似でな。両親が離婚したのが俺がまだ10歳の頃だったんだけど、成長するごとに俺が父親に似てくることが母にとっては苦痛でしかなくなって来ていたようなんだ」
「…………」
先生の表情はやはり苦笑交じりで、そこに悲しさも苦しさも感じとることは出来ない。だけど、それだから余計に俺の胸は痛くてしょうがなかった。
だって、まだ小学生だった幼い頃の先生が受けた悲しい傷を、どんな思いで消化していったのかと思うとやり切れないじゃないか。
先生に膝立ちのまま近づいて、そっと抱き寄せた。硬くて引き締まった先生の体が、愛しくて仕方がない。
ギュッと強く抱きしめたら、先生も俺の背中に腕を回した。
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