123 / 158
第七章
恋人の時間 2
カチャカチャと、食べ終わった食器たちを洗う音が聞こえる。
俺も手伝うって言ったんだけど、大したことないからと休んでいるように言われた。これって明らかに俺の体を労わってくれてるって事だよな。
……そう考えると、こそばゆいやらこっ恥ずかしいやらでムズムズしちゃうぞ。
水音が無くなって、食器を洗い終えた先生がタオルで手を拭いて戻って来た。
「お疲れです」
大人が時々口にする挨拶を真似してみた。
先生は笑って俺の隣に座り、肩を引き寄せた。
「ねえ、先生……?」
「なんだ?」
「俺、先生のこともっと色々知りたい」
「俺?」
不思議そうに先生が俺の顔を覗き込んだ。そして俺の顔を見て、苦笑いにも似た表情をした。
「俺のことなんて何もないぞ? 昨日話した事がほとんどで、両親とは疎遠だし……。それに交友関係だって、見ての通りだ」
「見ての通りって……。先生、渚さんとは親友でしょ? 結構嫌そうな顔するけど、本当は一番信用していて信頼している人なんでしょ?」
「まあ、それはな……。……渚に関しては、確かに信頼してるってのが強いのかもしれない。あいつは俺がどんなに素を出しまくって嫌な態度を取っても面白がるだけで……、その下に隠れている上手く言えない俺の感情を理解してくれているのが分かるから」
「…………」
「どうした?」
「……ちょっと、羨ましいって思った」
「羨ましい? なんでだ?」
「だって、先生に一番に信頼されてるんでしょ? 俺も、そうゆう存在になりたい!」
俺が真顔で力説すると、先生は目を丸くした後楽しそうに笑った。
「南のことも信頼してるぞ?」
「だけど一番じゃないし」
「こういう事は、優劣は付けられないんだけどなあ……。でも、俺を一番癒してくれるのは南だぞ」
「……え?」
「南の顔を見るだけで今日も頑張るかって気にもなるし、疲れている時だって、南と話をするだけで気持ちが解れてくるしな」
「せん……せ」
ウルウルして来た……。
――奇跡的な存在。
以前、渚さんが俺たちに言ってくれた言葉だ。
だけどそれは俺だけじゃなくて、渚さんも紫藤先生にとっての奇跡的な存在だってことは間違いないんだろうけれど……。
「先生が疲れている時は、俺に会いたいって思ってくれるんだよね」
「ああ」
「渚さんに勝ててる?」
「当たり前だろ?」
笑いを堪えた先生の顔。
馬鹿馬鹿しい嫉妬だって分かっているけど……。
俺は甘えた振りで、先生にキュッと抱き着いた。
俺も手伝うって言ったんだけど、大したことないからと休んでいるように言われた。これって明らかに俺の体を労わってくれてるって事だよな。
……そう考えると、こそばゆいやらこっ恥ずかしいやらでムズムズしちゃうぞ。
水音が無くなって、食器を洗い終えた先生がタオルで手を拭いて戻って来た。
「お疲れです」
大人が時々口にする挨拶を真似してみた。
先生は笑って俺の隣に座り、肩を引き寄せた。
「ねえ、先生……?」
「なんだ?」
「俺、先生のこともっと色々知りたい」
「俺?」
不思議そうに先生が俺の顔を覗き込んだ。そして俺の顔を見て、苦笑いにも似た表情をした。
「俺のことなんて何もないぞ? 昨日話した事がほとんどで、両親とは疎遠だし……。それに交友関係だって、見ての通りだ」
「見ての通りって……。先生、渚さんとは親友でしょ? 結構嫌そうな顔するけど、本当は一番信用していて信頼している人なんでしょ?」
「まあ、それはな……。……渚に関しては、確かに信頼してるってのが強いのかもしれない。あいつは俺がどんなに素を出しまくって嫌な態度を取っても面白がるだけで……、その下に隠れている上手く言えない俺の感情を理解してくれているのが分かるから」
「…………」
「どうした?」
「……ちょっと、羨ましいって思った」
「羨ましい? なんでだ?」
「だって、先生に一番に信頼されてるんでしょ? 俺も、そうゆう存在になりたい!」
俺が真顔で力説すると、先生は目を丸くした後楽しそうに笑った。
「南のことも信頼してるぞ?」
「だけど一番じゃないし」
「こういう事は、優劣は付けられないんだけどなあ……。でも、俺を一番癒してくれるのは南だぞ」
「……え?」
「南の顔を見るだけで今日も頑張るかって気にもなるし、疲れている時だって、南と話をするだけで気持ちが解れてくるしな」
「せん……せ」
ウルウルして来た……。
――奇跡的な存在。
以前、渚さんが俺たちに言ってくれた言葉だ。
だけどそれは俺だけじゃなくて、渚さんも紫藤先生にとっての奇跡的な存在だってことは間違いないんだろうけれど……。
「先生が疲れている時は、俺に会いたいって思ってくれるんだよね」
「ああ」
「渚さんに勝ててる?」
「当たり前だろ?」
笑いを堪えた先生の顔。
馬鹿馬鹿しい嫉妬だって分かっているけど……。
俺は甘えた振りで、先生にキュッと抱き着いた。
あなたにおすすめの小説
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
BL 男達の性事情
蔵屋
BL
漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。
漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。
漁師の仕事は多岐にわたる。
例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。
陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、
多彩だ。
漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。
漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。
養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。
陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。
漁業の種類と言われる仕事がある。
漁師の仕事だ。
仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。
沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。
日本の漁師の多くがこの形態なのだ。
沖合(近海)漁業という仕事もある。
沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。
遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。
内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。
漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
この物語の始まりである。
この物語はフィクションです。
この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
すべてを奪われた英雄は、
さいはて旅行社
BL
アスア王国の英雄ザット・ノーレンは仲間たちにすべてを奪われた。
隣国の神聖国グルシアの魔物大量発生でダンジョンに潜りラスボスの魔物も討伐できたが、そこで仲間に裏切られ黒い短剣で刺されてしまう。
それでも生き延びてダンジョンから生還したザット・ノーレンは神聖国グルシアで、王子と呼ばれる少年とその世話役のヴィンセントに出会う。
すべてを奪われた英雄が、自分や仲間だった者、これから出会う人々に向き合っていく物語。