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第七章
恋人の時間 3
「南の親友は松本だろ?」
「うん」
「あいつのことは、信頼してるんだよな?」
「うん。……あ!」
利一のことで思い出した。
「俺、利一に先生のことが好きだってバレちゃった」
「え?」
「あっ、付き合ってる事じゃないからね。俺の勝手な片思いだって思われてる」
「……そうか。で、松本は何って?」
「紫藤先生は優しいし、憧れくらいアリなんじゃないかって。あいつ、こういう事で差別とかしたりする奴じゃないから」
「そうか」
話を聞いてホッとしたのか、先生は穏やかな笑みを見せてくれた。
「松本には悪いけど、南が卒業するまではこの事は内緒だな」
「うん。卒業したら、両想いになれたって報告するよ」
「ああ。……悪いな」
「先生は悪くないよ! もともと教師と生徒だから誰にも言っちゃいけないって覚悟の上での事だもん」
「……そうだったな。お前、最初からそんなこと……、言ってたな」
「うん」
先生の表情が、何かを思い出すような懐かしい顔になる。そして俺をさらに引き寄せて、ギュウッと抱きしめてくれた。
「素直で、健気で……。思いを一生懸命ぶつけてくれたよな。誰かを可愛いと……、愛しいと思えたのは初めてだった。……俺は、南にすごく救われてるよ」
「先生……」
本来なら多分、男同士だってことも教師と生徒の関係だってことも、両方躊躇して自分の気持ちを必死で押し殺し、無かったことにしようと思ってしまう事なんだろう。
だけど俺の中ではそんな選択肢は無かった。
だって、どんなに俺が先生のことを求めていたか……。
出会いが衝撃的で、勘違いは確かにあったけど……。でも、それを知った後でも気持ちが後戻りすることなんて無かった。
「だって俺、先生を誰かに渡す気なんて無かったんだよ」
「ああ……。俺も南を誰にも渡す気なんて無いけどな」
素の、優しく綺麗な表情で微笑んだ先生が、俺と額をコツンと合わせる。
こんなやり取りがくすぐったくて、自然と俺の顔にも笑みが広がった。
時計の針が、一時を指そうとしていた。
「うん」
「あいつのことは、信頼してるんだよな?」
「うん。……あ!」
利一のことで思い出した。
「俺、利一に先生のことが好きだってバレちゃった」
「え?」
「あっ、付き合ってる事じゃないからね。俺の勝手な片思いだって思われてる」
「……そうか。で、松本は何って?」
「紫藤先生は優しいし、憧れくらいアリなんじゃないかって。あいつ、こういう事で差別とかしたりする奴じゃないから」
「そうか」
話を聞いてホッとしたのか、先生は穏やかな笑みを見せてくれた。
「松本には悪いけど、南が卒業するまではこの事は内緒だな」
「うん。卒業したら、両想いになれたって報告するよ」
「ああ。……悪いな」
「先生は悪くないよ! もともと教師と生徒だから誰にも言っちゃいけないって覚悟の上での事だもん」
「……そうだったな。お前、最初からそんなこと……、言ってたな」
「うん」
先生の表情が、何かを思い出すような懐かしい顔になる。そして俺をさらに引き寄せて、ギュウッと抱きしめてくれた。
「素直で、健気で……。思いを一生懸命ぶつけてくれたよな。誰かを可愛いと……、愛しいと思えたのは初めてだった。……俺は、南にすごく救われてるよ」
「先生……」
本来なら多分、男同士だってことも教師と生徒の関係だってことも、両方躊躇して自分の気持ちを必死で押し殺し、無かったことにしようと思ってしまう事なんだろう。
だけど俺の中ではそんな選択肢は無かった。
だって、どんなに俺が先生のことを求めていたか……。
出会いが衝撃的で、勘違いは確かにあったけど……。でも、それを知った後でも気持ちが後戻りすることなんて無かった。
「だって俺、先生を誰かに渡す気なんて無かったんだよ」
「ああ……。俺も南を誰にも渡す気なんて無いけどな」
素の、優しく綺麗な表情で微笑んだ先生が、俺と額をコツンと合わせる。
こんなやり取りがくすぐったくて、自然と俺の顔にも笑みが広がった。
時計の針が、一時を指そうとしていた。
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