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第八章
学校での先生
サラダを美味しそうに頬張る先生を横目に、俺も母さんが作ってくれた弁当を広げた。
「それにしてもさっきは驚いたな。まさか松本に、南を準備室に来させても良いかなんて言われるとは思わなかったから」
「うん……、それなんだけどさ。利一は良かれと思ってしてくれたんだけど……。本当のところはどうなの? 実際のところ、お昼休みに生徒に陣取られるのは迷惑だよね?」
「まあ、……お前以外の奴に来られたら、正直別の時間にしてくれないかな……とは思うよな」
「だよなー。俺もさ、今までは先生と仲良くなることだけに一生懸命だったけど、……最近は、その……。先生と恋人なんだよなって、実感できてるからさ。俺らの事で邪魔になるような事をおびき寄せるような真似はしちゃいけないなって気持ちの方が強くなってきてるんだ。だから、ここに来て良いのかなーって実はちょっと迷ってたんだ」
そう告げると先生は、ちょっぴり驚いた顔をした後、楽しそうに微笑んだ。
「頼もしい恋人だ」
「もう、揶揄うなよな。一生懸命なんだぞ、俺は」
むうっと膨れてみると、先生は「ごめん、ごめん」と笑いながら謝った。
「そういえばさ、栄養士の事、ちょっと調べてみたんだけど、栄養士の上級資格ってものに管理栄養士ってのがあるみたいでさ。そっちの方が給料的にも高くなるみたいだし、どうせならそっちの方を目指してみようかなって考えてるんだ」
「……俺の事を主に考えることは無いんだぞ? それでも、その栄養方面への仕事に興味はあるのか?」
「うん。あ、もちろん先生の食生活が心配になったことが原因で栄養の事に興味を持ったんだけど。でもさ、食事が総てでは無いと思うけど、偏った食生活をすることで病気になったりすることもあるんだろ? そういう事を未然に防いだり、すでに病気になっている人にアドバイスをしたりする事が出来る職業だとしたら、それはそれで凄いんじゃないかなって思った」
「そう、か。……俺はそっち方面はあんまり詳しくはないが、管理栄養士の受験資格を取るのなら4年制大学を受験した方がいいようだな」
「調べてくれたの?」
「調べるというほどじゃない。ちょっと、見てみただけだ」
ぶっきらぼうに告げる先生に笑みが零れる。
おにぎりを頬張りながら、にやにやと先生を見ていたら呆れた顔を向けられた。
「そう言えばお前、授業中とかポケーッと呆けた顔で俺の事見てるだろ。栄養学を習う学科に物理の試験は無いとは思うが、学校から送られる調査書も加味されるんだから、授業にはちゃんと取り組まないとだめだぞ」
「う~。分かってるよ、そんな事。……だってさ、学校での先生っていっつも優しい表情してるから、ホントに綺麗なんだもん。……でも、今度からはちゃんと気を付けるよ」
もごもごと言い訳をする俺に、先生は気の抜けたような表情になる。
「――お前はやっぱり、学校での俺の方が好きなのか?」
「まさか! 俺とふたりっきりの時にあの作られた顔を見せられるのは絶対いやだよ! ……あれは、ヤダ。怖いし……、すごく淋しいよ」
作られた表情の方が好きなのかと聞いているのだと瞬時に理解した俺は、喧嘩した時の、隙の無い優しい表情を思い出してしまった。
あれは嫌だ。絶対に嫌だ。
「正直言って、俺はここで見る先生の綺麗な顔にはクラクラ来るよ。でも俺と2人でいる時は、ふてぶてしくて色っぽい先生でいて欲しいよ。それでもちゃんと先生が優しいこと、俺、ちゃんと知ってるから」
変に勘違いなんてされたくない。真顔で先生に気持ちをぶつけたら、先生の表情もだんだんと苦笑いへと変化していった。
「分かった、分かった。……悪かったな、変な事聞いて。ほら、飯食えよ。ゆっくりはしてられないぞ」
「あ、うん」
慌てて残りの弁当を口に放り込みながら先生を見る。
俺と目が合って微笑む先生の表情は、いつもの、俺と居る時にしてくれる、演技ではない綺麗な甘くて優しい笑顔だった。
「それにしてもさっきは驚いたな。まさか松本に、南を準備室に来させても良いかなんて言われるとは思わなかったから」
「うん……、それなんだけどさ。利一は良かれと思ってしてくれたんだけど……。本当のところはどうなの? 実際のところ、お昼休みに生徒に陣取られるのは迷惑だよね?」
「まあ、……お前以外の奴に来られたら、正直別の時間にしてくれないかな……とは思うよな」
「だよなー。俺もさ、今までは先生と仲良くなることだけに一生懸命だったけど、……最近は、その……。先生と恋人なんだよなって、実感できてるからさ。俺らの事で邪魔になるような事をおびき寄せるような真似はしちゃいけないなって気持ちの方が強くなってきてるんだ。だから、ここに来て良いのかなーって実はちょっと迷ってたんだ」
そう告げると先生は、ちょっぴり驚いた顔をした後、楽しそうに微笑んだ。
「頼もしい恋人だ」
「もう、揶揄うなよな。一生懸命なんだぞ、俺は」
むうっと膨れてみると、先生は「ごめん、ごめん」と笑いながら謝った。
「そういえばさ、栄養士の事、ちょっと調べてみたんだけど、栄養士の上級資格ってものに管理栄養士ってのがあるみたいでさ。そっちの方が給料的にも高くなるみたいだし、どうせならそっちの方を目指してみようかなって考えてるんだ」
「……俺の事を主に考えることは無いんだぞ? それでも、その栄養方面への仕事に興味はあるのか?」
「うん。あ、もちろん先生の食生活が心配になったことが原因で栄養の事に興味を持ったんだけど。でもさ、食事が総てでは無いと思うけど、偏った食生活をすることで病気になったりすることもあるんだろ? そういう事を未然に防いだり、すでに病気になっている人にアドバイスをしたりする事が出来る職業だとしたら、それはそれで凄いんじゃないかなって思った」
「そう、か。……俺はそっち方面はあんまり詳しくはないが、管理栄養士の受験資格を取るのなら4年制大学を受験した方がいいようだな」
「調べてくれたの?」
「調べるというほどじゃない。ちょっと、見てみただけだ」
ぶっきらぼうに告げる先生に笑みが零れる。
おにぎりを頬張りながら、にやにやと先生を見ていたら呆れた顔を向けられた。
「そう言えばお前、授業中とかポケーッと呆けた顔で俺の事見てるだろ。栄養学を習う学科に物理の試験は無いとは思うが、学校から送られる調査書も加味されるんだから、授業にはちゃんと取り組まないとだめだぞ」
「う~。分かってるよ、そんな事。……だってさ、学校での先生っていっつも優しい表情してるから、ホントに綺麗なんだもん。……でも、今度からはちゃんと気を付けるよ」
もごもごと言い訳をする俺に、先生は気の抜けたような表情になる。
「――お前はやっぱり、学校での俺の方が好きなのか?」
「まさか! 俺とふたりっきりの時にあの作られた顔を見せられるのは絶対いやだよ! ……あれは、ヤダ。怖いし……、すごく淋しいよ」
作られた表情の方が好きなのかと聞いているのだと瞬時に理解した俺は、喧嘩した時の、隙の無い優しい表情を思い出してしまった。
あれは嫌だ。絶対に嫌だ。
「正直言って、俺はここで見る先生の綺麗な顔にはクラクラ来るよ。でも俺と2人でいる時は、ふてぶてしくて色っぽい先生でいて欲しいよ。それでもちゃんと先生が優しいこと、俺、ちゃんと知ってるから」
変に勘違いなんてされたくない。真顔で先生に気持ちをぶつけたら、先生の表情もだんだんと苦笑いへと変化していった。
「分かった、分かった。……悪かったな、変な事聞いて。ほら、飯食えよ。ゆっくりはしてられないぞ」
「あ、うん」
慌てて残りの弁当を口に放り込みながら先生を見る。
俺と目が合って微笑む先生の表情は、いつもの、俺と居る時にしてくれる、演技ではない綺麗な甘くて優しい笑顔だった。
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