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第八章
今、起きている事 3
先生の、声も何もかもが大好きな俺は、そのたった短い声音を聞いただけでも嬉しくなる。
「先生、俺。……え~っと、今忙しかった?」
「いや、大丈夫だよ。……電話は、久しぶりだな」
「うん。毎日先生の顔見てるから、ついそれで満足しちゃってたね」
「そうだな」
「……ねえ、先生」
「うん?」
「先生は俺の彼氏だけど、俺も先生の彼氏なんだからね。忘れないでよ?」
「――忘れたりしないよ。……やっぱり、渚の奴、南に何か言ってきたか?」
「え? あ、えとっ、いや……」
突然の突っ込みに、俺は慌てた。
渚さんは、先生が俺に隠すだろうと思っていることを話そうとしてくれている。
そしてそれはもしかしたら、先生が俺に知られたくないと思っている事なのかもしれない。
俺はどんなことだろうと、先生の彼氏として先生を支えたいし力になりたいとは思っているけれど、もしそれが先生にとって迷惑な事だとしたら……。
ぐるぐると考え始めてしまってモゴモゴしていたら、「やっぱりな」って先生のため息交じりの声が聞こえてきた。
「あ、あのっ! 俺、先生のことが好きなんだよ!」
「――なんだ、いきなり? ……知ってるよ、そんな事」
「でもっ、俺だけじゃないよ。渚さんだって先生のこと大事な親友だって思ってて、俺たちの事も応援してくれてるんだよ」
先生を知って好きになって、そして付き合い始めてからまだ日が浅い俺には先生がこういう時、本当はどうしたいと思っているのか、どうしてもらった方が嬉しいのかとかそんな微妙なことまでは分からない。
だけど――、
「出来れば、俺の事も頼ってよ。……俺はまだガキだから何の力も無いかもしれないけど、先生への気持ちだけはいっぱい詰まってるんだからな」
「南……」
ぽつりと呟くように俺の名を呼ぶ先生の声。
姿が見えないからどんな表情をしているのかは分からないけど、たとえ戸惑ってはいたとしても呆れてはいないと思う。
数秒の沈黙の後、先生の声が聞こえてきた。
「渚から、どこまで聞いた?」
「それは、まだ何も。ただ、先生の家庭事情は知ってるかって聞かれたから、両親が離婚した話とお母さんが再婚した話は聞いたって答えた」
「――そうか」
「で、明日、渚さんと会う事になってる」
「待ち合わせか?」
「うん、駅近くの〇×書店で7時に」
「……分かった。その時間には行けそうにないが、俺も後から合流する。渚にはこっちから連絡しておくよ」
「あの、先生!」
「なんだ?」
「俺、先生の彼氏だからね!」
余計な事だと思われちゃうかもしれないけど、それでも先生の力になりたいこの気持ちはちゃんと分かってもらいたい。自分でもしつこいとは分かっていても、頼ってくれと思うあまりついつい彼氏なんだと連呼してしまっていた。
「――分かってる。南は俺の……、俺を支えてくれる頼もしい彼氏だよ」
「せん……せ」
恥ずかしいことに、紫藤先生のその一言で俺の胸の中にぶわりと熱いものが溢れてきた。
分かってくれている。俺の気持ちを……。
そう思ったら、後から後から嬉しい気持ちがこみ上げてきて次の言葉が出てこなかった。
「お休み、南。また明日な」
「……っ、ん……お休み……なさい」
電話を切って顔を覆う。
まだまだガキな俺は、紫藤先生にこんな風に認められたことくらいで簡単に舞い上がってしまう。
もっと、先生に見合うくらい大人になりたいのに……。
明日聞かされるその話がどんなことなのかは想像もつかないけど、俺が出来る最大限の力で、紫藤先生を支えたいって強く思った。
「先生、俺。……え~っと、今忙しかった?」
「いや、大丈夫だよ。……電話は、久しぶりだな」
「うん。毎日先生の顔見てるから、ついそれで満足しちゃってたね」
「そうだな」
「……ねえ、先生」
「うん?」
「先生は俺の彼氏だけど、俺も先生の彼氏なんだからね。忘れないでよ?」
「――忘れたりしないよ。……やっぱり、渚の奴、南に何か言ってきたか?」
「え? あ、えとっ、いや……」
突然の突っ込みに、俺は慌てた。
渚さんは、先生が俺に隠すだろうと思っていることを話そうとしてくれている。
そしてそれはもしかしたら、先生が俺に知られたくないと思っている事なのかもしれない。
俺はどんなことだろうと、先生の彼氏として先生を支えたいし力になりたいとは思っているけれど、もしそれが先生にとって迷惑な事だとしたら……。
ぐるぐると考え始めてしまってモゴモゴしていたら、「やっぱりな」って先生のため息交じりの声が聞こえてきた。
「あ、あのっ! 俺、先生のことが好きなんだよ!」
「――なんだ、いきなり? ……知ってるよ、そんな事」
「でもっ、俺だけじゃないよ。渚さんだって先生のこと大事な親友だって思ってて、俺たちの事も応援してくれてるんだよ」
先生を知って好きになって、そして付き合い始めてからまだ日が浅い俺には先生がこういう時、本当はどうしたいと思っているのか、どうしてもらった方が嬉しいのかとかそんな微妙なことまでは分からない。
だけど――、
「出来れば、俺の事も頼ってよ。……俺はまだガキだから何の力も無いかもしれないけど、先生への気持ちだけはいっぱい詰まってるんだからな」
「南……」
ぽつりと呟くように俺の名を呼ぶ先生の声。
姿が見えないからどんな表情をしているのかは分からないけど、たとえ戸惑ってはいたとしても呆れてはいないと思う。
数秒の沈黙の後、先生の声が聞こえてきた。
「渚から、どこまで聞いた?」
「それは、まだ何も。ただ、先生の家庭事情は知ってるかって聞かれたから、両親が離婚した話とお母さんが再婚した話は聞いたって答えた」
「――そうか」
「で、明日、渚さんと会う事になってる」
「待ち合わせか?」
「うん、駅近くの〇×書店で7時に」
「……分かった。その時間には行けそうにないが、俺も後から合流する。渚にはこっちから連絡しておくよ」
「あの、先生!」
「なんだ?」
「俺、先生の彼氏だからね!」
余計な事だと思われちゃうかもしれないけど、それでも先生の力になりたいこの気持ちはちゃんと分かってもらいたい。自分でもしつこいとは分かっていても、頼ってくれと思うあまりついつい彼氏なんだと連呼してしまっていた。
「――分かってる。南は俺の……、俺を支えてくれる頼もしい彼氏だよ」
「せん……せ」
恥ずかしいことに、紫藤先生のその一言で俺の胸の中にぶわりと熱いものが溢れてきた。
分かってくれている。俺の気持ちを……。
そう思ったら、後から後から嬉しい気持ちがこみ上げてきて次の言葉が出てこなかった。
「お休み、南。また明日な」
「……っ、ん……お休み……なさい」
電話を切って顔を覆う。
まだまだガキな俺は、紫藤先生にこんな風に認められたことくらいで簡単に舞い上がってしまう。
もっと、先生に見合うくらい大人になりたいのに……。
明日聞かされるその話がどんなことなのかは想像もつかないけど、俺が出来る最大限の力で、紫藤先生を支えたいって強く思った。
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