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第一章
オレンジ色の太陽
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ウィルフレッドの屋敷はそれほど広くはないが、それでもちゃんと庭はあった。植物に疎い俺には何の花だか分からないが、赤やピンクや白や黄色、さまざまな可愛らしい花が風に吹かれて揺れている。端の方にはいくつか木も植えられていた。
「ルアン様、そろそろ風も冷たくなってまいりましたし、お部屋に入りましょうか」
「ん……」
と言いつつ俺はその場を離れられなかった。というのも、眩しいオレンジの色を放ったでっかい太陽が、地平線の彼方でものすごい存在感を露わにしているからだ。
「今日のお日様は綺麗ですね」
「……うん」
これまでにもこういう色の太陽が何度か現れていたんだろうけれど、俺はそれをこうやって綺麗だと眺めたことは一度もなかった。たぶんそう思えるような気持ちの余裕がなかったんだろう。
「せっかくですからもう少し眺めていましょうか。寒くはないですか?」
「らいじょうぶら」
大丈夫だと言ったのに、リースは俺の傍に寄ってきてしゃがみ、俺の二の腕を擦るような仕草をした。
「ふふふ。私がちょっと肌寒いので失礼しますね」
そう言いながらも、リースの手のひらはとても暖かい。とても寒がっている人の体温とは思えなかった。
なんでここの人たちは、俺が黒髪黒い瞳だとわかっているのにこんなに優しくしてくれるんだろう。調子が狂って、暴れる気も失せちまう。
「こらー、風邪ひくぞー」
突然の大声とともに、むぎゅーっと背後から抱きしめられた。ウィルフレッドだ。
「お、おまぇ」
半端ない力で抱きしめられて、俺とリースはウィルフレッドの腕の中でぎゅうぎゅうにくっつけられていた。
小さい俺に合わせてしゃがんでいたリースは、不自然な格好のまま拘束されて眉をしかめていた。
「お、お帰りなさいませウィルフレッド様。く、苦しいですよ」
リースの悲鳴に、ウィルフレッドはようやく俺たちを解放した。
「すまんすまん。今戻った」
「なにすりゅんらよ、このばかちかりゃ!」
「ん?」
俺と目を合わせたウィルフレッドは、いたずらっこの顔になった。俺の両脇に手を差し込み、突然立ち上がる。
「うわわわわっ」
小さくて軽い体のせいで足がふわっと後ろに上がり、本気でびっくりした。
「驚いたかー。かわいいなあ」
「にゃ! こにょやりょー! いちゃっ!」
し、舌嚙んだ。
それもこれもウィルフレッドが俺をこんな幼児にしたせいだ。
ギロリと睨んだのにウィルフレッドは意に介する様子もなく、目じりを下げて俺の頭をワシャワシャとした。
「寒くなる前に屋敷に戻ろう」
「はい。それがいいと思います」
「じゃあ、おろちぇ」
「んー?」
「おろちぇったら!」
「んー」
どんなに暴れても喚いてもウィルフレッドは俺をおろす気はないようだった。
主張を無視されて怒りがこみ上げてきたけれど、それと反比例してだんだん体が重くなり瞼も下りてきてしまっていた。小さな姿にされた幼児の俺は、さすがにこの時間では疲れていたのかもしれない。
結局俺は仕方なく、ウィルフレッドの腕の中で体の力を抜いたのだった。
「ルアン様、そろそろ風も冷たくなってまいりましたし、お部屋に入りましょうか」
「ん……」
と言いつつ俺はその場を離れられなかった。というのも、眩しいオレンジの色を放ったでっかい太陽が、地平線の彼方でものすごい存在感を露わにしているからだ。
「今日のお日様は綺麗ですね」
「……うん」
これまでにもこういう色の太陽が何度か現れていたんだろうけれど、俺はそれをこうやって綺麗だと眺めたことは一度もなかった。たぶんそう思えるような気持ちの余裕がなかったんだろう。
「せっかくですからもう少し眺めていましょうか。寒くはないですか?」
「らいじょうぶら」
大丈夫だと言ったのに、リースは俺の傍に寄ってきてしゃがみ、俺の二の腕を擦るような仕草をした。
「ふふふ。私がちょっと肌寒いので失礼しますね」
そう言いながらも、リースの手のひらはとても暖かい。とても寒がっている人の体温とは思えなかった。
なんでここの人たちは、俺が黒髪黒い瞳だとわかっているのにこんなに優しくしてくれるんだろう。調子が狂って、暴れる気も失せちまう。
「こらー、風邪ひくぞー」
突然の大声とともに、むぎゅーっと背後から抱きしめられた。ウィルフレッドだ。
「お、おまぇ」
半端ない力で抱きしめられて、俺とリースはウィルフレッドの腕の中でぎゅうぎゅうにくっつけられていた。
小さい俺に合わせてしゃがんでいたリースは、不自然な格好のまま拘束されて眉をしかめていた。
「お、お帰りなさいませウィルフレッド様。く、苦しいですよ」
リースの悲鳴に、ウィルフレッドはようやく俺たちを解放した。
「すまんすまん。今戻った」
「なにすりゅんらよ、このばかちかりゃ!」
「ん?」
俺と目を合わせたウィルフレッドは、いたずらっこの顔になった。俺の両脇に手を差し込み、突然立ち上がる。
「うわわわわっ」
小さくて軽い体のせいで足がふわっと後ろに上がり、本気でびっくりした。
「驚いたかー。かわいいなあ」
「にゃ! こにょやりょー! いちゃっ!」
し、舌嚙んだ。
それもこれもウィルフレッドが俺をこんな幼児にしたせいだ。
ギロリと睨んだのにウィルフレッドは意に介する様子もなく、目じりを下げて俺の頭をワシャワシャとした。
「寒くなる前に屋敷に戻ろう」
「はい。それがいいと思います」
「じゃあ、おろちぇ」
「んー?」
「おろちぇったら!」
「んー」
どんなに暴れても喚いてもウィルフレッドは俺をおろす気はないようだった。
主張を無視されて怒りがこみ上げてきたけれど、それと反比例してだんだん体が重くなり瞼も下りてきてしまっていた。小さな姿にされた幼児の俺は、さすがにこの時間では疲れていたのかもしれない。
結局俺は仕方なく、ウィルフレッドの腕の中で体の力を抜いたのだった。
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