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第三章
パレードの下見 3
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一部には例外もあるようだが、人格の形成のほとんどが環境の影響を受ける。イアンもその環境の犠牲になった一人だ。
「国民を惑わすような政策は、早くなくなってほしいな」
「そうですね。……あ、この辺ですね」
話をしているうちにモスキューに着いた。
聖女のパレードに治安の悪いところは選ばないので、そこまで神経質にならなくてもいいのだろうけれど、万が一ということもある。警備に当たる私たちは、隙のないよう死角がないようにしなければならない。
「 王家に恨みをもっているものがいるとすれば、その威信を失墜させるために聖女のパレードを襲撃するのは絶好の機会だろうからな」
「そうですね。イアンのように忌み子扱いされている者なら、特にそう思うでしょう」
「彼らだけとは言わないが、……確かに、特に虐げられているという点では、そう言えなくもないな。――黒髪に黒い瞳か。私はイアン以外に会ったことがないんだが、一度も見かけたことがないというのも不思議な話だな」
「生まれてくる確率が低いからじゃないでしょうか?」
「……それはそうだろうが」
「あとは家族が必死に隠しているとか」
「だといいんだがな」
私たちは雑談をしながらも、目だけは死角になる場所がないかとか、不審人物が隠れられそうなところはないかとか確認しながら進んでいた。
「警備を配置するならこの辺りだな」
「そうですね。ほかの箇所と違って、少々入り組んだ道が多いですね」
「ではそこと……、あとこの先の大通りは普段から人が多いだろう? その辺りも誰か配置してもらうといいかもしれないな」
「分かりました」
「では、そろそろ戻るか」
「そうですね」
プリンに合図して道を戻るように促そうと思ったが、ふとイアンのことを思い出してしまった。
彼にとって、初めての楽しいお出かけだ。路上生活をしながら迫害されていたあの時とは違って――。
「シューマはさっきの、パンケーキの美味しい店って知ってるか?」
「はい。多分あそこだろうなあという検討はつきます」
「そうか……」
今は勤務中だ。……勤務中なのだが。
「……コホン。まあ、なんだ……戻るにはまだ時間があるよな」
「えっ? ――ああ! はい、戻るにはまだ時間がありますので、少し巡回して行くのもいいかと思います」
「では、案内してくれ」
「はい」
察しのいいシューマに案内されて向かった店の前には、数人が並んでいた。私はプリンから降りて、その店に近づいた。シューマも後に続いた。
「今日は空いていますね」
「えっ? あれで?」
「はい、いつもはもっと並んでいますよ」
こういう店には疎いんだよなと思いながら、店内の様子を覗いてみたいと足を進めたところでイアン達が店から出てきた。
「ウィルフレッド様!」
私の姿に気が付いたリースが、イアンの手を引っ張りながらやってきた。
「やあ、美味しかったか?」
イアンの顔を覗き込みながらそう尋ねると、彼は嬉しそうにうなずいた。
ああ、こういう顔だよ! 私がこういう顔をさせたいんだ。
「ルアン、」
「ウィルフレッド様!」
え?と思って振り返ると、護衛を連れた聖女が立っていた。
「国民を惑わすような政策は、早くなくなってほしいな」
「そうですね。……あ、この辺ですね」
話をしているうちにモスキューに着いた。
聖女のパレードに治安の悪いところは選ばないので、そこまで神経質にならなくてもいいのだろうけれど、万が一ということもある。警備に当たる私たちは、隙のないよう死角がないようにしなければならない。
「 王家に恨みをもっているものがいるとすれば、その威信を失墜させるために聖女のパレードを襲撃するのは絶好の機会だろうからな」
「そうですね。イアンのように忌み子扱いされている者なら、特にそう思うでしょう」
「彼らだけとは言わないが、……確かに、特に虐げられているという点では、そう言えなくもないな。――黒髪に黒い瞳か。私はイアン以外に会ったことがないんだが、一度も見かけたことがないというのも不思議な話だな」
「生まれてくる確率が低いからじゃないでしょうか?」
「……それはそうだろうが」
「あとは家族が必死に隠しているとか」
「だといいんだがな」
私たちは雑談をしながらも、目だけは死角になる場所がないかとか、不審人物が隠れられそうなところはないかとか確認しながら進んでいた。
「警備を配置するならこの辺りだな」
「そうですね。ほかの箇所と違って、少々入り組んだ道が多いですね」
「ではそこと……、あとこの先の大通りは普段から人が多いだろう? その辺りも誰か配置してもらうといいかもしれないな」
「分かりました」
「では、そろそろ戻るか」
「そうですね」
プリンに合図して道を戻るように促そうと思ったが、ふとイアンのことを思い出してしまった。
彼にとって、初めての楽しいお出かけだ。路上生活をしながら迫害されていたあの時とは違って――。
「シューマはさっきの、パンケーキの美味しい店って知ってるか?」
「はい。多分あそこだろうなあという検討はつきます」
「そうか……」
今は勤務中だ。……勤務中なのだが。
「……コホン。まあ、なんだ……戻るにはまだ時間があるよな」
「えっ? ――ああ! はい、戻るにはまだ時間がありますので、少し巡回して行くのもいいかと思います」
「では、案内してくれ」
「はい」
察しのいいシューマに案内されて向かった店の前には、数人が並んでいた。私はプリンから降りて、その店に近づいた。シューマも後に続いた。
「今日は空いていますね」
「えっ? あれで?」
「はい、いつもはもっと並んでいますよ」
こういう店には疎いんだよなと思いながら、店内の様子を覗いてみたいと足を進めたところでイアン達が店から出てきた。
「ウィルフレッド様!」
私の姿に気が付いたリースが、イアンの手を引っ張りながらやってきた。
「やあ、美味しかったか?」
イアンの顔を覗き込みながらそう尋ねると、彼は嬉しそうにうなずいた。
ああ、こういう顔だよ! 私がこういう顔をさせたいんだ。
「ルアン、」
「ウィルフレッド様!」
え?と思って振り返ると、護衛を連れた聖女が立っていた。
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