最強美人が可愛い過ぎて困る

くるむ

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第五章

情けない俺

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部活を終えて、いつものように御影さんと帰るために待ち合わせの正門で待つ。
何もしないでただ待っているだけでは、考えたくもない妄想に支配されそうで俺はスマホを取り出した。

「蒼空!」

御影さんの俺を呼ぶ声と駆け寄ってくる足音。俺は出したスマホをすぐにしまった。

いつもなら御影さんがこうやって俺に駆け寄ってくれるだけで幸せに満たされるんだけど、性懲りもなく未だに田上先輩とのツーショットに勝手にモヤモヤしている俺は、変な焦燥感がじわじわと沸き起こってくるのを自覚して複雑な気分になった。

御影さんに対しては心が狭いよな―、俺も。
……てか、いい子ちゃんになり過ぎちゃったかな。

でも結局は、それもこれも俺が御影さん第一で……好きすぎるってことなんだろうな。


「お待たせ。……どうした? 待ちくたびれたか?」
「そんなことないです。ほとんど今来たばっかです」
「そうなのか?」

よっぽど面白くない顔をしているんだろうか。
御影さんはじっと俺の表情を確認するように見た。

「はい。……さ、帰りましょうか」
「……ああ」

ちょっとでも俺は御影さんにモヤモヤしている気持ちを悟られたくなくて、陽翔たちとのバカ話やバスケの練習中のしんどかったことや面白かったことなどを、出来るだけ楽しく話して聞かせた。

今思えば、らしくないマシンガントークになっていたんだろう。5分も経たないうちに、御影さんに腕を掴まれた。

「蒼空」
「それでですね……、て、え?」

立ち止まって、腕を掴まれたまま御影さんを見た。
……その顔は俺の気持ちを反映しているのか、複雑な表情をしていた。

「…………」

「……お前、俺に聞きたいことがあるんだろう?」
「……いえ、別に……」

ギリッ。
「イタッ」

俺の腕を掴む御影さんの力が強くなった。

「テテテテテテッ、痛いです、御影さんっっ」

顔をしかめて悲鳴を上げる。
そこでやっと力を抜いてくれた。

御影さん、酷いっ!
サドかっ!

非難を込めて涙目で見上げると、



……少し傷ついた表情で御影さんが俺を見ていた。
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