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001-005【第一幕】転生した。経緯は省く
003 俺は死を恐れない
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少年よ。また少女にも聞いてもらいたい。『おっぱい』と言うよりも『乳房』と言った方が耽美でまろやか。しっくりくる場合があるもんだ。覚えておくが良い。
そいつは俺が望んだ爆弾型の乳房を持ち歩いていた。民家の中で出会った娘さんだ。胸元の露出度合いを除いては、ギリギリ清楚系な雰囲気をまとっている。
他にも人間は多数いた。なんか村の集まりっぽい感じだ。巨漢からじじばば、子供まで見えるけど、とりあえず目に留めておきたいのはその子だけかな。
この会合は、俺の問題とは全然関係無いものだったんだと思う。そこに手錠をした俺が出没したから、話し合いの優先順位はこっちが先となった。
「ウシ泥棒だと。いったいどこの牧園だ?」
見知らぬ初老が声を荒げている。
「第三牧園の柵の中に入っていたようです。発見者はこちらのエエマーです」
警察官に言われて、ひょろっちい男は「ええ、まあ……」と、褒められることに馴れていない様子だった。
「いや、待ってくれよ。俺は別にウシなんか盗んでないし、いらない。たまたま転生したら柵の中だったってだけなんだ。信じてくれ!」
俺は懇願すると同時に、村の衆に哀れな僕ちんの曇り無き眼を植え付けようとした。それがきっと後々項を成す。ちゃっかり娘さんには多めに配っておいた。
「……転生。転生者だと?」
初老や警察官が反応を見せる。周りもその言葉でざわめきが起こりだした。なるほど転生が通じる世界観か。だったら他にも転生者がいるかもしれないな。
でも他所の転生者って、経験値積み過ぎて英雄級まで成り上がっていたり、世界を知る者クラスが転生者だったりする。なんか極力会いたくはない。魔物より厄介そう。
まーまー、それより娘さんはどんな様子だ? 何やら俺のことであああだこうだ初老と警察官とその他で言い合いを始めているが。そろそろ「この人は悪い人じゃありません!」とか言い出してくれても良きなんだけど。
「おい、転生者。聞いているのか!」
「ああ、ごめん。聞いてなかった。なんて言ったかもう一回」
警察官は優しいからもう一回告げてくれる。
「いいか、転生者。この世界を異世界と呼ぶ者を我々は何人も見てきた。しかしお前たちのような未知の力を持つ人間と関わることで、幸せを得た者など一人もいない。よって、この村でお前を捕らえたが最後。死んでもらう以外に道は無いぞ。分かったな」
少し予想が外れそうだ。
「……え。俺、殺される一択?」
「ああ、そうだ。こちらの世界ではうってつけの死に方がある。血も出ないし痛みも無い。苦しさも一瞬だけだ」
あららら。子供の面前でそんな非道な事を言って良いのかよ。しかし見たら、子供らも正義感を宿して頷いていた。
「怖がんなよ! おじちゃん!」
人が死のうとしているのを励まされた。あどけない笑顔で安心感を与えてくていた。
でもさ。確かに転生者って悪の組織あっての存在か。どんなにほのぼの農業やったって、商売してたって、悪いやつと戦うのは避けられない。
中には魔王とくっついちゃう強者もいるが。それは転生者にとってはラッキーエンドでも、村人にとってはマジかよ案件だもんな。
「んじゃ、死にますか……」
ループされることを祈って。もしくは別の世界への転生を願って。
そいつは俺が望んだ爆弾型の乳房を持ち歩いていた。民家の中で出会った娘さんだ。胸元の露出度合いを除いては、ギリギリ清楚系な雰囲気をまとっている。
他にも人間は多数いた。なんか村の集まりっぽい感じだ。巨漢からじじばば、子供まで見えるけど、とりあえず目に留めておきたいのはその子だけかな。
この会合は、俺の問題とは全然関係無いものだったんだと思う。そこに手錠をした俺が出没したから、話し合いの優先順位はこっちが先となった。
「ウシ泥棒だと。いったいどこの牧園だ?」
見知らぬ初老が声を荒げている。
「第三牧園の柵の中に入っていたようです。発見者はこちらのエエマーです」
警察官に言われて、ひょろっちい男は「ええ、まあ……」と、褒められることに馴れていない様子だった。
「いや、待ってくれよ。俺は別にウシなんか盗んでないし、いらない。たまたま転生したら柵の中だったってだけなんだ。信じてくれ!」
俺は懇願すると同時に、村の衆に哀れな僕ちんの曇り無き眼を植え付けようとした。それがきっと後々項を成す。ちゃっかり娘さんには多めに配っておいた。
「……転生。転生者だと?」
初老や警察官が反応を見せる。周りもその言葉でざわめきが起こりだした。なるほど転生が通じる世界観か。だったら他にも転生者がいるかもしれないな。
でも他所の転生者って、経験値積み過ぎて英雄級まで成り上がっていたり、世界を知る者クラスが転生者だったりする。なんか極力会いたくはない。魔物より厄介そう。
まーまー、それより娘さんはどんな様子だ? 何やら俺のことであああだこうだ初老と警察官とその他で言い合いを始めているが。そろそろ「この人は悪い人じゃありません!」とか言い出してくれても良きなんだけど。
「おい、転生者。聞いているのか!」
「ああ、ごめん。聞いてなかった。なんて言ったかもう一回」
警察官は優しいからもう一回告げてくれる。
「いいか、転生者。この世界を異世界と呼ぶ者を我々は何人も見てきた。しかしお前たちのような未知の力を持つ人間と関わることで、幸せを得た者など一人もいない。よって、この村でお前を捕らえたが最後。死んでもらう以外に道は無いぞ。分かったな」
少し予想が外れそうだ。
「……え。俺、殺される一択?」
「ああ、そうだ。こちらの世界ではうってつけの死に方がある。血も出ないし痛みも無い。苦しさも一瞬だけだ」
あららら。子供の面前でそんな非道な事を言って良いのかよ。しかし見たら、子供らも正義感を宿して頷いていた。
「怖がんなよ! おじちゃん!」
人が死のうとしているのを励まされた。あどけない笑顔で安心感を与えてくていた。
でもさ。確かに転生者って悪の組織あっての存在か。どんなにほのぼの農業やったって、商売してたって、悪いやつと戦うのは避けられない。
中には魔王とくっついちゃう強者もいるが。それは転生者にとってはラッキーエンドでも、村人にとってはマジかよ案件だもんな。
「んじゃ、死にますか……」
ループされることを祈って。もしくは別の世界への転生を願って。
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