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079-081 俺の話を進ませてくれ!!
081 俺の目的が一向に進まない
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豪勢な入り口をくぐると、息を飲むような光景が広がっていたと思う。でもそこの感動はレイゼドールの礼拝堂で味わった。だからまあ、こんなもんかと思って俺は行き過ぎた。
祭壇には太陽神の真っ白な像がお出ましだ。確かにデカいが、それがなんだと思う。しかしそんな像に近付くと、像は足元から派手なライトアップがされる。何か突然聞こえてきたかと思ったら、ポップ調にアレンジされた讃美歌だ。
「イメージアップ戦略だな」と、おっさんは見抜いたようだった。俺は観客として素直に驚くとともに、何か気恥ずかしくなって苦笑を浮かべていたかもしれない。
レグネグドのイメージは、かなり硬派なんだと俺でも分かる。なにせ太陽神だ。腕だって四本もあるのは仰々しい。石像は二本の手で太陽を頭上に持ち上げて、残りの二本でこの星を胸に抱いていた。だから俺もイメージを変える手伝いをしてやった。
「星に太陽ぶつけんぞ。っていう脅しだろ?」
側のおっさんは俺の新解釈に腹を抱えて笑っていた。そのうち罰当たりを食らうだろう。
楽しいひとときだったが、神様を茶化すのはここまでだ。俺はもうおっさんのペースにかなり飲まれていて時間を浪費している。
早いところ決着をつけよう。俺にもそんなに時間は残されていない。
「おーい! 隠れていないで出て来いよ! 人間ひとりなんて怖くねえだろ!?」
俺は巨大なホールで叫んでいる。まずは本人に登場してもらわないと話し合うことも出来ないからだ。案外、過去の因縁なんて冷めちゃっている場合もある。俺は出会い頭に斬りつけるとか、ヒーローみたいな正義感は振りかざさんのだよ。
「俺は転生者だ! どっかの洞窟で一度会っている! おーい!」
しかし。しーんとしたままだった。礼拝しに来る人もいないし、俺の声だけが虚しく響いていた。
俺はおっさんに「おい」と問う。
「太陽神レグネグドはここに居るんだよな?」
おっさんは、自分の正体をバラして、俺を欺いたと高笑いするなどせず。憶測で人を案内しておき「わっかんな~い」などと、おバカキャラを発揮させることもしない。
おっさんはおっさんのままで「留守かぁ?」と言うだけだった。謎のおっさんは、やっぱりただのおっさんだったんだ。
しかし思いがけないことが起こる。どこからか「留守だよ」と、言葉が返ったのだ。
「誰だ!!」
いかにも主人公っぽいことを俺が言うと、言葉を返した者は柱の陰から現れる。
「ンッフッフッフ……」
怪しげな笑い方をする……おっさんBである。おっさん妖精とは同胞のような年頃だった。
俺には嫌な予感が走った。
「懐かしいな。こんなところで出会うとは。まさにディスティニーだ」と、おっさんBが言う。
対しておっさんは「その喋り方。てめえは!」など言い返すが嬉しそうにニヤニヤしていた。でもって、がしっと二人は手を取り合った。
「がっちゃんじゃねえの!」
「ワシントンか!」
もうやめれくれよって俺は泣きたい……。
祭壇には太陽神の真っ白な像がお出ましだ。確かにデカいが、それがなんだと思う。しかしそんな像に近付くと、像は足元から派手なライトアップがされる。何か突然聞こえてきたかと思ったら、ポップ調にアレンジされた讃美歌だ。
「イメージアップ戦略だな」と、おっさんは見抜いたようだった。俺は観客として素直に驚くとともに、何か気恥ずかしくなって苦笑を浮かべていたかもしれない。
レグネグドのイメージは、かなり硬派なんだと俺でも分かる。なにせ太陽神だ。腕だって四本もあるのは仰々しい。石像は二本の手で太陽を頭上に持ち上げて、残りの二本でこの星を胸に抱いていた。だから俺もイメージを変える手伝いをしてやった。
「星に太陽ぶつけんぞ。っていう脅しだろ?」
側のおっさんは俺の新解釈に腹を抱えて笑っていた。そのうち罰当たりを食らうだろう。
楽しいひとときだったが、神様を茶化すのはここまでだ。俺はもうおっさんのペースにかなり飲まれていて時間を浪費している。
早いところ決着をつけよう。俺にもそんなに時間は残されていない。
「おーい! 隠れていないで出て来いよ! 人間ひとりなんて怖くねえだろ!?」
俺は巨大なホールで叫んでいる。まずは本人に登場してもらわないと話し合うことも出来ないからだ。案外、過去の因縁なんて冷めちゃっている場合もある。俺は出会い頭に斬りつけるとか、ヒーローみたいな正義感は振りかざさんのだよ。
「俺は転生者だ! どっかの洞窟で一度会っている! おーい!」
しかし。しーんとしたままだった。礼拝しに来る人もいないし、俺の声だけが虚しく響いていた。
俺はおっさんに「おい」と問う。
「太陽神レグネグドはここに居るんだよな?」
おっさんは、自分の正体をバラして、俺を欺いたと高笑いするなどせず。憶測で人を案内しておき「わっかんな~い」などと、おバカキャラを発揮させることもしない。
おっさんはおっさんのままで「留守かぁ?」と言うだけだった。謎のおっさんは、やっぱりただのおっさんだったんだ。
しかし思いがけないことが起こる。どこからか「留守だよ」と、言葉が返ったのだ。
「誰だ!!」
いかにも主人公っぽいことを俺が言うと、言葉を返した者は柱の陰から現れる。
「ンッフッフッフ……」
怪しげな笑い方をする……おっさんBである。おっさん妖精とは同胞のような年頃だった。
俺には嫌な予感が走った。
「懐かしいな。こんなところで出会うとは。まさにディスティニーだ」と、おっさんBが言う。
対しておっさんは「その喋り方。てめえは!」など言い返すが嬉しそうにニヤニヤしていた。でもって、がしっと二人は手を取り合った。
「がっちゃんじゃねえの!」
「ワシントンか!」
もうやめれくれよって俺は泣きたい……。
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